【歯科医師監修】口内炎を早く治す栄養素や食材とは?

口内炎の原因はいろいろありますが、そのひとつに栄養不足が挙げられます。しかし、きちんと食べているつもりだったのに口内炎になってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか?

ここでは口内炎の予防や治癒を促進するための栄養について解説します。さらに、口内炎ができているときに食べやすい調理方法やメニューについてもご紹介します。

この記事の目次

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1.口内炎のときに摂りたい5つの栄養素

まず、口内炎の予防や治癒を促進するために積極的に摂りたい栄養素をご紹介いたします。

 

ビタミンA:粘膜や皮膚を正常に保つ

ビタミンAを多く含む食材
動物性:レバー、魚類、うなぎ、バター、チーズ、卵 など
植物性:ブロッコリー、ニンジン、カボチャ など

ビタミンAは、粘膜を丈夫にして細菌から体を守り、代謝を正常にして肌を健やかに保つ働きを持っています。ビタミンAが不足すると暗いところで目が見えにくなる場合や視力低下などが起こり、悪化すると失明につながることもあります。しかし、妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると胎児に影響が出ることがありますので注意が必要です。

 

ビタミンB:粘膜や皮膚を修復する

ビタミンBを多く含む食材
ビタミンB1:豚肉、レバー、豆類、胚芽米や玄米、たらこ など
ビタミンB2:レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉菜類、海藻類 など
ビタミンB6:かつお、まぐろ、さんま、レバー、肉類、バナナ、ニンニク など

ビタミンBには、炎症を起こした粘膜を修復する働きがあり、とくにビタミンB1、B2、B6が口内炎の治癒の促進にも効果があるとされています。また、脳神経系の働きを正常に保つ作用があるほか、タンパク質をエネルギーに変換するための働きがあるため、筋肉や血液が作られるときに必要な栄養素でもあります。

 

ビタミンC:ストレスへの抵抗力を高める

ビタミンCを多く含む食材
果物(柑橘類)、ブロッコリーなどの野菜類、イチゴ、メロン、トマト、いも類 など

人は過労やストレスが原因で、活性酸素を過剰に発生させてしまいます。ビタミンCは増えすぎた活性酸素を抑える働きがあります。また、ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンともいわれています。

 

鉄分:疲労を回復して代謝を促進

鉄分を多く含む食材
レバー、あさり、牡蠣、納豆、ほうれん草、凍み豆腐(高野豆腐)など

鉄分は血液を正常に保つために欠かせない栄養であると同時に、筋肉中に酸素を蓄える働きもします。また、エネルギーを代謝するときにも必要となる栄養です。鉄分には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、吸収率がよいのはヘム鉄です。また、非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ることで吸収率が高まります。

 

亜鉛:皮膚や粘膜の代謝を促進

亜鉛を多く含む食材
牡蠣、うなぎ、赤身肉、鶏肉、海藻類、豆類、ナッツ類、全粒穀類、乳製品 など

亜鉛は、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがあります。また、味覚を正常に保つ働きがあり、細胞が生まれ変わるために必要な栄養でもあります。

2.栄養素の摂取方法

口内炎の症状を緩和するために、栄養のあるものを摂取することは大切です。だからこそ、なるべく苦痛なく栄養のあるものを食べられるように工夫しましょう。

 

刺激物は避ける

患部を刺激してしまうものは避けるようにしましょう。熱いものも刺激が強いので適度に冷ましてから食べるようにしましょう。また、薄味にすると患部にしみにくくなります。もちろん、辛い味付けのものは避けた方がよいでしょう。

 

水分が多くやわらかい食べ物を

口内炎の痛みが強く、食事がつらい場合には、あまり噛まずに食べられるやわらかい食べ物がおすすめです。具体的には、ゼリーやプリン、ヨーグルトなどです。また口内炎になると、しみる痛みから水分の摂取を控えがちになりますが、できるだけ水分も摂取するように意識してください。

 

サプリメントで補う

忙しくてきちんと食事が摂れない方や、外食が多く栄養が偏りがちになってしまう方は、サプリメントで不足している栄養を補うのも良い方法です。サプリメントはお薬ではなく食品のカテゴリーに分類されているため、治癒を目的にするのではなく、症状を緩和させたり、体調を整えるための補助的なものだと考えてください。

なお、サプリメントの種類によっては過剰摂取すると健康を害するものがあるので、説明書に記載されている服用量を必ず守るようにしてください。

3.口内炎の原因のひとつ「栄養不足」に注意

栄養不足はなぜ起こるのか?

世の中には調理済み・加工済みの食品が多く出回っています。これらはコンビニやスーパーなどですぐに買うことができ、忙しい毎日の中では非常に便利です。しかし、生食や自分で調理した料理と比較するとまれている栄養素が少ないことが多く、調理済み・加工済みの食品に偏った食生活が続くと体に必要な栄養が不足しがちになってしまう可能性があります。

また、ストレスや過度の飲酒などは、皮膚や粘膜を作るのに必要な栄養を大量に消費してしまいます。このような生活が続くと口内炎ができやすくなるといわれています。

 

バランスのとれた食事で口内炎予防に

仕事や家事など日々忙しく過ごしていると、どうしても食生活がおろそかになりがちですが、忙しい現代人であるからこそ、食生活の偏りに注意が必要です。特に不足しがちな栄養を意識し、バランスのとれた食事を摂ることで、口内炎の予防にも繋がります。

例えば、ビタミンは体内に蓄積できないものが多く、毎日摂取する必要があります。食事だけで補うことが難しい場合は、補助的にサプリメントを取り入れるのも良いですが、初めからサプリメントありきの食生活ではなく、必要な栄養をできる限り食事から摂取することが大切です。

4.まとめ

つらい口内炎の症状を緩和するためには、必要な栄養をきちんと摂ることが大事です。サプリメントはあくまでも補助的なものですので、必要な栄養をできる限り食事から摂取するようにしましょう。また、口内炎が治癒した後もバランスのとれた食事を心がけることで、予防につながります。口内炎にならないよう、しっかりと必要な栄養を摂るようにしましょう。

ただし1週間程度たっても改善が見られない場合は、歯医者さんに相談して適切な治療を受けるようにしてください。

監修医

鄭 尚賢先生

アイボリー歯科クリニック 顧問

経歴

1999年 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
2005年 東京歯科大学 卒業
2005年 ドルフィン歯科(千葉県佐倉市) 勤務
2005年 スウェーデンデンタルセンター (東京都千代田区) 勤務
2007年 駿河台下デンタルオフィス 開業 (東京都千代田区)
2008年 アイボリー歯科クリニック 開業 (東京都八王子市)
2010年 医療法人社団パーフェクトスマイル 設立
2014年 三鷹駅前デンタルオフィス開業 (東京都三鷹市)
2016年 荻窪駅前デンタルオフィス 開業 (東京都杉並区)
2018年 吉祥寺デンタルオフィス 開業 (東京都武蔵野市)
2024年 顧問 就任
現在に至る

取得資格・専門医資格
日本歯周病学会 歯周病専門医

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