「いい歯の日」があるけど「いい歯」って一体どんな歯?

「いい歯の日」があるけど「いい歯」って一体どんな歯?

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11月8日は、「いい歯の日」です。80歳で20本の歯を残す、8020運動の一環として設けられた日ですが、日本の現状では、20本残すのは程遠い一方で、北欧ではすでに実現している国もあります。
そもそも、いい歯とはどんな歯なのでしょうか?また、どうして日本人の多くが、高齢になって歯を多く失ってしまうのでしょうか?8020を実現できている国と、日本との差は一体どこにあるのでしょうか?この記事では、いい歯を改めて見つめ直し、いい歯をずっと保つための方法について、ご紹介いたします。

この記事の目次

1.いい歯の日は、どうしてできたの?

11月8日は、語呂合わせで「いい歯の日」となっています。いい歯って、一体どんな歯なんだろうと思う方もいるでしょう。その話に入る前に、どのようにして「いい歯の日」が生まれたか、そのあらましや目的について、ご紹介しましょう。

1-1.「いい歯の日」の目的

いい歯の日は、厚生労働省と日本医師会が1989年より推進を始めた8020運動が発端です。8020運動とは、80歳まで20本の健康な歯を残すことを推進する運動です。その一環として、日本国民に歯の健康増進を啓発するための日として、1993年より、11月8日をいい歯の日と定めたのです。

1-2.いい歯の日のイベント

いい歯の日のイベントとして、もっとも身近なものが「ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー」です。毎年、著名人部門では、全国の日本歯科医師会会員の投票によって、歯が印象的な笑顔の輝く男女の有名人が選出されています。2019年は、俳優の竹内 涼真さんと女優の中村 アンさんが受賞しています。

また、スマイルフォトコンテストも毎年開催され、全国から寄せられた笑顔の写真から、いい歯の日にふさわしい写真を選出しています。

2.どんな歯が「いい歯」なのでしょう?

2-1. 生活をいきいきとさせてくれる歯

いい歯というと、虫歯のない歯、歯周病のない歯、噛合せの良い歯、歯並びの良い歯、白い歯などなど、いろんな「いい歯」が思い浮かぶことでしょう。すべて間違いではありません。しかし、日本口腔保険学会では、もっと大きな視点で「いい歯」とは何かを伝えています。

それは、クオリティ・オブ・ライフ(QQL)を高めてくれる歯、日々の生活をいきいきとさせてくれる歯です。詳しく言えば、噛めるサイクルが健全に保たれている歯となります。しっかり噛めることが、消化を助け病気を防ぎ、美味しさを味わうことができ、バランスの良い栄養が摂れて健康になることで、またしっかりと噛めるというサイクルです。

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2-2.8020はなぜ20本なのか

いい歯の日は、80歳で20本を残す8020運動の一環ですが、そもそもなぜ20本を残すことよいとされているのでしょうか。日本口腔保険学会の調査では、食事が美味しいと感じられる歯の本数が20本だとしています。大人の歯は親知らずを除いて、上下14本ずつ合計28本ですが、自分の歯を20本残すことに努めれば、高齢になっても、しっかり噛めるサイクルを保てると伝えています。

3.しっかり噛める歯がもたらす健康

しっかり噛める歯はどのような健康をもたらしてくれるのでしょうか。8020推進財団では、これを「ひみこの歯がいーぜ」という標語で伝えています。

ひ 肥満の予防

しっかりと噛んで食べることで、満腹中枢が働き食べ過ぎを防止します。

み 味覚の発達

しっかりと噛んで、食べ物をよく味わうことで、味覚が発達してきます。

こ 言葉の発音がはっきり

口の周囲の筋肉が鍛えられることによって、表情が豊かになり、言葉の発音もきれいになります。

の 脳の発達

あごをしっかりと開閉させて咀嚼することは、脳に酸素と栄養を送り、脳の働きを活発にしてくれます。

は 歯の病気を防ぐ

しっかり噛むことで、唾液の分泌が促されるので、口内環境をきれいに保つことができます。

が がんを防ぐ

唾液に含まれる酵素には、発がん物質の作用を抑える働きがあると言われています。

い 胃腸の働きを促進する

よく噛むことによって、消化しやすくなる上、消化酵素の分泌が促進され、胃腸の働きが活発になります。

ぜ 全身の体力向上

重いものを持ち上げたり、体に力を入れたりするときには、歯をグッと食いしばるものです。歯が健康で、しっかり噛みしめることができれば、力を十分に発揮することができます。

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4.いい歯を保つための予防歯科に注目!

4-1.スウェーデンと日本の差

8020運動を啓蒙している日本ですが、実際のところ、80代での残存本数の平均は、残念ながらわずか7本程度となります。しかし一方で、「歯科先進国」といわれるスウェーデンでは平均20本で、80歳20本をすでに達成しています。この差は一体、何でしょうか?

4-2.歯医者さんでメンテナンスをしていないことが原因

日本において、40代以降で歯を失う大きな原因は歯周病です。しかし、歯周病は決して難病ではなく、その原因は歯周病菌の出す毒素によるものと、原因がはっきりしています。しっかりとケアしていれば、防げるものなのです。

日本人もスウェーデン人も、セルフケアに関して大きな違いがあるわけではありません。それなのに、なぜ歯周病で歯を失う人がこれほど多いのかといえば、歯医者さんでプロによるクリーニングやチェックを、定期的に行っていないからです。

4-3.セルフケアには限界があります!

つまり、歯のセルフケアには限界があり、磨き残しが発生してしまいます。歯医者さんでのチェックを怠ったまま長期間放置し、悪化してから初めて、歯医者さんに足を運ぶというのが、日本の現状ではないでしょうか。セルフケアでは不十分であることをしっかりと認識し、定期的に歯医者さんでプロのメンテナンスを受けることが、歯を残すためのコツだといえます。

5.まとめ

いい歯とは何か?自分なりに改めて考えてみる、良い機会になったのではないでしょうか?歯を失うことは、食事や発音などに影響するだけでなく、ゆくゆくは体全体の健康を損なうことにつながるということを肝に銘じておきましょう。また、セルフケアでは不十分であることを念頭に置き、歯医者さんでの定期的なメンテナンスを積極的に行うことが大切です。

 

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監修医飯田尚良先生

飯田歯科医院 院長

■院長経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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