歯が透明になったら治療は必要?今日からできる「酸蝕歯」の対策方法

歯が透明になったら治療は必要?今日からできる「酸蝕歯」の対策方法

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何気なく自分の歯を鏡で見たとき、歯の先端の裏側に舌を当てたら「透けて見えた」ということはありませんか?歯が透明になっていく…実は、歯が溶け始めているサインです。

放っておくと歯を失う可能性もある「酸蝕歯(さんしょくし)」という症状で、普段口にしている食べ物や歯磨きのタイミングが症状を加速させていることもあります。こちらでは、歯が透明になる原因や対策、予防法を紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

この記事の目次

1.歯が透明になる「酸蝕歯」の症状とは

1-1 酸蝕歯(さんしょくし)とは

「酸蝕歯」とは、酸によって歯が溶けた状態のことを言います。歯の表面にあるエナメル質という層が傷つき、徐々に薄くなることで、歯の先端部分から透明になっていきます。
年代を問わず起きる症状で、4人に1人は酸蝕歯があるという調査結果もあります。気づいていないだけという場合もあるので、まずはご自身の歯が透明になっていないか、鏡で確認してみてください。

The Thai  juice soda drink in afternoon.

1-2 段階による症状の特徴

・初期症状
熱い飲み物や冷たい飲み物が歯に触れた時に、しみる(知覚過敏)
歯の表面が丸みを帯びてくる
歯が薄くなることで象牙質が見えるようになり、歯がやや黄色く見える

・中期以降の症状

知覚過敏が重症化する
歯の先端が薄くなることで透明に見える
歯の先端や表面に小さな凹みが表れる
象牙質がさらに見えてくるため、歯がより黄ばみ、茶色っぽくなってくる

酸蝕歯と気づかない症状も多く、治療開始が遅れることもあります。
上記のようなシグナルが表れたら要注意です。

2.酸蝕歯になる原因と対策

2-1 そもそもの原因は

酸が歯に触れる機会が多いと、その分エナメル質を痛める原因となります。また、食べ物や飲み物に含まれる酸は、歯のエナメル質を柔らかくする作用があり、その時に強い力で歯磨きをすることでエナメル質が傷つくケースもあります。
そのため、以下のように好みの飲食物や生活習慣が関係していることがあります。

・酸の強い食べ物を頻繁に摂取する
柑橘類、ワイン、炭酸飲料、酢を多く含んだ食品などを好んで食べている

・お酒を飲んだまま寝てしまう
飲酒の後、歯磨きをせず寝てしまうと長時間にわたり酸が歯と接触する

・唾液が少ない
洗い流すことができる唾液が少ないと、酸の濃度を下げられない

・疾病などにより頻繁に嘔吐する
胃液はレモンと同等あるいはそれ以上の強酸性がある。逆流性食道炎をはじめとした胃や食道の病気により、頻繁な嘔吐や胃酸の逆流があると、酸が歯に密着する
拒食症などによる習慣的な嘔吐の繰り返しも原因になる

また、覚醒剤や麻薬、シンナーといった薬物の使用によって歯が溶けてしまう一因にも、これらが酸性度の高い薬物であることが関係しています。

2-2 今からできる予防策

生活習慣を少し見直すだけでも予防が期待できます。日ごろから意識してみましょう。

・酸の強い食べ物・飲み物を減らす
普段の摂取が多いと感じる場合は意識して減らす

・酸の強いものを食べたら、水やお茶を飲んだりうがいをしたりして洗い流す
酸を口の中に残した状態を避ける

・酸の強いものを食べたら、すぐ歯磨きをしない
食後すぐのエナメル質が柔らかくなっている時間帯を避けて歯磨きをする

・硬い歯ブラシを使用しない
エナメル質を傷つけないよう、柔らかい歯ブラシで優しくブラッシングする

・ガムで唾液を増やす
エナメル質の保護や酸を弱める働きが期待できる
酸蝕歯はゆっくり時間をかけて進行していくため、日ごろの予防と歯医者さんでの検診が大切です。

3.酸蝕歯になったら治療は必要?

3-1 酸蝕歯を放っておくとどうなる?

酸蝕歯を放っておくことの問題は、見た目が悪くなってしまう点だけではありません。歯を守っているエナメル質が溶けてしまうことで、重症化すれば歯を失うこともあります。ほかにも、歯が削られることで古い詰め物が突然外れたり、かみ合わせが悪化したり、知覚過敏になって歯がしみることもあります。
初期症状であれば、エナメル質を強化する歯磨き粉を選ぶなど、セルフケアを行うことも対策になりますが、まずは歯を失ってしまう前に歯医者さんに相談することが大切です。

3-2 歯医者さんで治療する場合の選択肢

・薬剤を塗ってもらう(初期症状の場合)
・詰め物や被せ物をする(中期以降の場合)
詰め物や被せ物にはさまざまな種類があり、セラミックやジルコニアといった自然な歯に近い色の素材を選択することもできます。
これらの素材は自由診療となりますが、本物の歯のように見えるだけでなく、変色や劣化が少なく、汚れがつきにくいことも特徴です。
・3DS治療
歯の再石灰化を促す薬剤が入れられる歯型に合わせたマウスピースを作製し、約2時間装着する治療法です。
・抜歯(ダメージが大きい場合などの最終手段)

3-3 医科的な治療が必要な場合も

酸蝕症になってしまった歯に関しては、もちろん歯医者さんでの治療を行うことになります。
しかし、逆流性食道炎や拒食症など根本的な原因がある場合には、まずは原因となっている病気の治療を優先しなければなりません。その際は、消化器内科や心療内科など、それぞれの病気に対応している医療機関で対応してもらうことになります。

4.まとめ

歯が溶けて透明に見えるのは、体にも良いと言われる酸が原因でした。お酢やフルーツなどに含まれている酸ですが、それだけが悪いわけではなく、摂取の頻度やブラッシングのタイミングを上手に行うことで体も歯も健康に保つことができます。

放っておくと歯を失うこともあるため、歯が透明になるなど気になる症状が現れたら早めに歯医者さんに相談しましょう。

 

参考サイト

公益社団法人 日本補綴歯科学会

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監修医遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

■院長略歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業

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