入れ歯とブリッジ、どちらが良い?費用や特徴を徹底比較

人は永久歯を失ってしまうと、二度と生えかわることはありません。虫歯やケガなどが原因で歯を抜いたり失ってしまった場合、それを治療するには「部分入れ歯」と「ブリッジ」のどちらが良いのか、また違いが分かりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。

本記事を参考に「部分入れ歯」と「ブリッジ」の違いを正しく把握し、いざというときに自分にあった治療方法を選択できるようにしましょう。

この記事の目次

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1.治療方法の違い

部分入れ歯とブリッジの治療方法の違いは「外せるか外せないか」にあります。

 

部分入れ歯は「取り外し式」

部分入れ歯は「取り外し式」のため、容易に外すことができます。また、人工的な歯を金属バネで固定する方式のため、隣の歯を削らずにすみます。

 

ブリッジは「固定式」

部分入れ歯が「取り外し式」であるのに対して、ブリッジは「固定式」になります。失った部分の前後の歯を削り、人工的な歯を連結させた冠(=歯のかぶせもの)を接着剤で固定します。難点は、健康な歯であっても固定するために前後の歯を削る必要があるということです。

2.費用の違い

ここでは気になる費用や、保険適用ができるかどうかについて見ていきましょう。

 

部分入れ歯にかかる費用

部分入れ歯は保険適用されるため、費用は5,000円~13,000円程度です。ただし、強度や汚れに強いプラスチック素材の入れ歯や、金属バネが目立たず装着時の違和感が少ないノンクラスプデンチャーなどについては自費診療の入れ歯となるため、10万円~数十万円以上の費用がかかります。また、耐用年数は約7~8年と言われています。

 

ブリッジにかかる費用

ブリッジも保険が適用できます。11,000円~38,000円程度の費用がかかりますが、天然の歯と遜色のない仕上がりが期待できるセラミックやジルコニアなど保険適用外の材質を使うことで、数万円~数十万円と高額になります。耐用年数は約8年と言われています。

3.部分入れ歯のメリット・デメリット

 

部分入れ歯のメリット

①お手入れがしやすい

部分入れ歯は取り外しができるため、入れ歯のお手入れがしやすく、クラスプをかける隣の歯も磨きやすいというメリットがあります。

②適応範囲が広い

部分入れ歯は本数に制限なく失ってしまった歯を補うことが可能です。一番奥の歯であっても、ひとつ手前の歯にクラスプ(金属バネ)をひっかけて固定できます。つまり、部分入れ歯は適応範囲が広いというメリットがあります。

 

部分入れ歯のデメリット

①噛む力は優れていない

部分入れ歯は治療した1点で咬合圧(歯を噛み合わせたときにかかる圧力のこと)を受けることになるため、噛む力が天然の歯の30~40%程度になります。また、部分入れ歯は、ガムやお餅などのくっつきやすいものが食べにくかったり、噛み合わせるときに痛みが生じることがあるので、「噛み心地」という点においてはそれほど優れていないといえるでしょう。

②ほかの歯へ負担がかかりやすい

部分入れ歯はクラスプと呼ばれる金属バネを隣の歯にひっかけて固定するため、クラスプをかけた歯に負担がかかりやすくなります。数年でぐらつきが生じて、抜歯しなくてはならないことがあるので注意が必要です。

③金属バネが目立つ

部分入れ歯では口を開けたときにクラスプ(金属バネ)が見えやすく、入れ歯をしていることが周囲の人に気づかれやすいという特徴があります。

4.ブリッジのメリット・デメリット

ブリッジのメリット

①噛む力が優れている

ブリッジは連結した複数の歯で咬合圧を受けることになります。そのためかける歯の状態にもよりますが、噛む力が天然の歯の60%程度となり、部分入れ歯よりも優れています。また支える歯に問題がない場合であれば、ブリッジの噛み心地は天然の歯とそれほど変わらないと感じるでしょう。

②見た目が自然

ブリッジは部分入れ歯と比べてとてもコンパクトで、天然の歯にあわせて形作られるため、見た目の違和感が少なく会話や食事のときにも分かりにくいです。

さらに人工の歯の材料にセラミックを使用することによって、天然の歯と遜色のないきれいな仕上がりにできます。※セラミックの使用によって保険の対象外となる場合があります。

 

ブリッジのデメリット

①歯を削る必要がある

ブリッジはクラスプでほかの歯にひっかける必要がないため、ほかの歯への負担は部分入れ歯にくらべ少なくなります。しかし、支えになる歯を削る必要があるため、削った部分から虫歯になりやすく、冷たいものがしみたり将来的に支えになる歯を失ってしまう場合があります。

②念入りなお手入れが必要

ブリッジは部分入れ歯のように取り外す必要はなくそのまま歯磨きをできます。しかし、接着しているため、ポンティックと呼ばれるブリッジの橋の部分と歯茎との隙間に食べカスがつまりやすく、歯ブラシでは落としにくいため汚れがたまってしまうことがあります。

③適応範囲が限られている

ブリッジは欠損している歯が多い場合、支える歯の負担が大きくなりすぎるため適応できません。また、ブリッジの治療を受けるためには前後に支えの歯があることが条件となるので一番奥の歯には適応できず、別の方法の検討する必要があります。

5.第3の選択肢「インプラント治療」とは

歯を失ったときの第3の選択肢としてインプラント治療があります。インプラント治療とは、歯を失った部分のあごの骨の中に、ボルトのような人工歯根を埋め込む治療方法です。インプラント治療の特徴もご紹介しますので、選択肢の1つとして知っておきましょう。

 

インプラントのメリット

①硬いものも噛める

人工歯根でしっかりと固定されるため、噛む力が天然の歯の約80%ほどまで回復可能で、歯を失う前と同じように硬いものでも自然に噛むことができます。

②ほかの歯への負担がかからない

失ってしまった歯の部分に人工歯根を埋め込むため、ブリッジのようにほかの健康な歯を傷つける必要がなく、部分入れ歯のように前後の歯にクラスプをひっかけないため、残っている歯への負担もほとんどありません。

③見た目が自然

見た目が天然の歯に近いうえに、最後にかぶせる人工の歯の材質にセラミックを使うことで、とても自然な仕上がりにできます。

 

インプラントのデメリット

①治療期間が長い

インプラント治療の期間は、個人の口腔内の状態や治療方法によって異なりますが、3ヶ月から1年程度かかります。

②誰でも受けられるわけではない

インプラント治療は外科手術が必要なため、糖尿病や心臓病、高血圧などの全身疾患を持っている人はインプラント治療が難しい場合があります。

また、インプラントを埋め込めるだけの骨量がない場合や、歯が抜けて放置していた期間が長い場合、噛み合わせに問題がある場合、強度が足りない場合なども、インプラント治療ができないと診断されるケースがあります。

③治療費が高額

インプラント治療は自由診療であり保険が適用されないため、部分入れ歯やブリッジよりも費用が高額になります。費用は歯医者さんによってさまざまであり、手術の難易度や埋め込む本数などによっても違ってきますが、インプラント1本の相場は30~50万円ほどとされています。

6.まとめ

保険の適用が可能なため、歯を失ったときの選択肢に挙がりやすい「部分入れ歯」と「ブリッジ」は、似ているようですが治療方法は大きく異なります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、特徴をよく理解したうえで選択しましょう。

また、失った歯の本数や場所によって希望する治療ができないこともあるので注意が必要です。歯医者さんでそれぞれの治療方法について説明を受け、十分に納得をしてから治療を受けるようにしましょう。

監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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