歯科医が教える!デンタルフロスのタイプ別使い方と選び方

「歯磨きは毎日欠かさないのに、どうして虫歯になるんだろう…」そう思ったことはありませんか?

実は、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは十分に落とせません。そこで活躍するのが、デンタルフロス。でも、「種類が多くてどれを選べばいいか分からない」「使い方が難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、デンタルフロスの正しい使い方から選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

毎日の歯磨きにプラスして、健康的な歯を目指しましょう!

この記事の目次

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1.デンタルフロスとは?

デンタルフロスとは

デンタルフロスは、歯と歯の間の狭い隙間に入り込んで汚れを落とすための、細い糸状の清掃用具です。糸巻きタイプ、ホルダータイプ、幼児用フロスなど様々な種類があり、自分の歯の状態や好みに合わせて選ぶことができます。

デンタルフロスは、歯ブラシだけでは落とせない歯間の汚れをしっかり落とし、虫歯や歯周病、口臭を予防することができます。

 

歯ブラシとの違い

歯ブラシは、歯の表面や歯と歯茎の境目の汚れを落とすのに効果的ですが、歯と歯の間の狭い隙間には届きにくいという弱点があります。一方、デンタルフロスは、細い糸状の形状で、歯ブラシでは届かない歯と歯の間の狭い隙間に入り込み、歯垢や食べかすを効果的に除去することができます。

歯ブラシとデンタルフロスは、それぞれ異なる役割を持つオーラルケア用品であり、両方を併用することで、より効果的に口内を清潔に保つことができるのです。

2.デンタルフロスの種類

デンタルフロスはドラッグストアなどで販売されていますが、多くのタイプがあり迷ってしまうかもしれません。代表的なタイプを紹介します。

 

糸巻きタイプ

糸巻きタイプは、ロール状のデンタルフロスを必要な長さに切って使います。細い糸が糸巻きに巻かれており、必要な長さを引き出して使います。糸の素材は、ナイロンやポリエステルなどで、ワックスでコーティングされているものと、そうでないものなど様々です。

コンパクトで持ち運びやすく、必要な長さに切って使えるため、無駄がありません。また、常に新しい部分のフロスを使えるので衛生的です。使用時、糸を指に巻きつけて使うため、慣れるまで少し練習が必要で、特に奥歯に使う際に、難しいと感じる方が多いようです。しかし、慣れると非常に使いやすく、歯間の細かい部分までしっかりと清掃できます。

 

ホルダータイプ

ホルダータイプは、糸巻きタイプのデンタルフロスに比べて、初心者でも使いやすい形状です。先端にフロスが張られており、持ち手がついているタイプです。

ホルダーの形状は、主に以下の3種類があります。
 F字型:前歯に使いやすい形状
 Y字型:奥歯に使いやすい形状
 I字型:歯と歯茎の境目に沿わせやすい形状

持ち手があるため糸巻きタイプよりも使いやすく、特に奥歯の清掃に適しています。すでに糸がピンと張られているため、歯と歯の間に挿入しやすいです。また糸巻きタイプのように指に巻き付ける必要がないので、指が痛くなりにくく、初めてフロスを使う方にはおすすめのタイプです。

 

幼児用

お子さまの小さな口に合わせたコンパクトなサイズで、持ち手も握りやすいように工夫されています。柔らかい素材で作られており、お子さまの歯茎を傷つけにくいように配慮されています。フッ素やキシリトールなどの虫歯予防成分が含まれているものや、お子さまが好むフルーツなどのフレーバーが付いているものもあります。

子どものデンタルケアにデンタルフロスを活用する方法は、欧米では当たり前になっており、歯科クリニックでも推奨されています。子どもに奥歯が生えてきたタイミングで使用するのがおすすめです。

