インプラントは金属アレルギーでも大丈夫?リスクや金属以外の素材をご紹介

インプラントは、人工の歯を顎の骨に埋め込む治療法です。金属のネジを使用するため、金属アレルギーが心配になる方も多いでしょう。

この記事では、インプラント治療を検討している方で、金属アレルギーに不安がある方のために、インプラントのリスクについて解説します。金属アレルギーでもインプラント治療を受けられるのかなど、気になる点についてもお答えします。

この記事の目次

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1.インプラントの金属アレルギーのリスクとは

生体とのマッチングがいい金属を使用

インプラントに使用される金属は主にチタンです。チタンは人体との相性が良く、歯科インプラントだけでなく人工関節やピアスの素材としても広く使われています。金属アレルギーが心配な方にとっては身近な金属と言えるでしょう。チタンは金属アレルギーの発症率が非常に低いとされていますが、100%安全とは言い切れません。金属アレルギーが心配な方は、インプラント治療を受ける前にアレルギーテストを受けることをお勧めします。

 

金属アレルギーの有無を調べるには?

金属アレルギーの有無を知りたい場合は、皮膚科でパッチテストという診断方法を受けることができます。金属の薬を塗り、数日後に反応を確認することでアレルギーの有無が分かります。保険適用で1,000円程度から、自由診療では18,000円程度で調べることが可能です。

すでにインプラントを行っていて、金属アレルギーと思われる症状がある場合は、念のためパッチテストを受けることをお勧めします。また、これまでにアクセサリーなどで金属アレルギーが出ていなかったとしても、金属の種類によってはアレルギー反応が現れることがあります。パッチテストでは複数の金属に対する反応を確認できるため、インプラントに使用する金属にアレルギーがあるかどうかも事前にチェックできます。

不安がある場合は、歯科医に相談し、インプラント手術の前にパッチテストを受けることを検討しましょう。

 

金属アレルギーは突然発症することも

これまでアレルギー反応がなかった人でも、金属アレルギーは突然発症することがあります。例えば、花粉症が突然発症するのと同じようなものです。「今はアレルギーがないから」と無関心でいるのはよくありません。金属アレルギーは誰でも突然発症するリスクがあることを認識しておきましょう。今は症状がなくても、アレルギーテストを受けることが可能です。目立った反応がない、または自覚がないだけということもあるかもしれませんので、心配な方は調べておくと安心ですね。

2.インプラントが原因の金属アレルギーの症状

金属アレルギーが発生する仕組み

ここでは、インプラントが原因となる金属アレルギーの発生メカニズムについて説明します。

金属アレルギーは、口の中の金属が溶け出して金属イオンとなり、それが体内のたんぱく質と結合することで発生します。この結合物質を身体が「異物」と誤認することで、アレルギー反応が起こるのです。

インプラントが口の中にある場合、少量の金属イオンが流れ出します。しかし、たんぱく質と結合した物質が「異物」と認識されなければ、アレルギー反応は起こりません。

インプラントの歯根部分に使用されるネジ(フィクスチャー)や、フィクスチャーと人工歯をつなぐ土台(アバットメント)は金属製です。例えば、ピアスによるアレルギーの場合、ピアスを外すことでアレルギー源を取り除くことができます。しかし、インプラントの部品は常に装着されているため、簡単に取り除くことができず、金属イオンが流れ出す量も多くなります。

 

金属アレルギーの症状

歯科用金属による金属アレルギーが発生すると、口の中に「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」や手足に「丘疹(きゅうしん)」が見られることがあります。

「扁平苔癬」は乳白色の苔のようなものや炎症が現れるもので、頬の粘膜、舌、歯肉、口蓋、唇などに見られることがあります。一方、「丘疹」は赤いかぶれのようなもので、強いかゆみを伴います。

これらの症状は、原因となる金属を除去すれば改善されます。インプラント以外で取り除ける金属があれば、皮膚や粘膜から遠ざけるようにしましょう。また、口内炎のような症状が見られることも多いため、金属アレルギーの症状は一つだけではないことを認識しておくと良いでしょう。

アクセサリーなどによる金属アレルギーが重なり、複合的な条件でアレルギー症状が現れることもあります。アレルギーが何度か発生している場合、その時の状況をメモしておくと、原因究明のヒントになるかもしれません。

3.アレルギーの心配がない治療法も

セラミック素材の部品で

金属アレルギーの不安を解消するためには、金属を一切使用しないことが重要です。そのため、インプラントもセラミックなどの金属以外の素材を選ぶようにしましょう。

金属が口の中にあると、金属イオンが流れ出し続けるため、症状が緩和されることはありません。セラミックはアレルギー反応が出にくく、義歯にもよく使われる素材であり、インプラントにも適しています。もしすでにインプラント治療を受けていて金属アレルギーと診断された場合は、早急にセラミックなどの素材に変更することを検討しましょう。

 

セラミックの場合のインプラント費用

インプラント自体も高額ですが、セラミックにするとさらに費用がかかります。

セラミック素材の「ジルコニアセラミッククラウン」にすると、1本あたり約9〜20万円かかることがあります。チタン製のインプラントでも9万円程度かかることが多いですが、歯医者さんによっては1本あたり20万円の費用がかかる場合もあります。

インプラントは自由診療のため、費用は歯医者さんが決定します。セラミックのインプラントを検討している場合は、事前に歯医者さんに費用を確認しておきましょう。

4.まとめ

インプラント治療はアレルギーの有無に関わらず、しっかりと検討する必要があります。治療のリスクを理解し、歯医者さんにアレルギーの可能性や不安を伝えて、不安要素を取り除いてから治療を始めましょう。自分に合った治療法は、歯医者さんとのコミュニケーションで見つけることが大切です。

監修医

鄭 尚賢先生

アイボリー歯科クリニック 顧問

経歴

1999年 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
2005年 東京歯科大学 卒業
2005年 ドルフィン歯科(千葉県佐倉市) 勤務
2005年 スウェーデンデンタルセンター (東京都千代田区) 勤務
2007年 駿河台下デンタルオフィス 開業 (東京都千代田区)
2008年 アイボリー歯科クリニック 開業 (東京都八王子市)
2010年 医療法人社団パーフェクトスマイル 設立
2014年 三鷹駅前デンタルオフィス開業 (東京都三鷹市)
2016年 荻窪駅前デンタルオフィス 開業 (東京都杉並区)
2018年 吉祥寺デンタルオフィス 開業 (東京都武蔵野市)
2024年 顧問 就任
現在に至る

取得資格・専門医資格
日本歯周病学会 歯周病専門医

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