知らないと損!インプラントは医療費控除の対象です。

知らないと損!インプラントは医療費控除の対象です。

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さまざまな理由で失ってしまった歯の代わりに、顎の骨に埋め込む人工歯「インプラント」。インプラント治療が確立する以前は、歯を失った場合の治療法として入れ歯やブリッジなどがありました。
インプラント・入れ歯・ブリッジは、それぞれにメリット・デメリットがありますが、インプラントは骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯をかぶせるため、人工歯が骨に直接固定され、見た目も機能性も本来の歯とほぼ変わりなく使えるという大きなメリットがあります。

一方で、インプラント治療は保険外診療(自由診療)となるため、費用が高額になるという現状もあります。費用面から二の足を踏んでしまう方もいることでしょう。そこでぜひ知っておきたいのが医療費控除です。インプラント治療は医療費控除の対象となっているため、正しく手続きをすれば費用の一部が還付されます。ここでは医療費控除の条件や手続き方法をご紹介していきます。

この記事の目次

1.医療費控除の基礎知識

1-1 医療費控除とは

1年間で支払った医療費のうち、所得に応じた一定の金額が控除される制度を医療費控除といいます。ただし控除を受けるには、例え会社員の人であっても自ら申請する必要があり、申請をしない限り控除されることはありません。ここでの医療費とは、病院にかかった際に支払った費用に加え、薬局で購入した風邪薬等も含まれます。ただし、健康維持を目的としたサプリメント等は対象外です。

1-2 インプラントも医療費控除の対象に

インプラント治療では、大きく分けて以下のような費用がかかります。

・治療前の精密検査や診断料
・人工歯の素材や人工歯を作る費用(人工歯は使用する素材によっても金額が変わります)
・人工歯を埋め込む手術費用
・治療後のメンテナンス費用

インプラントは手術が必要な治療であり、かつ保険適用外となるため、一般的な虫歯の治療と比較しても費用が高額になりますが、医療費控除の対象となっているため、申告をすれば費用の一部が還付されます。
またインプラント治療における控除対象には、電車やバス代などの通院費も含まれます。

1-3 知っておくべき医療費控除の枠組み

医療費控除の対象期間、対象額、対象者等をまとめると、以下のようになります。申告漏れや必要書類の紛失で控除が受けられないという事態を避けるべく、正しい知識を得ておきましょう。

◆対象期間

1月1日〜12月31日の1年単位

◆対象額

その年に支払った医療費や通院のための交通費の総額が10万円を超えた場合に控除が受けられます。

◆対象者

自分の医療費だけでなく、生計をともにしている家族の医療費も合計して申告することができます。例えば、自分の医療費が6万円、自分以外の(生計をともにしている)家族の医療費が4万円だった場合には、合算して10万円となるため、控除対象として申告できます。

◆申告期間

医療費控除は、直近1年だけでなく5年前まで遡って申請することができます。これまでこの制度を知らなかった人でも、この機会に過去の医療費をチェックして、控除対象となっているものは申請するとよいでしょう。
※申請には各種書類が必要なため、それらが揃っていないと申請することはできません。必要書類等は2章でご紹介します。

2.医療費控除の申請方法

医療費控除

2-1 会社員でも申請は自分で!

自営業の人は毎年自分で確定申告等を行うタイミングで1年間の医療費をチェックすることができますが、特に注意が必要なのが会社員の人です。会社では年末に年末調整を行っているため安心してしまう人も多いと思いますが、医療費控除は年末調整の対象外です。そのため医療費控除を受けるには、自ら確定申告をする必要があります。

2-2 申請に必要な書類をチェック

インプラント治療で医療費控除を受けるためには、必ず以下の書類を用意する必要があります。
・治療を受けた際に歯医者さんでもらう領収書
・通院のために使用した交通機関の領収書
※交通機関の領収書は、いつ、どの区間で利用したかが分かるように記録しておくとよいでしょう。

2-3 控除申請は郵送、またはHPで

医療費控除申請を含む確定申告は、以下の3つの方法で行うことができます。
(1)自分の住所の所轄税務署に郵送する
(2)自分の住所の所轄税務署受付に持参する
(3)国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」を利用し、ホームページ経由で申告する(要事前登録)