3.正しい使い方

デンタルフロスは歯間の汚れを落とすのに効果的ですが、使い方を間違えると歯茎を傷つけたり、かえって汚れを押し込んでしまうことも…。正しい使い方を習得し、安全に歯間ケアを行いましょう。

 

基本的な使い方

まず歯と歯の間にフロスを入れます。一気に入れようとするのではなく、歯と歯の間にフロスを当てて、前後に細かくゆっくりと動かしながら少しずつ奥の方に入れていくようにします。

歯茎の中にデンタルフロスが少し隠れるくらいまで入ったところで、いずれかの歯に押し付けるような感じで、前後に動かして歯垢を擦り取っていくようなイメージで清掃します。

 

使用時の注意点

デンタルフロスを歯の間に入れるときに、強く押し込もうとすると歯茎にフロスが強くあたってしまうことがあります。その結果、歯茎を傷つけてしまったり、出血してしまったりすることもあります。

特に注意しないといけないのはコンタクトポイントです。コンタクトポイントとは、歯と歯の接している部分のことで、歯間が非常に狭いためフロスが通りにくくなっています。しかしコンタクトポイントを抜けると歯間が広がっている場合が多く、勢い余って歯茎を傷つけてしまう可能性が高いので気をつけましょう。

力を入れすぎず、ゆっくりと奥の方に入れていくように心がけましょう。

 

使用頻度

デンタルフロスは1日1回、タイミングは夜眠る前がよいでしょう。

眠っているときは唾液の分泌は少なくなるので、歯垢や食べかすが上手く洗い流されず、歯石になってしまうリスクが高まります。歯石になってしまうと歯科クリニックで専用の器具を使って除去しなければなりません。眠る前の歯磨き後にデンタルフロスを使う習慣をつけましょう。

4.糸巻きタイプの使い方

最初は扱いが難しいですが、慣れれば時間もかかりません。細かいところまできれいに掃除できるので、練習してみましょう。

 

事前準備

1回当たり40cm程度を目安に切り取ります。指先から肘までの長さがおよそ40cmと言われているため参考にしてみてください。

次に、両手の中指に2-3回、フロスの先端を巻き付けます。フロスを使っているときに指から脱落しないように確かめるため、巻き終わったら一度糸をピンと張ってみましょう。こうすると両手の間隔が10cmから15cm程度になるはずです。女性の場合は10cm程度の長さが使いやすいので、指への巻き付け回数などで調節しましょう。

 

歯への使用

上の歯の場合:前歯であれば親指と人差し指を使って、上向きに糸を押さえます。奥歯で使用するのであれば、両手の人差し指で上向きに糸を押さえましょう。そして両手の指をそれぞれ歯の内側と外側にセッティングします。

下の歯の場合:前歯・奥歯共通で、両手の人差し指を使って、糸を下向きに押さえましょう。上の歯と同じく、両手の指をそれぞれ歯の外側と内側で挟み込むような感じでセッティングします。

セッティングできたら、前後にゆっくりと小刻みに動かして、歯茎の下あたりまでフロスを入れていきます。フロスが入ったら、上下に数回動かして歯の側面の付着している歯垢をかき出すような感じで掃除をしましょう。

5.まとめ

デンタルフロスは、歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の汚れを除去し、虫歯や歯周病、口臭を予防するための必須アイテムです。毎日の歯磨きにデンタルフロスをプラスすることで、歯と歯の間がスッキリして気持ちいいだけでなく、口臭予防にもつながります。

健康な歯を保つために、今日からデンタルフロスを始めましょう!

監修医

中村 達哉先生

大和駅前歯科 院長

経歴

2000年 横浜歯科技術専門学校 卒業
2000~2003年 横浜市内歯科医院院内ラボ 勤務
2010年 鶴見大学歯学部 卒業
2010年 鶴見大学歯学部附属病院 勤務
2011年 ランドマーク歯科三島 勤務
2013年 スカイビル歯科 勤務
2015年 大和駅前歯科 継承開院
現在に至る

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