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インプラント治療後にMRI検査はできる?真相と注意点を解説

「インプラント治療後のMRI検査は危険では?」と不安に思っている方はいらっしゃいませんか。インプラント治療では、顎の骨にチタンやチタン合金製のネジを埋め込むため、検査に悪影響を及ぼすのではないかと心配される方が多いでしょう。

この記事ではインプラント治療を検討されている方が少しでも安心して治療を受けられるよう、MRIをはじめとした各種検査とインプラントとの関係について詳しくお伝えしていきます。ぜひ治療時の参考にしてください。

この記事の目次

1.インプラント治療とは

虫歯や歯周病などにより失った歯の機能を取り戻すため、顎の骨にチタンやチタン合金製のネジを埋め込み、その上に人口歯を被せる治療をインプラント治療といいます。インプラントは、天然の歯と見間違うほど自然で、しっかりと噛めることから近年では人気の治療法の1つになっています。

2.インプラント治療後に検査は受けられる?

 

MRI検査

MRIは磁力を利用して画像を撮影する検査です。MRI検査で金属類がNGである理由は2つあります。1つは、金属類がMRIの磁力で引き寄せられ、装置を破損させる恐れがあること、もう1つは金属類がMRIの画像にアーチファクトというノイズを発生させることです。

しかし近年、歯科インプラントに使われる主な素材は非磁性体であるチタンやチタン合金となっており、MRIの磁力による影響を受けることはありません。インプラント治療後のMRI検査は、ほとんどのケースで問題なく受けられることが分かっています。

 

CT検査

CT検査とは、ぐるりと360度、あらゆる方向からX線を照射することで、体の内部がどうなっているかを撮影する検査です。CTを撮る時にアクセサリーなどの金属類を外すよう指示されるのは、金属がX線を通しにくく、光が乱反射したような像が写り、体内をきちんと撮影できないからです。これは、銀歯のような口内の詰め物や被せ物でも同様です。

ただしインプラントに使用されているチタンはX線を吸収しにくいため、画像が大きく乱れることはありません。そのためCT検査でインプラントが特に大きな影響を及ぼすことはないでしょう。

 

その他の各種検査

歯医者さんでは、インプラント治療後にも、インプラントや、周りの歯、骨の状態を調べるためレントゲン検査を行っています。MRIやCT検査はもちろん、レントゲン検査にも大きな影響はないとされています。

またPET検査やエコー検査などの各種検査も手術前と同じように問題なく受けられるでしょう。

3.検査を受ける際の注意点

 

マグネット式のインプラントは注意

人口歯をマグネット(磁石)で装着しているインプラントに限っては、少し注意が必要です。MRI検査ではマグネットが磁力による影響を受けるとともに、画像にも乱れを起こす恐れがあるからです。CT検査においても、診断に影響が出るほどではありませんが、画像が乱れる可能性があります。

マグネットタイプのインプラントは、上から被せた人口歯にマグネットが付いているため、すぐに取り外すことができます。ただし、土台になっているインプラントの先にマグネットが付いているケースでは、歯医者さんにしか取り外せない場合があります。

自分のインプラントがどのようなタイプなのか、マグネットを使っているのかどうかが不明な方は、検査を受ける前に必ず治療を行った歯医者さんに確認しましょう。

 

もし断られたら治療した歯科医院へ相談する

インプラント治療を受ける患者さんの増加とともに、インプラントを理由にMRI検査を断られることは、ほとんどなくなりました。もしインプラントを理由にMRI検査を断られたら、治療を行った歯医者さんにすぐ相談をしましょう。

自分のインプラントの素材や術式について確認できるとともに、必要があれば、MRI検査に問題がないことを書面にしてもらうことができます。

 

「歯科インプラント」と正確に伝える

MRI検査の前に、検査技師に体内にインプラントがあるかどうかを尋ねられたら、「歯科インプラント」であることを必ず申告してください。「インプラント」とだけ申告すると、心臓ペースメーカーや人工内耳と勘違いされることがあり、その2つはMRIを断られる可能性があります。

4.まとめ

インプラントの普及とともに、近年では、MRI検査を含め検査を断られることは減りつつあります。しかしマグネット式のアタッチメントを使用している場合など、注意が必要なケースもあります。検査を受ける前には、インプラントの素材などについて、あらかじめ治療を受けた歯医者さんに確認しておくようにしましょう。

また、MRIやCT検査の前には、担当医師や検査技師に「歯科インプラント」を使用していることを申告し、あわせて使用素材についても申告するようにしてください。

監修医

鄭 尚賢先生

アイボリー歯科クリニック 顧問

経歴

1999年 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
2005年 東京歯科大学 卒業
2005年 ドルフィン歯科(千葉県佐倉市) 勤務
2005年 スウェーデンデンタルセンター (東京都千代田区) 勤務
2007年 駿河台下デンタルオフィス 開業 (東京都千代田区)
2008年 アイボリー歯科クリニック 開業 (東京都八王子市)
2010年 医療法人社団パーフェクトスマイル 設立
2014年 三鷹駅前デンタルオフィス開業 (東京都三鷹市)
2016年 荻窪駅前デンタルオフィス 開業 (東京都杉並区)
2018年 吉祥寺デンタルオフィス 開業 (東京都武蔵野市)
2024年 顧問 就任
現在に至る

取得資格・専門医資格
日本歯周病学会 歯周病専門医

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