歯茎に白っぽいできものがある場合、それは口内炎かもしれません。
歯茎にできる口内炎には、いくつかの種類があります。今回は、歯茎にできる口内炎の原因と種類、治療法や自宅でできるケアについて紹介します。また、子供に発症しやすい口内炎や、ほかの病気が原因で起こる口内炎の症状や種類についても紹介します。
歯茎にできた口内炎が痛い!種類や原因、治療法を解説!
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この記事の目次
1.歯茎にできる口内炎の種類
歯茎にできる口内炎にはいくつかの種類があります。ここでは、代表的なものを紹介します。
■アフタ性口内炎
歯茎にできる口内炎のなかでとくに多いのが「アフタ性口内炎」です。
アフタ性口内炎とは、口腔粘膜にできる直径数ミリの円形もしくは楕円形の境界がはっきりした浅い潰瘍で、その周りを取り囲んで幅の狭い赤くなった部分があり、潰瘍面が白色に近いものを言います。
<原因>
ストレスや環境の変化、睡眠不足による免疫力の低下などが主な原因として考えられています。
歯茎の場合は、ブラッシング時に歯茎を傷つけてしまい傷口から細菌が感染することも原因として挙げられます。
<症状>
・刺激が強い食べ物や飲み物がしみる
・触れるだけで痛む
<自宅でできるケア>
アフタ性口内炎は、約1~2週間で自然に沈静化します。この間、お口の中を清潔に保つことを心がけ、十分な栄養と休養を取ってください。口内を清潔にするために除菌作用のある洗口液やうがい薬を使用するのもよいでしょう。口内炎ができているときは患部を傷つけないよう、歯みがきはいつもより優しく行うことも大切です。
さらに痛みがひどい場合や、少しでも早く治したい場合には、市販薬の使用で沈静化の促進が期待できるでしょう。市販薬には患部に薬剤を塗布する軟膏タイプ、患部を保護できるパッチ(貼る)タイプ、手が届きにくい場所にも塗布しやすいスプレータイプがあります。
また、ビタミンAとB群のサプリメントの摂取もおすすめです。ただし、ビタミンAは過剰摂取による副作用があるため、厚生労働省が定める耐容上限量を守る必要があります。
<治療法>
歯科医院では、口内炎の症状に適した治療を受けることができます。
軟膏を塗ることやパッチを貼ること以外に、歯科用レーザーで患部を焼き痛みを和らげ沈静化を促進する方法もあります。ただし、歯科用レーザーはすべての歯科医院が導入しているとは限りませんし、歯科用レーザー治療は自由診療(保険外治療)になります。治療の可否や費用については、事前に病院へ確認するようにしましょう。
■ウイルス性口内炎
ウイルスに感染することで起こる口内炎もあります。他の口内炎と違い、感染力が強いので注意が必要です。
<原因>
ストレスや過労により免疫力が低下し、ウイルスに感染することが主な原因といわれています。
また、すでにウイルス性口内炎にかかっている人が使用したタオルや食器、食べかけの食べものなどから感染することもあります。
<症状>
・水疱が歯茎だけでなく口内や唇、口の周りにも複数できる
・水疱が破れてただれている
・発熱や頭痛、だるさを感じる
・唇がピリピリする
・口臭が強くなる など
<自宅でできるケア>
ウイルス性口内炎が疑われるときは、すぐに治療を受けるようにしてください。
放置すると悪化しやすく、人に移してしまう恐れがあります。家庭内での感染を防ぐために、治るまではタオルは共有しないようにし、洗濯も分けて行いましょう。また、食器や箸、スプーンなども共有しないように気をつける必要があります。
<治療法>
ウイルス性口内炎の治療方法には、抗ウイルス薬など飲み薬の服用と、軟膏の塗布があります。
重症化すると食事もままならなくなることもあり、入院が必要になる場合もあります。自己判断は避け、きちんと診療してもらうようにしましょう。
2.ウイルス性口内炎の代表例
ウイルス性口内炎の代表的なものとして、ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、手足口病などがあります。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。ウイルス性口内炎が疑われる場合は、早めに病院を受診してください。
■ヘルペス性口内炎
「ヘルペス性口内炎」は生後6ヶ月~3歳程度の乳幼児がかかりやすい口内炎で、大人が感染することもあります。小さな水ぶくれが口内にたくさんできて、それがつぶれて炎症を起こします。39度前後の高熱が続き、痛みも強く、歯茎や唇が腫れることもあります。
進行すると食欲が低下するため、脱水症状などを起こし重症化することもあります。
■ヘルパンギーナ
発熱とともにのどが痛くなり、口蓋垂(俗称:のどちんこ)から上あごにかけて水疱がたくさんできるような場合は「ヘルパンギーナ」の可能性があります。これは、ウイルス感染によって起こるもので、夏(5~8月)に流行しやすい急性咽頭炎です。5歳以下の子供がかかりやすい病気といわれています。
