※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.子供の歯並びで矯正が必要な例
最初に一般的に矯正をするべきだとされている歯並びの例を紹介します。「矯正必要度」は矯正を見送ることによる『将来的なデメリットの大きさ』、『顔の印象への影響の度合い』などを基準に評価したものです。矯正を検討するときの参考にしてみてください。
叢生(乱ぐい歯・八重歯・ガタガタの歯並び)
矯正必要度:★★★★★
叢生(そうせい)とは、歯が重なって生えてデコボコになってしまっている状態の歯並びのことをさします。
硬いものを噛まないせいでアゴの筋肉の退化が原因で、近年多く見られる症例です。
しゃべるときの発音や、顔の印象にも大きく影響しますし、噛み合わせが悪くなり、歯や消化器に負担をかけてしまう事にもなります。それだけでなく、磨き残しが増えやすいため、虫歯になりやすく、将来的に歯周病にかかって通常よりも若くして歯を失ってしまうリスクが考えられます。
開咬
矯正必要度:★★★★★
開咬(かいこう)とは、別名「オープンバイト」といい、前歯がしっかり噛み合わない状態のことをいいます。こちらも成人してから虫歯や歯周病に悩まされるケースが多い歯並びの1つです。また、奥歯に非常に負担が偏るので、将来的に奥歯を壊してしまいやすい状態にもなります。
受け口
矯正必要度:★★★★☆
簡単にいうと、下のアゴが上のアゴよりも前にでていることを指します。受け口は顔の印象にも大きく影響し、しゃくれた顔つきになってしまいます。
出っ歯
矯正必要度:★★★☆☆
出っ歯とは、「上顎の前歯全体が突出している状態」のことを指しますが、具体的には下記の状態になっていることを指します。
・前歯の先端が唇の間から見えてしまう。
・横から見ると前歯が突き出している。
・歯茎が前にでている。
・Eラインに対して、唇が前にでている。
Eラインについて:
正しくは「エステティックライン」と言い。アメリカの矯正歯科医師が横顔の美しさの基準として発表したものです。人の横顔を見たときに鼻の先端と顎の先端を結んだ直線の状態で、その人の美人度を判断します。
日本人の場合は骨格上、Eラインよりも唇が前にでている事が多く、モデルや芸能人になりたいということが無い限りあまり気にすることはないようです。
また芸能人の中には、出っ歯を売りにしている芸人さんや、出っ歯がキュートな女優さんや、タレントさんがいらっしゃるので矯正をするかしないかは本人の判断次第だといえます。
すきっ歯
矯正必要度:★☆☆☆☆
乳歯のすきっ歯については心配する必要はありません。永久歯に生え変わるときに必要な隙間のせいで、すきっ歯に見えてしまっているだけです。
しかし、唇と歯茎をつなぐ靭帯が前歯のほうまで食い込んでしまっている場合、外科手術をしなければいつまでもすきっ歯のままの可能性があります。気になる方は一度歯医者さんに相談することをおすすめします。
2.子供の歯並びの直し方
噛み合わせや、あごの発達状態には個人差があり、歯並びを治すのに最適な方法は歯科医師の診断が必要になりますが、一般的な小児矯正で取り入れられている『方法』、『矯正開始時期』、『費用』についてまとめたので参考にしてみてください。
床矯正(拡大装置を使用し、あごの骨を広げる)
こどもの歯並びが悪いのは、あごが小さいことが原因で、歯が重なって生えてしまったり、歯並びが悪くなっていることもあります。この場合、『あごを広げる装置』を装着し、あごの成長をサポートしながら永久歯がキレイに生えてくるように場所をつくってあげるのです。
固定式の装置と、取り外しが可能な装置があります。
一概には言えませんが、小児歯科の先生はこの床矯正を好まれるようです。
・費用
装置は1つ3万円~6万円です。
片方のあごの矯正にかかる治療費総額は15万円、上下だと30万円程かかります。
子供のうちに矯正をすることで、大人に比べて治療期間が短く済み、治療費の負担も軽くなります。
ブラケット(ワイヤー)を使用した矯正
最もポピュラーな矯正です。ワイヤーを歯に固定し、正しい噛み合せになるように力を加えていくことで、ねじれて生えている歯をまっすぐに揃えていきます。幅広いタイプの不正咬合治療に取り入れられています。
矯正歯科の先生はブラケットをメインで用いる矯正治療をされるそうです。
・理想の矯正開始時期
矯正は歯並びが悪いことに気付いたタイミングで始めてください。
大人になってからもブラケットを使用した矯正は可能ですが、矯正期間が長くかかるうえ、抜歯をしなければならなかったり、子供の頃に矯正を始めるのと比べると仕上がりの完成度も劣ります。
・費用
小児矯正に関しては1期治療と2期治療に分けるのかという問題もあるので数値で出しにくいですが、成人矯正と比較した小児矯正とすると25~40万くらいになります。
ただしその場合は、永久歯に生え変わってからの補正として後で40万程度(合わせて成人矯正と同じくらいの料金)かかる可能性があります。
ちなみに、成人の治療費は全国平均で80万~100万円だといわれています。
