ひかり歯科クリニック

なぜインフォームド・セレクションを導入したかといいますと、患者さまが先生に全部お任せしていて、言いたいことが言えていないのではないだろうか、と思ったからです。本当はここはこうしたかった、違う形の治療が良かったなど、本当は言いたいことがあったけれど言えなくて、結局患者さまにとって納得のいくご希望の治療ができないまま終わっている、という方が多いように感じました。

昔は治療の選択肢が少なかったかもしれませんが、今はさまざまな選択肢があります。そこで、患者さまに一つひとつ説明して、一つひとつ理解していただいて、私はこのプランがいいと思います、あなたにはこういうプランが合いますなど意見しながら、患者さまと話し合って治療プランを作っていく「インフォームド・セレクション」を導入したのです。

そうすることで患者さまに納得していただけるだけでなく、私自身も治療しやすくなります。それに、人が多種多様であるように、お口の中も多種多様です。それなのに、治療が一つの方法しかないということがまずおかしいのです。当院では、患者さまときちんと話し合って、患者さまに合わせて臨機応変に治療を行っております。

当然、患者さまが最初に決めたプランがあっても、治療を進めるうちに「やっぱりこっちの自由診療がいい」「セラミックがいい」など、患者さま自身がプランの変更を希望したり、迷ったりすることもあります。そういうときは、患者さまが最終的な治療プランを決定するまで私たちは待ちます。

インフォームド・セレクションの治療計画書を受け取られた患者さまの反応ですが、「初めてこんな話を聞いた」という方がほとんどですね。しかし、やはりご自身の歯の状況を把握してから治療に入ったほうが患者さまにとっていいのではないか、というのが私の考えなので、まず患者さまにきちんと説明し、患者さま自身に治療の必要性を認識していただいております。

そのうえで、イエスかノーだけの選択肢を提示するのではなく、さまざまな治療プランを提示し、患者さまの「私はこうしたい」を選んでいただいております。

雰囲気づくりという点では、スタッフの笑顔や接し方などさまざまありますけれど、それよりも来やすい環境を作ることが大事だと思っております。来院してまず目に入る受付スタッフが自然な笑顔でお迎えしたり、患者さまとたくさん話したりしております。それは私に限らず、当院のスタッフ全員です。

とは言っても、友だちになろうという感じではなく、ある程度の距離感を持ちつつ仲良くなっていく感じです。そうすると、患者さまが「そういえば先週言っていたアレってどうでした？」などと話してくれるようになります。私たちにとっては一人ひとりが「ただの患者さま」ではなく「知っている人」なのです。

さらに、当院はお子さま連れの主婦層の方が多くいらっしゃるので、2階のフロアを全面キッズスペースにしました。歯科医院の待合室は、どうしても椅子が置いてあるだけの空間になってしまいがちです。そこに親御さまがお子さまを2人連れてきたりすると、お子さまは親御さまを待っている間遊びたくなってしまいますよね。そうなると、隅の小さなキッズスペースでお子さまを遊ばせるより、2階の広いスペースで遊ばせてあげたほうが、お子さまも親御さまもストレスがないと思うのです。

他の患者さまの中には、このあとの治療に緊張している方もいらっしゃいます。そんなときに、お子さまが目の前で走り回っていたら、「今からインプラントの手術をしましょう」と言われてもつらいと思います。親御さまたちにとっても、他の患者さまにとってもスペースを二分するのが良いと思い、設置しました。同時に、保育士を常駐させております。これがご来院していただきやすい環境づくりを考えたうえで工夫した大きな点です。

治療そのものが困難…というのは正直ありませんが、言葉の壁はやはり大きいです。英語でしたら少しは話せますが、中国語などになるとなかなか自分のイメージ通りに伝えることが難しいですね。そのような方へは、タブレットなどを使って言語変換して伝えるようにしております。しかし、歯の素材を何にしていくか、セラミック（※）にしようかなど、治療に深く関わる説明に時間を要してしまうのが現状です。

ですが、以前治療をした外国人の方は「ひかり歯科はいい所ですよ」とほかの外国人の方へ紹介してくださいました。このように紹介で訪れる外国人の方がいらっしゃることはとてもうれしいですね。そのため、外国人の方にもなるべく通いやすくなるよう、言語の壁をなくすことに対して真剣に取り組まなければいけないと感じました。

※自由診療です。料金は料金表を確認してください。

私の師匠であり、以前勤務していたときにお世話になった岸秀晃先生です。師匠は「歯医者になるな、歯科医師になれ。お前たちは歯科の医者だぞ」とよく仰っておりました。大学の時点で医科と歯科は分かれていて、しかも歯科は医科より入りやすいというのもあり、正直、歯医者は医者より下に見られることがあります。

ですが、歯医者も医者です。医者と呼ばれる方たちも○○科の医者で、歯科の医者というのと同じです。下に見られないためにもさまざまな勉強をし、知識を蓄え、人柄を作れと師匠は仰っておりました。私は、いまだに師匠を超える方に出会っておりません。私が総合的な治療に取り組んでいるのも、やはり師匠の影響がありますね。