歯石除去で出血!歯肉炎・歯周病進行中のサイン?

60,434 View
★役に立った!13

「歯医者さんで勧められるがままに歯石除去を受けたら、歯茎から出血した」という方は意外に多いもの。「『痛みはない』と言われて受けた歯石除去なのに、とても痛かった。下手な歯科衛生士だったのかも……」という話もよく耳にします。歯石除去で血が出るのは、実は歯肉炎や歯周病が進行している証拠。健康な歯茎の人であれば痛みを感じない歯石除去処置も、歯肉炎や歯周病の歯茎を抱えた人にとっては痛みと出血を招くことがあるのです。歯石除去で出血してしまう原因とその対策、自宅で気をつけることなどをまとめてご紹介します。

1章 歯石除去で歯茎から血が出るのはなぜ?

1-1 歯石除去の出血は、歯茎の炎症が原因

歯医者さんで歯石を取ってもらうと、歯茎から血が出ることがあります。これは、歯茎に炎症が起きているサイン。通常、歯茎が健康な人では、歯石除去の処置を受けても、痛みや出血が起こることはありません。しかし、歯茎に炎症がある場合には、歯石を除去することにより、歯茎の炎症部分を刺激して、出血させてしまうことがあるのです。

1-2 歯石除去の処置で傷ついての出血ではない

歯石除去後に出血に気づくと、歯石を掻き取る道具である「スケーラー」で、「歯茎を傷つけられた!」と思う人が多いようです。しかし、歯石を取り除く処置では、歯茎を直接傷つけてしまうことはまれ。歯石は歯垢(プラーク・バイオフィルム)と同様、細菌の塊です。長い間歯石が頑固にこびりついている周辺には、細菌と戦うために白血球などの免疫細胞が大量に集まってきます。そして、その戦いの際に出てくる毒素や細胞の残骸などが歯茎の炎症を起こす原因になります。歯茎が炎症を起こすと粘膜が弱くなり、軽く触っただけでも簡単に破れてしまうようになります。そんな状態の歯茎に接する場所の歯石を取り除くことで、歯茎の炎症部分から血が出るのです。

1-3 歯茎が健康であれば、歯石除去で出血はない

「歯石除去に痛みはない」というのが定説です。しかし、これは歯茎が歯肉炎や歯周病にかかっておらず、健康な状態である人にのみあてはまります。歯肉炎や歯周病で歯茎に炎症があると、歯石除去で痛みを感じたり、出血したりということはままあるのです。調査によると日本の成人の約8割が、程度の差はあれ、歯周病や歯肉炎に罹患していると言われます。つまり、歯石除去で出血したり、痛みを感じたりする人は、思った以上に多いのです。

1-4 歯石除去の痛み、出血は歯茎からの黄色信号

歯石除去の際に痛みを感じたり、歯茎から血が出たりしたら、それは歯茎から、あなたへの警告メッセージ。歯茎は歯肉炎や歯周病に侵されつつあり、あなたの助けを求めているのです。いつもの歯ブラシをやわらかめのブラシに持ち替えて、歯茎をいたわるお手入れを心がけましょう。

1-5 歯石除去後、数日間出血が続くことも

歯石を取り除くことで、歯茎の炎症の原因を除去し、炎症を快方に向かわせることができます。そのため、歯垢除去後に出血しても、数日経てば歯茎の炎症がおさまり、出血も止まるでしょう。歯茎の状態が落ち着くまで、数日間は出血が続くことがありますが、気にしすぎないで様子を見るようにしましょう。

2章 歯石除去で歯茎から血が出たら、どうする?

2-1 歯ブラシを柔らかいものに替えて様子を見て

歯医者さんで歯石除去の処置を受けた直後に、歯茎からの出血に気づいたらあわててしまうもの。とはいえ、気にしすぎる必要はありません。まずは歯茎の炎症がおさまるまで、炎症部分に刺激を与えないようにしながら様子を見て下さい。特に、気をつけるべきなのは毎日の歯磨きです。クリーニングへの意識が高まる歯石除去の直後は、つい歯磨きに力が入りがち。正しい歯ブラシの当て方を指導してもらったり、普段使いの歯ブラシを柔らかいタイプに替えて歯茎をマッサージするなど、日頃のケアにも気を遣うようにしましょう。

