せっかく、ホワイトニングしたのに、すぐにまた元の色に戻ってしまったと失望する方もいるでしょう。それは、後戻りの理解が浅く、ホワイトニング後のケアを怠っていたからに他なりません。ホワイトニングには後戻りがつきもので、いかに後戻りを少なくするかが、白い歯を長くキープする鍵なのです。まず、ホワイトニングの仕組みを知り、できるだけ後戻りを少なくするための方法を知ることが肝心です!
この記事の目次
1.ホワイトニングの「後戻り」ってどんなもの?
ホワイトニングの後戻りとは、簡単に言うと、ホワイトニングする前の色へと戻ってしまうことです。ホワイトニングには、後戻りがつきものですが、これを軽減することで白さを長く保つことができます。ホワイトニングの仕組みを知ることで、後戻りとはどのようなものなのかが、詳しく分かります。
ホワイトニングの2つの働きを知ろう
1-1.歯に沈着した色素の分解
ホワイトニング剤の歯を白くする主成分は、オキシドールなどにも使われている過酸化水素です。過酸化水素は、歯の表面に沈着した着色物質を、細かく分解する作用があります。これにより、黄ばみなどの染み付いた色素が、薄く目立たなくなります。
1-2.歯の表面を曇りガラス状にする
歯の表面はエナメル質に覆われており、その内部に黄色みがかった象牙質があります。エナメル質は半透明であるため、象牙質が透けて見えると、黄色みがかって見えます。ホワイトニング剤には、歯の表面のエナメル質を曇りガラス状にする効果があるので、象牙質が透けにくくなり、歯が白く見える作用があります。
後戻りには2種類あります
1-3.再着色による後戻り
歯は飲食などによって、いつも着色しやすい環境にさらされているといえます。従って、ホワイトニング後も時間の経過とともに、元の色へと戻っていきます。しかし、着色しやすい食生活を改善したり、セルフケアを工夫することで、後戻りを遅らせることも可能です。
1-4.再石灰化による後戻り
ホワイトニング剤の働きで、エナメル質が曇りガラス状になることをお伝えしましたが、こちらも時間の経過とともに、元の表面状態に戻っていきます。エナメル質はミネラル分の消失(脱灰)と再形成(再石灰化)を繰り返していて、この再石灰化の作用によって、元のような表面に戻っていきます。
2.主な4つのホワイトニング法と後戻りについて
ホワイトニングには、大きく分けて、オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニング、セルフホワイトニングの4種類があります。それぞれのご説明と、後戻りについてご紹介しましょう。
2-1.オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、すべての施術を歯医者さんで行うホワイトニングのことです。歯医者さんでは、高濃度の過酸化水素を使ったホワイトニング剤を扱うことができるので、1回の施術で白さを大きくアップすることも可能です。食生活やセルフケアの程度によって異なりますが、オフィスホワイトニングの持続期間はおよそ半年から10ヶ月程度で、一気に白くした分、比較的、後戻りが早いものです。
2-2.ホームホワイトニング
歯医者さんや通販などで、ホワイトニングキットを入手して、自分で施術を行うのがホームホワイトニングです。オフィスホワイトニングと比べると、扱えるホワイトニング剤の過酸化水素濃度が低いので、効果を実感するのに2週間から1ヶ月程度かかるものです。白くなるスピードは緩やかですが、薬剤を毎日じっくり浸透させることができるので、後戻りが遅く、持続期間はおよそ1年程度になります。
2-3.デュアルホワイトニング
オフィスホワイトニングを行い、補助的にホームホワイトニングを行うのが、デュアルホワイトニングです。オフィスホワイトニングで、大きく白さをアップした後、ホームホワイトニングでじっくり白さを高めていくことができるので、効果を実感するのが早く、しかも後戻りが遅いというメリットがあります。
2-4.セルフホワイトニング
セルフホワイトニングは、歯医者さんの在籍しないサロンなどで行うホワイトニングです。過酸化水素を使ったホワイトニングは認められておらず、施術も自分で行う形になります。主にステインを除去するような薬剤となり、歯を漂白する施術ではないので、ホワイトニング後のステインケアとして、後戻りを抑えるために利用するのが得策です。
3.後戻りを軽減するための方法は?
