歯がほとんどなくなってしまった場合に利用する総入れ歯には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。この記事では、総入れ歯の種類や費用、メリット・デメリットを比較しながら、どの総入れ歯を選ぶべきかを解説します。総入れ歯を検討する際の参考にしてください。
総入れ歯の種類|特徴・料金・メリット・デメリットを徹底比較!
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この記事の目次
1.総入れ歯にはどのような種類がある?
総入れ歯の素材にはいくつか種類があり、その素材によって保険が適用できるかどうかや値段が変わります。
レジン床義歯
レジン床は、レジンというプラスチック素材を使用した保険適用の入れ歯です。一般的な入れ歯として知られており、やや厚めの床を使用しています。安価で作成できるのが特徴です。
メリット
レジン床は保険適用が可能なため、費用が安く、手ごろに装着できます。
デメリット
レジン床は厚みがあるため、食べ物の冷たさや熱さが伝わりにくく、噛み合わせに違和感を感じることがあります。
金属床義歯
金属製のプレートを使用した総入れ歯は、プラスチック製に比べて強度があり、汚れやにおいがつきにくい特徴があります。ただし、保険適用外のため、自費での支払いが必要です。
メリット
金属製の義歯床や義歯は、プラスチック製よりも薄く作ることができるため、装着時の違和感や噛み合わせの悪さを軽減できます。また、汚れにくく、においもつきにくいため、清潔を保ちやすく、メンテナンスも少なくて済みます。
デメリット
保険が適用されないため、費用が高額になることがあります。
チタン床義歯
チタンプレートを使用した総入れ歯は、軽くて扱いやすいのが魅力です。また、金属アレルギーを起こしにくいため、アレルギーが気になる方でも使用できる可能性があります。さらに、汚れにくく清潔を保ちやすいことや、体にやさしい素材であることも大きな特徴です。
メリット
最大のメリットはその軽さです。プラスチック製の入れ歯は重く感じることが多く、肩こりなどの問題を引き起こすことがありますが、チタンは軽いため違和感が少なく、快適に装着できます。また、チタンは他の金属と比べてアレルギーを起こしにくく、体にフィットしやすい素材として人気があります。
デメリット
保険が適用されないため、費用が高額になります。数十万円かかることもあるため、費用面での検討が必要です。
シリコン義歯
シリコン床を使用した総入れ歯は、装着部分にシリコンを一部利用して作られています。ほかの素材に比べて柔らかく、クッション性があるため、入れ歯を装着した際の違和感を軽減してくれる特徴があります。
メリット
シリコン床を使用すると、接着面の違和感を減らすことができます。シリコン床は柔らかいため、歯茎の凸凹部分にもフィットしやすく、入れ歯が取れにくくなるなどのメリットがあります。
デメリット
シリコン素材の義歯床を扱う歯医者さんは非常に少なく、壊れた際に対処してもらえるところが少ないというデメリットがあります。修理が難しく、一度壊れると作り直さなければならない可能性があります。また、金属製のものに比べて汚れがつきやすい点もデメリットです。
2.総入れ歯にはどのくらいの料金がかかる?
レジン床義歯は保険が適用できますが、レジン以外の素材は保険適用外のため、全額自己負担になってしまいます。ここでは、おおよその料金目安をご紹介いたします。
レジン床義歯
料金目安:約1万円程度
保険適用できるレジンで総入れ歯を作ると、ほかの素材よりも安価で作ることができます。万が一壊れてしまったり不備が出てきたりしても、数千~1万円程度で修理することができ、高価な金額を支払う心配がありません。
金属床義歯
料金目安:15~50万円程度
金属製の総入れ歯を作る場合は、保険を適用することができません。予算を検討しながら装着するかどうかを判断するとよいでしょう。
チタン床義歯
料金目安:40~50万円程度
保険適用のプラスチック製に比べれば高額になってしまいますが、ほかの金属も40~70万円ほどするので、別段に高価だとは言えないでしょう。そのぶんメリットも多いため、どれを選ぶかは個人の好みや予算によります。
シリコン義歯
料金目安:10~20万円程度
チタンなどほかの金属製のものはさらに数十万プラスでかかることになるため、それに比べると安価な金額といえます。
3.総入れ歯と部分入れ歯の違いとは?
料金(保険適用の場合)
入れ歯の料金は、歯をどれだけ入れるかによって異なります。総入れ歯は部分入れ歯よりも高額になります。数本の部分入れ歯であれば、費用は約5,000円です。しかし、総入れ歯の場合は約1万円かかります。部分入れ歯も総入れ歯に近づくほど金額が上がりますが、総入れ歯よりは安価です。
料金(自費の場合)
保険適用時と同様に、歯の本数によって料金が変わりますが、自費の場合は義歯や義歯床の素材によっても変わります。部分入れ歯は安ければ3万円、高ければ20万円ほどかかりますが、総入れ歯は少なくとも20万円以上かかります。選んだ素材によっては50万円以上することもあり、予算をしっかりと考慮する必要があります。
装着するまでの時間
総入れ歯は、歯がすべて抜けていないと装着できません。一方、部分入れ歯は1本でも歯が残っていれば装着可能です。総入れ歯は最終的な手段といえるでしょう。ただし、残っている歯が歯周病や虫歯にかかっている場合は、固定する役割を果たしづらいため、抜歯して総入れ歯にする方が都合が良いこともあります。
また、部分入れ歯に比べて総入れ歯は歯茎に接する範囲が広く、その分フィットするように作るために時間がかかります。何度も噛み合わせを試しながら、1カ月ほどかかることが多いです。部分入れ歯はそれより早く作れることが多いです。
4.まとめ
総入れ歯には、定番のレジン床のほか、金属床、チタンプレート、シリコン床などさまざまな種類があります。重さや着け心地、費用は種類によって異なるため、必ず確認しましょう。また、総入れ歯を利用する際には、医師とのカウンセリングを綿密に行い、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
総入れ歯について不安や疑問がある場合は、一度歯医者さんに相談することをおすすめします。
監修医
飯田 尚良先生
飯田歯科医院 院長
経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る