口内炎はうつる?うつる口内炎の種類や原因、感染経路を解説!

口の中に突然できてしまう口内炎。口内炎ができると痛くて、食事などにも影響が出てしまうだけではなく、しゃべるときにも一苦労です。こうした口内炎ができる原因にはいくつかあり、その原因によっては人にうつしてしまう可能性もあるのです。

うつる口内炎とうつらない口内炎とはどのようなものがあるのでしょうか。うつるタイプの口内炎の場合はどのようなときにうつるのかを含め、数々の口内炎の原因などについて見ていきます。

この記事の目次

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1.口内炎はうつる?

 

口内炎にはいくつかのタイプがあり、それによって人にうつるタイプとうつらないタイプのものがあります。口内炎ができる原因には、口の中に傷ができることによって起こるものや、栄養不足・免疫力の低下が原因のもの、細菌・ウイルスの感染などが主に考えられます。

この中で、うつる可能性があるものと、うつることのないタイプに分かれるのです。

 

うつる口内炎

ヘルペス性口内炎

口内炎の原因がヘルペスウイルスによるものである場合、人にうつる可能性が高くなります。ヘルペス性口内炎は、単純ヘルペスウイルス1型と呼ばれるウイルスが原因です。
このウイルスは日本人の7~8割が感染しているといわれています。普段は神経細胞の中にあるウイルスですが、体調を崩すなどして体が弱っているとき、発症する確率が高くなります。

その他、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスと呼ばれるウイルスが原因でもうつり、ヘルパンギーナや手足口病による口内炎も人にうつるリスクが高いといえます。

 

うつらない口内炎

アフタ性口内炎

口内の粘膜が荒れて細菌に感染するアフタ性口内炎は、傷口から自らの口内の菌が侵入して起こるものですから、人にうつる心配はありません。

カンジダ性口内炎

カンジダ菌が原因となるカンジダ性口内炎は人にうつる危険があるのではと思われがちですが、カンジダ菌はもともと人の口内に常駐している菌です。糖尿病やHIVなどの疾患で免疫力が低下していたり、抗生物質などの薬を常用していたりする場合に起こりやすい口内炎なのです。

カンジダ菌は、健康な状態なら口内の他の菌とバランスを保ちながら常駐している菌であるため、人の口に侵入したとしても健康な方なら問題がありません。つまり、口内炎としてはうつらない部類に入ります。

2.ウイルスが原因の口内炎の感染経路とは?

キス

特にヘルペス性口内炎の場合、キスをしたときに相手にヘルペスウイルスを感染させ、口内炎がうつる可能性があります。口内炎を引き起こしたヘルペスウイルスは唾液にも含まれるため、唾液を通じて相手に感染させてしまうのです。

 

食器類やタオルの共有

同じコップや箸、スプーンを共用することも、感染リスクが高いといえるでしょう。ヘルペス性口内炎ができたら、口内に触れるものの共有は避けた方が無難です。また口をふいたタオルや手からも感染する可能性はあります。

3.感染した場合の対処法

 

早急に治療を行う

もしヘルペスウイルスなどに感染した口内炎の場合、人にうつさないためにも早急に治療を行うべきです。口内炎の治療は耳鼻咽喉科をはじめとして皮膚科や内科、歯科口腔外科などで行ってもらえます。

ただし、ウイルス性の場合は発熱なども伴っていることが多いため、内科や皮膚科で血液検査をしてもらい、ウイルスの原因を特定してもらうことをおすすめします。耳鼻咽喉科以外では口内炎の治療を行っていない医院もありますから、受診の前に確認しておきましょう。

 

口内炎を発症させないための予防法

ヘルペス性口内炎の場合、その原因となるのは単純ヘルペスウイルス1型です。前の章でも触れたとおり、このウイルスは日本人の7~8割が感染しています。そのため、感染しないようにと気を付けると日常の行動がかなり制限されてしまうことになりますし、今発症していないだけですでに感染している可能性は高いのです。

ただし、口内炎を発症させないようにする方法はいくつか考えられます。体調を整えて免疫力を高めておくこと、ビタミン類をしっかり摂れる食事を心がけることなど、日常的に健康に気を付けていれば口内炎の発症をある程度防げるといえるでしょう。

4.乳幼児への感染に注意

 

乳幼児への感染経路

乳幼児は大人より免疫力が低く、ヘルペスウイルスやコクサッキーウイルス、エンテロウイルスにも感染しやすいとされています。そのため、口内炎がうつってしまう確率も高いのです。子供にキスすることはもちろんのこと、同じ箸やスプーン、コップなどが感染経路となりうるのです。またタオルやハンカチなども同様です。

 

乳幼児に感染した場合の症状

乳幼児がウイルス感染した場合の口内炎は、そのウイルスの種類によって出る症状が多少異なります。

ヘルペス性口内炎の場合
赤く腫れあがった炎症が口内だけではなく舌や歯茎などにでき、発熱を伴うこともあります。

ヘルパンギーナの場合
口内に多くの水泡状の炎症ができるのが特徴で、その炎症は喉にまで及ぶことがあります。この場合も高い発熱が見られます。

手足口病の場合
口内炎だけではなく手足にも水泡が現れます。発熱するケースは比較的少ないといわれ、熱が出てもあまり高熱に至らないとされています。

 

治療方法

乳幼児の口内炎は、小児歯科や小児科などで治療してもらえます。小児歯科では、口内炎にレーザーを当てて炎症の治りを早くしたり殺菌したりする方法、また塗り薬やうがい薬の処方などが行われます。

小児科でも炎症を抑える塗り薬などが処方されますが、ウイルス性のもの、特にヘルパンギーナや手足口病の場合は、ウイルスそのものを死滅させることができないため、解熱剤や点滴などの対症療法が用いられます。

 

注意点

乳幼児のうちは自分の身体の不調をうまく親に伝えることができません。症状が不快で機嫌が悪くなったり、あまり食べなくなったりといった変化しかないのです。そのため、親が子供の口内の状態をこまめに確認するべきですが、常に子供の口内を見られるわけではないのが難しいところです。

子供の歯磨きの際などに、よくチェックしておくようにしましょう。

5.まとめ

今回は、うつる口内炎とうつらない口内炎について紹介してきました。もし、自身に口内炎ができてしまった際は、その原因を明確にすることが大事です。もしヘルペス性口内炎であった場合には、早急に治療することで自分自身はもちろんのこと、子供などへの感染を防ぐよう注意しましょう。

監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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