前述した通り、ホワイトニングを終えた直後から、歯が再着色したり、エナメル質の状態が元に戻っていくものです。従って、後戻りを少なくすることが、白さをキープする上で、もっとも大切なことといっても過言ではありません。
3-1.ホワイトニング直後は要注意!
ホワイトニング直後の24時間以内は、特に着色しやすいので注意が必要です。通常、歯はペリクルと呼ばれる薄いタンパク質の被膜に覆われています。この被膜には、着色や虫歯などを防ぐ役目があります。ホワイトニング剤によって、ペリクルが剥がれているので、とても着色しやすくなっているのです。ペリクルはおよそ1日程度で、唾液中の成分によって再生されます。
3-2.着色性の高い食生活を見直そう
ホワイトニングで白くなった歯が、元の色へと戻っていってしまうのは、普段の食生活が大きく関わっています。着色性の高い食事を好んでいる場合は、それを少し見直すだけでも、後戻りを軽減させる助けになります。ワインやカレーなど、多くの飲食物が上げられますが、目安としては、食べた後に舌に色が強く残るような食べ物を、頻繁に摂らないよう見直すべきです。
3-3.沈着する前に着色汚れをケア
着色汚れは、歯の表面のペリクルに色が付くものです。これが積み重なると、歯の内部に沈着していきます。従って、汚れが沈着する前に、しっかりとケアすることで、後戻りを軽減できます。着色汚れ(ステイン)を除去する歯磨き粉や、歯医者さんでの定期的なクリーニングをすることで、沈着を防ぐことができます。
3-4.タッチアップで後戻りを防止
タッチアップとは、定期的な追加のホワイトニングです。これは、厳密に言うと後戻り防止ではなく、再度ホワイトニングすることです。半年くらいを目安に、定期的にタッチアップしておけば、高いレベルで白さをキープすることができます。
4.着色汚れを防ぐ歯磨き粉の選び方
後戻りを少なくして、白さをキープするポイントは、食生活の改善とセルフケアです。日々のセルフケアにおいては、着色汚れ(ステイン)が沈着する前に、しっかりと防ぐことが大切です。
4-1.研磨剤のマイルドなもの
研磨剤の成分が強いと、一見、汚れを強く落とせると思いがちですが、実は、エナメル質の表面に、細かい傷を付けてしまうことになり、かえって着色しやすくなります。研磨剤の粒子が細かいものや、研磨剤を使っていない歯磨き粉を選びましょう。
4-2.ハイドロキシアパタイト配合
ハイドロキシアパタイトには、歯の再石灰化(ミネラル分の再形成)を促す作用があります。これにより、歯の表面の細かい傷なども修復され、ステインが沈着しにくくなります。また、歯垢を落とす作用もあります。
4-3.ポリエチレングリコール配合
ポリエチレングリコールは、歯の黄ばみを落とす成分となります。特に、喫煙などによる黄ばみの除去に、その効果が期待できます。
5.まとめ
ホワイトニングの施術が終わったら完了ではありません。白さをキープして、後戻りを防ぐために、食生活を改めたり、ステインを防ぐケアを継続的に行うことが、ホワイトニングを成功させる秘訣なのです。また、ホワイトニングの方法によっても後戻りの期間が変わってきます。期日までに、短期間で白くしたい方はオフィスホワイトニング、自分で手間をかけ、後戻りを軽減してじっくりと白くしたい方はホームホワイトニングと、自分のニーズに合った、ホワイトニング方法をチョイスしてみましょう。
この記事は役に立った!
監修医本部悠一郎先生
東葉デンタルオフィス 院長
1993年 明海大学歯学部卒業後、千葉県内歯科医院勤務
1995年 すまいる歯科分院長就任
1998年 あすか歯科クリニック分院長就任
2012年 東葉デンタルオフィスを開設