親知らずが腫れて痛い!その原因・症状・対処法を徹底解説!

親知らずが腫れて痛む原因は様々ですが、主に親知らずの生え始めと歯茎の炎症が関係していると考えられます。本コラムでは、痛みや腫れの原因についてさらに深掘り、痛みへの対処法にも言及していきます。

この記事の目次

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1.抜歯前の親知らずの腫れや痛みの原因

 

親知らずの腫れや痛みとしては、抜歯前と抜歯後とではその原因が異なります。まずは、抜歯前の親知らずの腫れと痛みの原因について見ていきましょう。

 

智歯(ちし)周囲炎による腫れと痛み

親知らずが生えてくる際に、多くの人が経験するのが、智歯周囲炎による腫れと痛みです。親知らずが歯茎を押し上げることで、細菌がたまりやすくなり、炎症が起こってしまうことがあります。

この炎症は、親知らずが部分的に生えてきている状態の時に顕著に表れる症状で、ケアができない歯茎がかぶっている部分に細菌がたまることで腫れや痛みを生じさせ、場合によっては口を開くのが難しくなってしまうことも。

また智歯周囲炎は、疲労やストレスがたまっている時に症状が悪化しやすい特徴もあるので、日常的な体調管理にも配慮が必要です。たまってしまった細菌は、感染症を引き起こす場合もあり、腫れや痛みの増幅と場合によっては発熱を伴うこともあります。上記の症状に心当たりがある方は、無理せず早めに歯科医院での適切なケアを受け、症状の悪化を防ぎましょう。

 

親知らずの位置と生え方の問題からくる痛みと腫れ

親知らずは、10代後半から20代にかけて生えてくることが多いですが、親知らずの歯根が成長する過程で、歯茎を圧迫し腫れを引き起こすことがあります。また現代人は遺伝や食生活・口呼吸などの要因から顎のスペースが小さく、親知らずがまっすぐ生え揃うことは多くありません。

横向きに生えてしまったり、歯茎の中に埋もれている場合、歯茎に強い圧力がかかり、炎症を引き起こすことで腫れや痛みの原因となります。

このような場合には、親知らずが隣の歯を押して歯並びを悪化させてしまうこともありますので、早め早めの対処が必要です。

2.親知らずが腫れるときの症状

親知らずが腫れると、さまざまな症状が現れます。痛みや腫れ、熱っぽさなどが主な症状ですが、これらは親知らずの状態や個人の体調によって異なります。こちらでは、親知らずが腫れたときに見られる一般的な症状を紹介していきます。

 

痛みの特徴と悪化のサイン

親知らずの腫れによる痛みの特徴は、ズキズキとした鈍い痛みです。この痛みは、炎症が進行するにつれて悪化することがあり、特に食事中やお口を開ける際に痛みが増す場合には、炎症が進行しているサインの可能性があります。

 

顔の腫れと熱っぽさの原因

親知らずの腫れは、顔の一部にまで及ぶことがあります。炎症が親知らず周囲の組織に影響を及ぼしているからだと考えられます。さらにひどくなると、熱っぽさを感じることもあります。このような症状の場合、感染症を引き起こしている可能性もありますので注意が必要です。

 

お口の開閉・咀嚼時の違和感

親知らず周辺組織の腫れによって食事の際に違和感があることがあります。これは腫れによって嚙み合わせが変わってしまうことが原因です。炎症が顎の筋肉や関節に影響を与えると、お口を開けづらいなど症状も発生します。

 

その他の関連症状

親知らずの腫れに伴い、頭痛や耳の痛みを感じることもあります。これらの症状は、炎症が広がり、神経に影響を及ぼしている可能性があります。症状が続く場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

3.親知らずが腫れた時の対処法

親知らずの腫れを治療するためには、まず原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。腫れがひどい場合は、歯科医院での専門的な治療が必要になることもありますが、軽度の腫れであれば自宅でのセルフケアで改善するものもあります。ここではご自宅でできる親知らずの腫れへの対処法をご紹介いたします。