つばを飲み込むのもつらくなるため、食欲低下や脱水症状を起こすことがあります。また、高熱のためけいれんを起こすこともあります。
手などについた便から感染することも多く、おむつや下着の交換のときは慎重に取り扱い、手洗いやうがいを徹底する必要があります。また、咳やくしゃみなどの飛沫感染、皮膚からの接触感染にも注意が必要です。
■手足口病
口内だけでなく、手のひらや足裏、足の甲にも水疱ができている場合は、「手足口病」の可能性があります。
ウイルス感染によるもので夏に多く発症し、発熱することもありますが高熱にはなりにくい病気です。発症してから数日で治まりますが、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症で重症化することがあります。また、水疱ができていないのに重症化することもあります。
3.歯茎にできる口内炎ではない病気
歯茎のできものは口内炎ではなく、他の病気が原因で発生しているかもしれません。
ここでは、口内炎以外で考えられる病気を紹介します。
■エプーリス(歯肉種)
歯茎にできる大豆くらいの大きさがある円形のできものは、「エプーリス」と呼ばれる良性の腫瘍の可能性があります。主に20~30代の女性、特に妊娠中の女性がなりやすいと言われています。
<原因>
合わない入れ歯や差し歯、矯正器具などによる刺激や、歯垢や歯石などによる慢性的な歯肉炎による影響が原因と考えられています。
また、妊婦さんは女性ホルモンの変化によりエプーリスができることがあります。
<治療法>
エプーリスになった場合、切除することが多いです。しかし、妊婦さんの場合は出産後に自然消滅することがあるため、多くの場合は口腔内を清潔にしながら経過観察となります。
■根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)のろう孔
ろう孔とは、歯根の根元にできた膿の袋の出口のことを言います。歯茎にできたニキビのようなできものは、歯根の先で炎症を起こす「根尖性歯周炎」の可能性があります。これは、虫歯が進行して虫歯菌が歯根を通り越し、あごの骨まで炎症を起こしている状態です。
根尖性歯周炎には慢性と急性があります。慢性の場合は痛みがないことが多く、レントゲンを撮ってはじめて気づくことも少なくありません。急性の場合は歯が浮くような感じや腫れ、温かいものでうずくといった温熱痛や、噛み合わせのときに強い痛みを感る咬合痛などがあります。
<原因>
虫歯菌による感染が主な原因です。
<治療法>
自然治癒しないため、歯科医院での治療が必要です。
歯の神経の治療を行うにあたって、拡大鏡やマイクロスコープを使用して治療している歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
■歯肉がん
口内炎の症状が強いと、心配になるのが「歯肉がん」です。
50代以上の男性の発生率が高いとされており、以下のような症状がある場合には歯肉がんの可能性があります。当てはまる症状がある場合は、なるべく歯科医院で診療してもらうようにしましょう。
<歯肉がんを疑う症状>
・患部を触るとしこりがあったり、痛みがあり、周囲がしびれている(感覚がない状態)
・口内炎のようなただれを起こしている
・歯茎の色が赤や白になってきた
・首のリンパ節が腫れてきた
・口の中の頬や歯茎や舌にできた潰瘍状のものがなかなか無くならない
4.まとめ
口内炎は、頬の裏側や唇、舌だけでなく、歯茎にできることもあります。また、歯茎にできる口内炎にもいくつか種類があることを紹介してきました。
たかが口内炎だと思っていても、人に感染にてしまうものや自然治癒しないもの、重症化しやすいものや歯肉がんなどの重大な病気が隠れている場合もあります。
安易に自己判断をせず、おかしいと思ったらなるべく早く歯科医院で診てもらうようにしましょう。
監修医
鄭 尚賢先生
アイボリー歯科クリニック 顧問
経歴
1999年 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
2005年 東京歯科大学 卒業
2005年 ドルフィン歯科(千葉県佐倉市) 勤務
2005年 スウェーデンデンタルセンター (東京都千代田区) 勤務
2007年 駿河台下デンタルオフィス 開業 (東京都千代田区)
2008年 アイボリー歯科クリニック 開業 (東京都八王子市)
2010年 医療法人社団パーフェクトスマイル 設立
2014年 三鷹駅前デンタルオフィス開業 (東京都三鷹市)
2016年 荻窪駅前デンタルオフィス 開業 (東京都杉並区)
2018年 吉祥寺デンタルオフィス 開業 (東京都武蔵野市)
2024年 顧問 就任
現在に至る
取得資格・専門医資格
日本歯周病学会 歯周病専門医