2-2 数日で出血が止まれば、改善のサイン

刺激を与えないように気をつけながら経過を観察し、数日で出血が止まるようなら、歯茎の炎症部が改善したサインです。再び歯茎に炎症を起こさせないためには、歯石を付着させないことが重要。歯石は歯磨きで落とすことができませんが、歯石の元となる歯垢は、十分な歯磨きで取り除くことができます。普段から時間をかけて丁寧にブラッシングする習慣を身につけましょう。

2-3 歯垢除去後のしみる歯は、歯磨きに注意

歯石除去後には、歯茎から出血しやすくなると同時に、歯がしみると感じやすい人が多いようです。こちらの症状も出血と同じく、数日で落ち着くケースがほとんどですが、気になる場合は歯磨きに気をつけてみましょう。硝酸カリウム製剤入りの歯磨き粉を使うのがおすすめです。

2-4 1週間経っても血が止まらないなら歯医者さんへ

歯石除去後に1週間、歯茎の状態を見ても出血がおさまらないという時には、単純な歯茎の炎症による出血ではなく、別の原因による出血であることが考えられます。かかりつけの歯医者さんに、相談しましょう。出血はなくても痛みが続くといったケースでも同様です。

3章 歯石除去で歯茎から出血しないためには?

3-1 歯石を貯めすぎず、定期的に除去する

一度歯石除去での出血を経験してしまうと、「もうこりごり」とばかりに歯石除去から遠ざかってしまう人がいます。しかし、こうした対応は逆効果。歯石除去で痛みや出血を発生させないためには、歯茎に炎症を起こさせないことが大切です。そのためには、定期的な歯垢除去で、歯に歯石を貯めすぎないことが必要不可欠なのです。3〜4ヶ月おきを目安に、歯医者さんに通う習慣を身につけて、定期的にクリーニングを受けるようにしましょう。定期的な歯科受診は、予防と同時に虫歯の早期発見にも有効なのです。

3-2 歯茎が腫れている時の処置は避ける

歯茎にひどい炎症が起きている時には、歯石をとることを避けるというのもひとつの選択肢になります。歯茎に強い炎症が起きている状態で更に刺激を与えると、処置後に腫れや痛みが起こってしまう事もあります。強い炎症がある場合、そこには大量の歯石やプラークが溜まっていることが多いので、まずは無理のない範囲でそういった汚れを取り除いて行きます。また、歯ブラシを柔らかいタイプに変えたりブラッシングの改善をしたりして、炎症を抑えていきます。
ある程度、炎症が治まってくれば、歯石除去を行うことができるようになるので、ここから本格的に処置を始めることが出来ます。

3-3 経験豊富な担当者を見極める

歯石除去処置を行えるのは、資格を持った歯医者さんと歯科衛生士のみ。あってはならないことですが、歯石除去の際には資格を持たない歯科助手などに担当を任されていないか、念のため確認するのもよいでしょう。また、歯石除去はある程度の技術と経験を要する処置になります。そのため、担当者によって上手、下手があるのは当然です。本来、健康な歯茎の人に経験豊富な担当者が行えば、歯石除去は痛みや出血を発生させるような処置ではありません。処置中に眠ってしまう人も多いといいます。「この人は上手だな」と感じたら、次回も担当をお願いするなど、担当者を見極めることも、歯石除去で出血させないためにできることのひとつです。

まとめ

日本の成人では、8割近くの人が歯肉炎や歯周病といった歯茎の症状を抱えているといわれています。歯石除去後に出血に気づくと、「歯や歯茎の健康を守るために歯医者さんで歯石を取ってもらったのに、歯茎から血が出るなんて……」とあわてる人が多いようですが、こうした現象は割と一般的なことなのです。
出血を防ぐためには、歯茎を健康な状態に保つことがとても大切。普段から丁寧にブラッシングすることはもちろん、歯医者さんでプロによる定期的なクリーニングを受けて、歯垢や歯石を歯に付着させないように心がけましょう。

この記事は役に立った!

青山通り歯科監修医矢島昇悟 先生

東京都港区赤坂4-9-25 新東洋赤坂ビルB1F

■院長略歴

2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長
先生の詳細はこちら
不正確な情報を報告