 

痛み止めを飲む

歯科医院では痛みをとめる薬や、ばい菌を抑える薬として抗生物質が処方されます。痛み止めは市販でも手に入るので、急な痛みでどうしても歯科医院に行けないときは、市販薬の服用も可能です。

※市販薬を使用する際には薬剤師の指示に従い、用法用量を守って使用してください。

 

患部を清潔に保つ

親知らずの腫れは、親知らずのまわりが食べかすや汚れでつまったままになっていることで起こります。食べ物がつまらないように清潔を保つことが取るべき予防策といえますが、親知らずは歯ブラシがしっかりと当たりづらい場所にあり、気をつけていてもどうしても汚れがたまりやすい部分です。そこで試してもらいたいのが以下の方法です。

 

・奥歯用の部分磨き用の歯ブラシを使う
・デンタルフロスで汚れを取り除く
・うがい薬でうがいをする
・お酒や運動、お風呂など血行がよくなることは控える
・冷やす時はほどほどに

 

ケアが難しい親知らずですが、清潔に保つことで炎症を抑えることができます。

4.親知らずの抜歯基準

親知らずはその生える場所がそもそも治療しづらいということと、神経に近いところに生えていること、その形状からほとんどの場合歯茎を切開する必要があることから、抜歯後に腫れを伴うケースが多く見受けられます。 精神的にも肉体的にも負担が大きいので、親知らずを抜歯するかどうか、状況によって判断しましょう。

 

▼抜歯した方がいいケース

 

親知らずの頭が少しだけ出ている場合
一部が出た親知らずは、特に汚れがたまりやすく管理がしにくいといえます。それ以上生える見込みがなければ早い段階で抜歯した方がいいといえます。

 

横向きの親知らずが、歯並びを悪化させている場合
通常上を向かなければならない歯冠部が、隣の歯に向いていたり、隣の歯にしっかりとかみ合い支えている場合、歯並びを押すなどの不具合が起きやすくなります。

 

歯茎に埋まった親知らずの周囲に嚢胞がある場合
埋まっている歯の歯冠を含んで発生することの多い含歯性嚢胞。袋状をしており、骨を溶かしながら大きくなってしまうため、手術が必要になります。

 

かみ合う歯がなく、歯茎や粘膜を傷つけている場合
生えてきた親知らずとかみ合う親知らずがない場合、歯が下方向に伸びて歯茎にあたり痛みが出る場合があります。

 

ひどい虫歯や歯周病にかかっている場合
すでにひどい虫歯や歯周病にかかっている親知らずは、抜歯しないことで隣の歯に影響を及ぼすことが考えられるため、抜歯が推奨されるケースとなります。

 

▼抜歯をしなくてもいいケース

 

まっすぐに生えている場合
まっすぐに生えた親知らずは、歯磨きがしやすいため無理に抜歯をする必要ありません。

 

親知らずを清潔に保つことができる場合
汚れが溜まった親知らずは、虫歯や歯周病、口臭などの原因となりますが、日頃からきれいにメンテナンスをすることが可能で、清潔に保つことができ、トラブルもないならば親知らずをあえて抜かずに親知らずと上手く付き合っていく方法もあります。

 

歯牙移植やブリッジを視野に入れて温存したい場合
歯牙移植は、虫歯や歯周病で失ったところに違う歯を入れる方法であり、適応するためには細かな条件がありますが、例えば第二大臼歯(7番)などを失った場合には移植できる可能性があり、移植できれば保険適用もでき、インプラントよりも負担のない治療法といえます。

ブリッジは、別名橋桁といい、自分の歯を支柱にしてその間の欠損を補う方法 であり、同じく第二大臼歯が虫歯になった際の支柱として親知らずを活用する方法もあります。

5.親知らず抜歯後の腫れと痛み

親知らずの抜歯後は多くの場合、腫れと痛みを伴うと前述しましたが、その痛みがどのくらい続くのか、またつらい痛みへの応急処置、腫れがなかなか引かない場合の対処について見ていきましょう。

 

親知らずの抜歯後の腫れる期間はどのくらい?