なお、国税庁が運営するwebサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って必要情報を入力していくことで自動的に税額などが計算されるので便利です。ここで入力した内容はプリントアウトして(1)(2)の郵送・持参物とできるほか、(3)の「e-Tax」経由でオンライン送信することもできます。
※確定申告期間は毎年国で指定されているので、国税庁ホームページ内「確定申告特集ページ」をご確認ください。

2-4 ローン・分割払いの対象額範囲

インプラント治療の場合、ローンや分割払いを選択している人もいるでしょう。両者ともに医療費控除の対象となりますが、どこまでの額がその年の対象になるかに違いがあります。

◆ローンを組んでいる場合

支払うべき治療費を信販会社が立て替えて支払をしている状態のため、全額その年の医療費控除の対象となります。控除申請をする際には、ローン契約書の写しを用意しましょう。なお、ローンに付随する金利や手数料は控除対象外です。

◆分割払いの場合

その年に支払った額のみが医療費控除の対象となります。例えば、治療費総額が50万円で、2016年に30万円、2017年に20万円を支払う分割となっていた場合、2016年の控除対象は30万円のみとなります。

3.医療費控除還付金を計算してみよう

還付金を算出するには、2段階の手順が必要です。

3-1 まずは控除額を計算する

支払った医療費の合計−保険金などで補填される金額−10万円(※)
(※)その年の総所得金額が200万円未満の人は、10万円でなく、総所得額の5%となる。
が控除額となります。例えば、支払った医療費の合計が50万円、保険金などで補填される金額が5万円の場合、

50万円−5万円−10万円=35万円

が控除額です。

ここで注意すべきこととして、35万円が還付金として戻ってくるわけではありません。所得税に含まれなくなるということです。また控除額は最大で200万円までとなります。

3-2 控除額をふまえて還付金を計算する

3-1で算出した控除額に対して支払い過ぎてしまった税額が、実際の還付額です。計算方法としては、

控除額×所得税率=還付額

となります。所得税率は、総所得金額によって異なります。

<参考:所得税率(2015年分以降)>※2016年4月1日現在
所得額/税率
195万円以下/5%
195万円を超え、330万円以下/10%
330万円を超え、695万円以下/20%
695万円を超え、900万円以下/23%
900万円を超え、1800万円以下/33%
1800万円を超え、4000万円以下/40%
4000万円超/45%

例えば控除額35万円で、所得が500万円の人の場合、

35万円×20%=7万円

が、実際の還付額となります。

3-3 医療費控除は翌年の住民税にも影響

住民税には、前年の所得額に応じて課税するものが含まれています。つまり、前年の所得額が少なくなれば、翌年の住民税は軽減されます。医療費控除は、控除された分だけ所得が少なくなったと見なされるため、翌年の住民税にも影響するのです。

例えば、住民税率が10%の地域にお住まいで、前年の所得が500万円だった場合と、医療費控除35万円で所得が465万円と見なされる場合では、

500万円×10%=50万円
465万円×10%=46万5000円

で、翌年の住民税に3万5000円の差が出ることになります。

4.インプラントの医療費控除でよくある質問

よくある質問

4-1 インプラントの医療費控除対象は?

インプラント治療費と治療のために通院した交通費が、インプラント治療における医療費控除対象となります。交通費は電車やバス(困難な事情がある場合にはタクシーも含む)などの公共交通機関が対象となり、マイカーで通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象外です。
また歯ブラシや歯磨き粉なども医療費控除には含まれません。

4-2 カードやローンでの支払の場合は?

両者ともに医療費控除の対象です。ただし金利や手数料は対象外です。また分割払いをしている場合、その年での未払い分は翌年の控除対象となります。

4-3 全てのインプラント治療が対象?

美容目的のインプラント治療は、医療費控除対象外です。やむを得ない事情で歯を失ってしまった場合のインプラント治療のみが対象となります。

4-4 生計をともにする家族とは?

生活費をともにしている(同じお財布の中で生活をしている)家族のことです。単身赴任をしていたり子どもが一人暮らしをしていたりする場合、同じ屋根の下に常に住んでいなくとも、日常的に生活費や学費を送金している場合には「生計をともしている家族」と扱われます。

5.まとめ

たくさんのメリットがある一方で、費用が高額になるインプラントですが、医療費控除の仕組みを上手に活用すれば、少しでも負担を軽減することができます。書類の不備や間違った認識等で受けられる控除を逃してしまうことのないよう、日頃から準備を万全にしておきましょう。

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監修医矢島昇悟先生

青山通り歯科 院長

■院長略歴

2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長
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