ホワイトニングは薬剤を歯につけて白くする施術で、虫歯のように歯を削ったり神経をいじったりする治療ではありません。
しかし、施術の際や施術後に、ある種の痛みを感じることがあります。人によっては痛みが強かったり長引いたりすることもあります。いったいどんな痛みが起こり、その原因は何なのか、痛みが出た場合の対処法や予防法について知っておきましょう。
1.ホワイトニングに伴う痛みについて
虫歯の治療と違ってホワイトニングは痛みが無いと思っている人がいますが、実はホワイトニングの施術でも痛みを感じることがあります。歯髄やエナメル質の直下にある象牙質には痛みを感じる知覚神経があり、これが刺激を受けると熱さや冷たさなどに対してしみるような痛みを感じることがあります。
ホワイトニングで知覚過敏が起こる原因にはいくつかあります。ホワイトニングに使用する薬剤が強すぎて歯にしみる場合や、施術に用いられる機器から出る熱が刺激になる場合などです。さらに詳しく見ていきましょう。
■痛みが出やすい人がいる
そもそも知覚過敏になりやすい人は、ホワイトニングでもしみることが多いようです。普段熱いもの、冷たいものがしみやすい人は、ホワイトニングの施術を受ける前に歯医者さんに相談することをおすすめします。
2.ホワイトニングの施術中、治療後に痛む原因とは
2-1 ホワイトニング治療時に痛む6つの原因
①ホワイトニング剤が強すぎる
ホワイトニング剤には過酸化水素水が使われるのが一般的で、歯を白くするために比較的高濃度(約35%)のものが使用されます。
何もトラブルがない健康な歯であれば、高濃度の過酸化水素水を使用しても問題ありませんが、歯の表面やヒビなどがあると浸透しやすいためしみやすくなります。ホワイトニング濃度が濃いほど、ホワイトニングの時間が長いほど、しみやすくなります。痛みは一過性のこともあれば、そうでないこともあります。あまりに痛みが続くようであれば、我慢せずに歯医者に相談しましょう。
②施術中の熱によって歯が痛む
歯がしみる原因としては、施術中に発生するホワイトニング機器の熱もあります。オフィスホワイトニングの機械によっては、ホワイトニングの後に光を照射してホワイトニング剤の効果を高めるものがあります。もともと知覚過敏の人はこの熱によって痛みが生じる場合があります。
③歯の先端が削れている
知覚過敏を招くのは、象牙質です。この象牙質が歯ぎしりなどでエナメル質が削られて表出してしまうと、ホワイトニングを行った際にしみることがあります。
④歯の表面にヒビが入っている
毎日使う歯は表面に細かな傷がついていることがあります。傷がエナメル質にとどまっていれば問題ありませんが、象牙質まで達していると痛みを起こす場合があります。人によっては先天的にエナメル質形成異常ということもあり、施術前に自分の歯がしみやすいかを確認した方が良いでしょう。
⑤治療した歯にすきまがある
虫歯の治療で詰め物をしたところにすきまができている場合もホワイトニング剤が象牙質まで入り込んでしみることがあります。
古い虫歯跡で起こりやすいので、ホワイトニング前にチェックしてもらうとよいでしょう。すきまが小さければ、治療しなくてもその部分を保護してホワイトニングすることもできます。
⑥歯根がむき出しになっている
加齢や歯周病などで歯茎が下がっても象牙質が刺激を受けやすくなります。
2-2 治療した後に歯が痛む3つの原因
①歯が過敏になっている、知覚過敏になりやすい
剥がれたペリクル層が再生されるまでは、歯は刺激に弱くなっています。少なくともホワイトニング後24時間は冷たい飲み物などはとらないほうが無難です。
②ホワイトニング剤が合わない
体質によりホワイトニング薬剤が体に合わないことがあります。気になる症状があればすぐ歯医者さんに相談するようにしましょう。
③過敏なまま対処がされていない
知覚過敏が起こるケースは少なくないので、できれば自宅で歯をガードする対策をとっておきたいものです。フッ素濃度の高い歯磨き粉やジェルで歯を保護するなど、自宅でできるケアをしましょう。
3.ホワイトニングで痛みが出たときの対処法
3-1 冷たいものを避けて、安静にする
濃いホワイトニング剤を使用したときに起こる痛みは、人によっては不快な痛みにまで感じることがあります。もともとしみやすい人は、予め歯医者さんに相談して対策を講じてもらいましょう。痛みがひどい場合は、鎮痛剤を処方してもらえることもあります。
3-2 市販薬で歯のコーティング
エナメル層を強くするフッ素で手当てする、または市販の歯磨き粉やジェルなどでケアします。
もしくは、知覚過敏用の歯磨き粉を使ってケアするのもいいでしょう。カリウムイオンが歯を保護して、刺激を軽減してくれます。
4.痛みを出さないためにやっておくべきこと
4-1 虫歯治療は最優先
歯に何らかのトラブルがある場合には、ホワイトニングで痛みが起こる可能性が高くなります。
心配ならホワイトニング前に一度受診して問題がないか確認してもらうとよいでしょう。知覚過敏などが判明すれば、まずこれを治療してからホワイトニングをするのが基本です。虫歯がある場合も同様に、まず虫歯の治療を優先して行わなければなりません。
歯医者さんで行うオフィスホワイトニングには痛みが少ない施術もありますので、相談するとよいでしょう。
4-2 歯のクリーニングで清潔な口内環境を
口内環境を清潔に保つことは、痛みが出るトラブルを防ぐのに効果的です。歯石や歯垢が歯にこびりついた状態だと、歯周病の原因ともなりかねないので、定期的に歯のクリーニングを受けるとよいでしょう。
5.まとめ
ホワイトニングは通常は痛みを生じるものではありませんが、歯の状態や施術の方法によっては痛みを伴うケースもあります。
ホワイトニングによる痛みは個人差があり、しばらく痛みがなくならないということもあるので、心配であれば予め歯医者さんに相談して、できる限りの対処をしてもらうこともできます。施術前に相談してみてはいかがでしょうか。
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監修医野崎康弘先生
医療法人社団 医康会 ジェイエムビル歯科医院 院長
■院長経歴
1990年 日本歯科大学 卒業
1990年~1995年 医療法人社団医恵会 勤務
1996年 ジェイエムビル歯科医院 開院