ガミースマイルとは

【この記事の要約】

ガミースマイルとは: 笑った時に歯肉が大きく露出する状態をガミースマイルと呼びます。審美的な悩みとして自覚されることが多く、人によってはコンプレックスの原因になることもあります。

ガミースマイルの症状: 笑った時に上顎の歯肉が3mm以上見えると、一般的にガミースマイルと診断されます。病気ではなく、歯肉が目立つ、笑顔に自信が持てないといったお悩みが主になります。

ガミースマイルの原因: 主な原因には、上唇の筋肉の過剰な動き、上顎骨の過成長、歯肉の過剰発達などがあります。一つの原因ではなく、複合的に関係しているケースも多く見られます。

ガミースマイルの診断・検査: 診断は視診に加え、レントゲン、場合によってはCT撮影などを用いて、歯や骨、筋肉の状態を総合的に評価します。口元の動き方を動画で記録して確認する場合もあります。

ガミースマイルの治療: 原因に応じて、さまざまな治療法が選ばれます。軽度の場合はボトックス注射による筋肉の動きの抑制、中等度以上では歯冠長延長術、矯正治療、外科的な上顎骨の短縮手術などが行われます。

ガミースマイルの予防: 先天的要因が多いため予防法は少ないですが、口元の筋肉バランスを保つための表情筋トレーニングや、噛み合わせを整えることが将来的な改善につながる場合があります。

ガミースマイルに似ている病気(症状): 上唇短縮症や歯肉肥大、上顎前突、過蓋咬合などもガミースマイルに類似した外見を示すことがあります。

ガミースマイルに対応している歯科の診療科目: 歯科口腔外科、矯正歯科

この記事の目次

1.ガミースマイルとは

ガミースマイルとは、笑った時に上顎の歯肉が大きく露出してしまう状態を指します。歯肉が見える長さが3mm以上であると、審美的な観点からガミースマイルと診断されることがあります。医学的な病気ではありませんが、見た目に関する悩みとして、特に人前で笑うことに抵抗を感じるようになるケースも少なくありません。

ガミースマイルは性別や年齢に関係なく見られますが、審美意識の高い若い世代や女性からの相談が多い傾向にあります。また、日本人は欧米人に比べてガミースマイルが見られる割合が比較的高いとされています。

2.ガミースマイルの症状

ガミースマイルの症状は、笑った時に上唇が大きく引き上がることで、上顎の歯肉が目立って見えることです。子どもの時からガミースマイルである方もいれば、顎の成長に伴って、大人になってから症状が現れる方もいらっしゃいます。

単に見た目の問題にとどまらず、人前で自然に笑えない、心理的な負担につながることもあります。

3.ガミースマイルの原因

ガミースマイルの原因はいくつかあります。
単独の原因で起こることもあれば、複数が組み合わさってガミースマイルとなることもあります。

■上顎前突
上顎の骨が過剰に成長していると、笑った時に歯肉が大きく露出してしまいます。このような異常は骨格性の上顎前突と呼ばれます。
このような、骨格性の上顎前突を伴ったガミースマイルは、かみ合わせや発音、咀嚼などの問題が起こることもあります。
また上顎前突にも、骨格性のものだけでなく、歯だけが前に出ている上顎前突もあります。

■歯が短い、小さい
歯肉に対して相対的に歯が小さいと、笑った時に歯肉が目立ちます。この状態は短歯症などとも呼ばれます。また、歯が生えている位置が低い場合もこのような状態になります。

■歯肉の位置が低い
歯肉の位置が低いことで、歯の表面が隠れ、結果的に歯肉が目立つようになります。

■唇の動き(筋肉性)
笑った時に上唇が必要以上に引き上げられると、歯肉が大きく見える原因になります。これは、唇を動かす上唇挙筋という筋肉の動きのために生じるもので、生まれつき筋肉の働きが強い人や、表情豊かな方に多く見られます。

4.ガミースマイルの検査・診断

ガミースマイルの検査・診断は、まず歯科医師による視診から始まります。患者さんが笑った時にどれだけ歯肉が露出するかを観察し、その範囲や程度を確認することが初期の判断材料となります。そのうえで、より正確な情報を得るために、口腔内写真や顔貌写真の撮影を行い、歯肉の見え方を記録します。