親知らずは抜いた場合、腫れと痛みは3日前後続きます。歯科医院ではこの期間の痛み止めと抗生剤を処方するのが普通です。腫れは抜いた当日よりも翌日の方がひどくなる傾向があり、上の親知らずよりも下の親知らずの方が腫れることがほとんどです。これは上の親知らずよりも下の親知らずの方が骨が厚く、神経に近いことが原因です。

腫れは3日前後をピークとして、1週間もすれば腫れは自然におさまっていきます。ただし腫れや痛みは個人差が大きく、中には数週間に渡って 腫れる人もいます。徐々に症状が落ち着いてくるようなら問題はないので、安静にしつつ経過を観察しましょう。

 

抜歯後の腫れへの応急処置

抜歯後の腫れは上顎か下顎かによっても違いがあり、また個人差も大きいといえます。腫れを少しでも早く引かせるために気をつけるべきことは以下になります。

処方された薬はしっかりと服用
抜歯後、ほとんどの歯科医院では、感染を防ぐための抗生物質と痛み止めを処方されると思います。抗生物質は処方されたものをしっかりと飲み切ることが大切です。また、痛みも無理に我慢せずに痛み止めも併せて服用しましょう。

抜歯後の傷口は刺激しない
親知らずは大きな歯なので、当然抜歯後の穴も大きなものとなり、細菌感染も起こりやすくなります。術後はかさぶたの役割を担う「血餅」と呼ばれる血の塊が穴を塞いでくれるため、血餅がしっかり固まるまでなるべくうがいを控え、舌や歯ブラシなどでも刺激を与えないように気をつけましょう。

また、歯磨き粉などもその粒子が患部への刺激になりやすいため、症状が落ち着くまではつけない方が望ましいといえます。

お酒や運動、お風呂は控える
親知らず抜歯前の腫れと同様に、抜歯後の腫れにおいても、血流の流れを良くしてしまうお酒や運動、長くお風呂に入るなどはなるべく控えましょう。

 

抜歯後の腫れが引かない時は?

親知らずの抜歯後、自分の顔を鏡で見て驚かれる方は少なくありません。しかし腫れは抜歯後の正常反応であり、基本的に待つより仕方がない反応でもあり ます。ただ数週間たっても腫れが引かない場合は注意が必要です。 親知らずを抜歯すると、出血が塊になりしこりとして残ることがあり、この塊に細菌感染を起こし腫れが残る場合があります。

大抵は徐々に小さくなるものなので、心配をしすぎず、いつまでも腫れが引かないようであれば、早めに抜歯を行ってもらった歯科医院へかかりましょう。

6.まとめ

親知らずの腫れについて抜歯前と抜歯後の症状と対処法についてお伝えしました。親知らずの抜歯前に起こる腫れや痛み(智歯周囲炎)は急性の症状でつらいものです。汚れがたまるのを防ぐため、日頃から、口腔内の清掃しっかり行うことが大切です。

また、親知らずを抜歯することにしても、抜歯をせずに親知らずと上手に 付き合うにしても、あらかじめどのような症状が出るのかを把握した上で、症状が出た時に慌てないように心の備えをしておくことをおすすめします。

監修医

好岡 夢貴先生

柏 なかよし歯科・口腔外科 院長

経歴

2013年3月 日本歯科大学 卒業
2013年4月 神奈川歯科大学 勤務
2014年3月 神奈川歯科大学 退職
2014年4月 神奈川県横須賀市内の歯科医院 勤務
2014年10月 神奈川県横須賀市内の歯科医院 退職
2014年12月 柏 なかよし歯科・口腔外科 開業
2017年4月 医療法人社団カムイ会 理事就任
2018年10月 医療法人社団カムイ会 理事長就任
現在に至る

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