虫歯治療で被せた銀歯が突然取れることがあります。これは、銀歯自体や接着剤の劣化、または銀歯の周りに新たな虫歯ができて合わなくなることが原因です。
この記事では、銀歯が取れたときの対処法や注意点、そして銀歯が取れたまま放置した場合のリスクについて解説します。
虫歯治療で被せた銀歯が突然取れることがあります。これは、銀歯自体や接着剤の劣化、または銀歯の周りに新たな虫歯ができて合わなくなることが原因です。
この記事では、銀歯が取れたときの対処法や注意点、そして銀歯が取れたまま放置した場合のリスクについて解説します。
銀歯が取れてしまった!まずは、そんなときの対処法をご紹介します。
銀歯が取れたときは、まず容器に入れて大切に保管しましょう。状態が良ければ、歯医者さんで再接着してもらえることがあります。小さめのタッパーやチャック付き袋に入れて保管するのがおすすめです。新しい銀歯を作るには時間と費用がかかるため、絶対に捨てないようにしましょう。
銀歯が取れた歯も、しっかりと歯磨きをしましょう。硬いエナメル質の下にある象牙質が露出しているため、虫歯になりやすい状態です。また、空いた穴には食べかすや汚れが溜まりやすく、これが歯茎の腫れの原因になることもあります。銀歯が取れた歯はもろくなっているので、力を入れずにゆっくり丁寧に磨き、虫歯や歯周病を予防しましょう。
銀歯が取れた歯は、食事の際にできるだけ使わないようにしましょう。もろい状態のため、強く噛んだり硬い物を食べたりすると、ひびが入ったり割れたりする原因になります。歯が根元まで割れてしまうと、抜歯が必要になることもあります。
熱いものや冷たいものの飲食は控えましょう。銀歯が取れた歯は神経に刺激が伝わりやすく、痛みやしみる症状が出ることがあります。できるだけ熱いものや冷たいものを避け、銀歯が取れた反対側の歯で飲食するようにしましょう。
銀歯が取れたら、できるだけ早く歯医者さんで治療を受けましょう。遅くとも2週間以内に受診することをおすすめします。旅行先で銀歯が取れた場合は、現地の歯医者さんで応急処置をしてもらい、戻ってからかかりつけの歯医者さんで診てもらいましょう。
銀歯を誤って飲み込んでしまっても心配はいりません。消化されずに2~3日後には便と一緒に排出されますので、そのままトイレに流しましょう。数日経っても排出されず、お腹の調子が悪い場合や、飲み込んだときに喉に引っかかる感じがする、気管に入ったような異物感がある場合は、内科を受診してください。
つぎに、銀歯が取れてしまったときにやってはいけないことを3つご紹介します。
自分で無理に戻そうとすると、銀歯や歯を損傷してしまう原因となります。たとえ銀歯が元の歯にすっぽりはまっても、浮いた状態で歯との間には隙間があります。そのまま使用すると歯にひびが入る、割れる、欠けることにつながります。さらに、再び取れてしまった際に、誤って飲み込んでしまうことや気管に入る恐れもあります。
瞬間接着剤で銀歯をくっつけることは、歯の寿命を縮める危険な行為ですので絶対にやめましょう。口の中には多くの雑菌があり、接着剤を使って自分で銀歯を付けると、銀歯と歯の間に雑菌が入り、虫歯や膿の原因になります。また、瞬間接着剤は水に溶けやすく、中に空洞ができてしまい、これも雑菌が入り虫歯の原因となります。
さらに、接着剤を取り除くのが難しく、まだ使用できた銀歯でも新しく作り直す必要が出てきます。残っている歯に付いた接着剤を除去するために、本来なら削らなくても良かった部分を削ることにもつながります。
銀歯が取れた歯は気になりがちですが、指や舌で触らないようにしましょう。雑菌が入り込んで虫歯や炎症を引き起こす可能性があります。また、すでに虫歯になっている場合、刺激することで痛みが生じることもあります。
銀歯が取れてしまっても、仕事や子育てで忙しくてすぐに歯医者さんに行けない場合もあるでしょう。銀歯が取れたまましばらく放置していても大丈夫なのでしょうか?ここでは、放置した場合に起こりうるリスクについてご紹介していきます。
銀歯が取れて1カ月放置すると、多くの場合、初期の虫歯が始まります。治療で削った歯を守る役目を果たしている銀歯が取れたということは、柔らかい象牙質の部分がむきだしになっているということです。歯の象牙質の部分は虫歯になりやすく、銀歯が取れた歯は食べかすが溜まりやすいです。そのため、常に高い虫歯のリスクにさらされている状態にあると言えます。
銀歯が取れて3カ月が経過すると、虫歯が大きく進行して歯に穴があくと言われています。歯の象牙質の部分から伸びている管を細菌が侵食していき、神経まで達するのも時間の問題となります。
放置してから半年ほど経つと、歯が欠けるようになります。歯の内側の柔らかい象牙質の部分が虫歯に溶かされ、残された外側のエナメル質の部分ももろくなるからです。神経が残っている歯であれば、継続的な強い痛みが発生する場合もあります。
銀歯が取れた部分は食べかすが詰まりやすく、歯周病菌が繁殖しやすい状態です。そのため、歯茎が炎症を起こして腫れるなど、歯周病の症状が出る原因となります。
銀歯が取れたことで、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。噛み合わせが悪い状態が続くと、あごの痛みや頭痛を引き起こす場合があります。
虫歯菌や歯周病菌が繁殖すると臭いが出ます。銀歯が取れた歯には食べかすが溜まりやすいので細菌の温床となります。取れたまま放置しておくと口臭の原因となります。
前述した通り、銀歯が取れた歯を放置していると、虫歯や歯周病になりやすい状況になります。その歯が原因で、周りの歯も虫歯や歯周病になる可能性があります。
銀歯が取れたら、歯医者さんに行くまでの間、銀歯の保管と取れた歯のケアをしっかり行いましょう。銀歯を自分で戻すことは絶対に避けてください。銀歯が取れたまま放置すると虫歯のリスクが高まり、痛みがなくても症状が進行することがあります。悪化すると最終的には歯を失うことになるため、早めに歯医者さんを受診しましょう。
監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る