さらに、レントゲンや歯科用CTスキャンを用いた画像診断によって、上顎の骨の形態、歯の位置関係などの構造を確認します。また、上唇を引き上げる筋肉の働きが原因となっている可能性がある場合は、笑顔の状態を動画で撮影して、筋肉の動きや唇の位置変化を分析することもあります。
これらの診断結果をもとに、患者さんの希望や症状の程度に応じた治療法が選ばれます。

5.ガミースマイルの治療

ガミースマイルの治療は原因や症状の程度によって異なります。以下に代表的な方法を紹介します。

■矯正治療
歯だけが前に出ている上顎前突の場合は、矯正治療によって歯の位置を調整することで、歯肉の露出を抑えられることがあります。矯正装置には、マウスピース型矯正やワイヤー矯正などがあり、症例に応じて選択されます。治療期間は半年~数年に及ぶこともありますが、機能的、審美的なバランスを同時に整えられるメリットがあります。

■外科的治療
骨格性の上顎前突など、骨格的な要因が大きいガミースマイルには、外科手術が適応されることがあります。代表的な方法は上顎骨切り術で、上顎の骨の一部を切除し、位置を下方に移動させて再固定するものです。この手術により歯肉の露出を根本的に改善できるため、重度のガミースマイルの方には向いています。ただし、全身麻酔が必要であり、入院期間や術後の回復に時間がかかるため、リスクや負担を十分に理解した上で選びましょう。

■歯肉整形
歯肉の厚みや長さが原因で歯が短く見える場合には、歯肉を一部切除し、歯の見える部分を増やす歯肉切除術が効果的です。この処置は局所麻酔で行うことができるため、比較的負担の少ない治療です。軽度〜中等度のガミースマイルであれば、この方法だけで効果が得られることがあります。しかし、歯肉が元に戻ってしまうケースがあること、歯根が露出するためセラミック治療と併用する必要があることなどには注意が必要です。

■ボツリヌス注射
筋肉性のガミースマイルには、唇を引き上げる筋肉の働きを一時的に弱めるボツリヌス注射が有効です。
注射は数分で完了し、メスを使わずに施術できるため、手軽な治療として人気があります。効果は3ヵ月〜6ヵ月ほど持続しますが、永久的な治療ではないため、繰り返し注射する必要があります。ダウンタイムが少なく、日常生活への影響も少ないため、まず試してみたいという方にも向いています。

6.ガミースマイルの予防

ガミースマイルの予防は、遺伝的な要因も絡むことから難しい面があります。しかし、日常生活の中で注意すべき点や、成長期に意識しておきたいことを実践することで、リスクを減らすことは可能です。以下に予防に役立つポイントを紹介します。

■口呼吸の治療
慢性的な口呼吸は、唇や顎周辺の筋肉の発達にあまり良くなく、口元の筋肉のバランスを崩す原因になります。これにより唇の位置や動きが変わり、ガミースマイルが生じやすくなります。特にアレルギー性鼻炎や扁桃肥大などがある子どもは口呼吸になりやすいため、耳鼻科との連携が予防につながることもあります。

■正しい姿勢や筋肉の使い方
顎の成長や筋肉の発達には、日常の姿勢や食べ方も密接に関係しています。猫背や前傾姿勢は顎の発達を阻害し、ガミースマイルにつながる可能性があります。

■定期検診
歯並びの異常を小さなうちに発見するためにも、定期的な歯科検診は欠かせません。顎や歯の成長に応じた矯正相談を行うことが、ガミースマイルの予防につながります。

7.ガミースマイルに似ている病気(症状)

ガミースマイルに似ている病気(症状)は、歯肉肥大が挙げられます。歯肉が異常に発達すると、歯が歯肉に埋もれて見えるため、ガミースマイルと区別がつきにくいことがあります。

8.ガミースマイルに対応している歯科の診療科目

歯科口腔外科、矯正歯科

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監修医

古橋 淳一先生

あおぞら歯科クリニック本院 理事長・院長

経歴

2000年 広島大学歯学部 卒業
2000年~2001年 医療法人社団 不二見会 ふじみ歯科医院浦安診療所 勤務
2001年~2005年 医療法人社団 不二見会 ふじみ歯科医院南行徳診療所 勤務(所長)
2005年 あおぞら歯科クリニック 開院
2007年 医療法人社団爽晴会 設立・理事長就任
2010年 あおぞら歯科クリニック鎌ヶ谷 開院
2012年 あおぞら歯科クリニック新館 開院
2015年 なないろ歯科クリニック 開院
2017年 あおぞら歯科クリニック下総中山 開院
現在に至る

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