歯科医院によってはカウンセリングを無料でしてくれるところもあるので、矯正を考えている方は早めに相談し治療プランを立てるのが良いでしょう。
3.子供の歯並びを悪くする原因
歯並びを悪くする原因として考えられることは大きくわけて3つあります。
生えはじめはまっすぐ生えていた歯も、毎日無意識にしてしまっている『悪いクセ』が関係しているといわれています。あなたのお子さんは大丈夫でしょうか。チェックしてみてください。
癖
発育中の子供の骨格はとても柔らかく、ちょっとした癖が歯並びを悪くする原因になってしまいます。
歯並びに悪影響が出てしまうおそれがある癖をご紹介します。
・口呼吸:鼻ではなく、常に口で呼吸をしている状態。唇で歯を押さえる力がなくなってしまうため、出っ歯、歯並びが崩れる恐れ。
・指しゃぶり:指が上下の歯の間に習慣的に挟まった状態になるので、出っ歯、開咬になる恐れ。
・舌を突き出す癖:出っ歯、開咬になる恐れ。
・よく噛まずに食べる:あごの発達が遅れ、受け口や歯並びがガタガタになる恐れ。
・頬杖:あごが常に片方に押されている状態になるので、左右的に顎の位置がゆがんでしまう。
・同じ方向でうつ伏せで寝る:これも頬杖と同じように、枕であごがおされているじょうたいが長時間続くので、だんだんと顎の位置がずれていってしまう。
乳歯の異常
生えてきた乳歯に異常がある場合も、生え変わりで生えてくる永久歯の歯並びに影響するといわれています。
・乳歯の虫歯
根元まで虫歯になってしまうと、上手く生え変わることができず、永久歯に影響がでてしまいます。
・乳歯の早期喪失
永久歯が生えてくる準備が整っていない時期に乳歯が無くなってしまうと、永久歯が見当違いの方向をむきながら生えてきてしまうことがあります。通常永久歯は、乳歯が生えていた場所に入れ替わりで生えてくるものですが、乳歯が無い状態で永久歯が作られると永久歯の場所が不安定になってしまうからです。
・癒合歯(ゆごうし)
2本の歯がくっついて1本になってしまっている歯のことを指します。子供の1%~3%が癒合歯を持っているといわれています。癒合歯は通常よりも虫歯になりやすく、更には永久歯の本数が足りなくなっていることや、生え変わりのときに上手く抜けないことが多いので、癒合歯を確認した場合は歯科医師への相談が必須です。
・過剰歯(かじょうし)
通常、乳歯は全部で20本ですが、まれに21本目、22本目の歯が生えてくることがあります。これを過剰歯と呼び、歯科医師への相談が必須となります。過剰歯が永久歯の邪魔をし、永久歯が出てこないことや、歯並びが悪くなる恐れがあります。
4.歯並びが悪いまま放って置くと良くない理由
矯正治療は高額な治療なので、なかなか受診に踏み切れないという方も多いでしょう。しかし、子供の頃の悪い歯並びは、あとの人生そのものに影響が出てしまうといっても過言ではないのです。
虫歯、歯周病になりやすい
歯並びが悪いとブラッシングが十分にできないせいで、虫歯や歯周病にかかりやすくなり、若いうちにほとんどすべての歯を失ってしまうことになるかもしれません。
ちなみに、虫歯治療では銀歯を使った治療は安価ですが金属アレルギーなどデメリットが多いです。一方で、セラミックで治療をおこなうとメリットは多いですが、費用としては1本で10万円以上かかります。また、歯がなくなったところにインプラントを埋め込むとなると1本につき35~50万円かかります。
こうして考えると、トータルの治療費としては子供の頃に歯並びを治しておく方が、金銭的にもメリットがあるといえます。
笑顔に自信がなくなる
笑うときに一番目立つのは、やはり口元ではないでしょうか。歯並びが悪いと、そのことばかり気になってしまい、上手に笑えなくなり、性格まで暗くなってしまうことが多いのです。
最近は婚活中の女性が歯並びを矯正することが増えているそうで、歯並びは結婚にも大きく影響するのかもしれません。
滑舌が悪くなることがある
厳密に言うと、歯並びそのものが滑舌に影響するというわけではありません。滑舌を悪くする原因としては舌の位置や唇の動きが関係しており、歯並びが舌や唇の動きを邪魔してしまうと、滑舌に影響が出てしまいます。
上手に話せないと、友達とのお喋りも楽しくなくなってしまい、内気な性格になってしまう恐れがあります。
身体がゆがんだり、肩こりになる
上の歯と下の歯の噛みあわせがずれていると、間違った部分で噛んでしまいますよね。そうすると、あごに力が入りすぎてしまい、筋肉が強張ります。筋肉のバランスが悪くなっていき、身体の中心がゆがんでしまったり、肩が凝ったりする原因になります。また、筋肉の緊張による食いしばりがひどい場合は歯ぎしりをしやすくなり、歯が割れる原因となります。
5.まとめ
大切なお子さんの歯並びはどうか、まずは親御さんの目で確かめてあげてください。歯並びに影響がでる悪い癖は無いかどうか、日頃チェックしてあげることも大切です。見た目にコンプレックスを抱いたりすることで、性格にまで影響を及ぼす可能性もあります。歯並びは大人になる前の成長過程で直していくことが、ベストな選択なのです。