この記事の目次
1.永久歯が生え揃う小学校高学年
12歳臼歯で永久歯が揃う
一般的に、小学校に入学するころから、乳歯から永久歯への生え変わりが始まります。そして、小学校高学年になる10歳~12歳ころまでに、すべての永久歯が生え揃ってきます。もちろん個人差はあるので、多少時期が前後しても気にする必要はありません。12歳前後には、大体の子どもに12歳臼歯が生えてきます。口内だけでいえば、永久歯が生え揃い大人へと成長していく、大きな変化の時期といえます。
乳歯と永久歯が入り交じり、歯並びが悪くなることも
乳歯と永久歯が入り混じった生え変わりの時期を、混合歯列期と呼びます。小学校高学年は、乳歯と永久歯が入り交じる最終段階の時期です。生え変わりのタイミングで歯並びが変わってしまったり、曲がって生えてくるなどして、歯列に悪い影響が現れることも少なくありません。
矯正歯科を始める年齢にも
小学校高学年は、矯正歯科を始める年齢でもあります。すべての歯が乳歯のころから歯列に問題があれば、すでに歯列矯正の第1期治療を始めているお子さんもいるかと思います。しかし、永久歯に生え変わったことで歯列が乱れた場合には、小学校高学年ころから歯列矯正を始めることになります。
小学校高学年は、永久歯が生え揃ったあとで始める第2期治療を始める時期です。「本格矯正治療」などともいわれ、ブラケットなどをつけて大人と同じ形で矯正を始める時期にもあたります。
歯の強度が増してくる
小学校高学年になると永久歯へと生え変わり、大人とほとんど変わらない歯の状態になります。自分で歯みがきをしたり、健康管理ができるようになるため、歯の強度も増していきます。
まだまだ虫歯になりやすい時期ですが、だんだんと虫歯に負けない強い歯になってくるのです。
歯を含めた身だしなみが気になってくる
思春期に入る小学校高学年は、口臭や乱れた歯並びなどにも敏感になってくる時期です。おしゃれをするのと同様に、自分の歯がどう見られているのかも気になりだすのです。
出っ歯や曲がった歯、八重歯などに悩む子どもも少なくありません。歯並びは自力で変えることはできないため、あまりに悩んでしまっている場合は、親御さんが歯医者さんに連れて行ったり、精神面でのアドバイスをするなど、適切なフォローをすることが必要となってきます。
2.歯みがきの腕はまだまだ未熟?親御さんのサポートが必要な時期
虫歯になりやすい生え変わり時期
小学校高学年のころは、永久歯が生え変わる時期でまだまだ虫歯になりやすい状態です。歯みがきは本人に任せてしまっている家庭も多いと思いますが、お子さんだけだと歯みがき時間が短かったり、きちんと磨けていないケースもやはり多いです。
仕上げ磨きは親が行うなど、最終的な歯の健康管理には大人のサポートがまだまだ必要です。
お子さんに定期検診を受けさせたり、異常がないかの声がけをするなど、歯の状態をこまめにチェックしましょう。また、歯みがきに関してもまだまだ未熟な点が多いので、正しいブラッシングを習得させるために、時折ブラッシングの方法をチェックする必要もあります。
生活習慣が乱れやすい
小学校高学年にもなると、塾などで帰宅が遅くなったり、親御さんが共働きの場合は、晩御飯をひとりで食べる「孤食」などの状態が増えてきます。このように食べ物や生活習慣が変わってくる時期でもあり、それらの影響で適切なケアが行き届かず、虫歯が発症しやすくなる可能性があります。
「自分でできるから」となんでもひとりで行わせると、夜更かしや食べすぎなど生活習慣の乱れの原因にもなります。共働きで忙しい家庭も多いかもしれませんが、親が仕上げ磨きのチェックをするなど、生活習慣全体でできる限りのフォローができるように尽力しましょう。
おやつなどの食べ物のチェックも
小学校高学年になると行動範囲が広がって、お小遣いなどでお菓子を買って食べることも増えてきます。すべてを見張ることはできませんが、日ごろどんなおやつを食べているのか、どれくらいのおやつを食べているのか、時々確認することが大切です。
虫歯の予防のためには、砂糖がたくさん入った食べ物を食べすぎるのはよくありません。また、友達とゲームをしたり、遊びながら食べる「ながら食べ」をすれば、さらに虫歯になりやすい状態になります。できる限りお子さんのおやつ習慣を把握し、砂糖が多いものを長時間かけて食べると虫歯になることなど、必要な情報を共有するようにしましょう。
虫歯予防にフッ素も効果的
小学校高学年は永久歯に生え変わる時期です。生え変わってすぐの歯は表面がやわらかく、虫歯菌に侵されやすい時期です。この時期は特に、虫歯の予防に力を入れましょう。
方法としては、例えば、定期検診を受けたついでにフッ素を塗布するのがおすすめです。フッ素には虫歯から歯を守ってくれる作用があります。施術時間は10分程度で終わるため、学校や塾、習い事などで忙しいこの時期の子どもたちにも、それほど負担にはなりません。
虫歯がないとなかなか歯医者さんには行かないかもしれませんが、予防の観点からいえば、可能な限り歯医者さんでの定期健診は続けさせた方がよいでしょう。
3.小学校高学年から意識したい歯肉炎
意外と多い?子どもの歯肉炎
大人のお口のトラブルと思われがちな歯肉炎ですが、実は小学生でも歯肉炎に悩まされている子どもは多いです。特に、小学校高学年から中学生を中心に多く見られます。
歯肉部分は、歯の土台となる大切な部分です。虫歯だけでなく、この時期は歯肉炎ケアにも力を入れてください。
親子で確認しよう!歯肉炎の症状
もしかすると、すでにお子さんに歯肉炎の症状が出ているかもしれません。ここでは、歯肉炎の特徴を紹介しますので、ぜひ親子でチェックをしてみてください。
・歯みがきのときに出血するか
・歯みがきのときに痛みがあるか
・口臭があるか
・歯茎がブヨブヨしていないか
これらの症状は、お子さんだけでは気づけない可能性もあります。定期的に親子で確認し、心配があれば歯医者さんに診てもらうといいでしょう。
歯肉炎を予防するには
歯肉炎を予防するには、歯周病予防の歯みがき粉やデンタルリンスを使用するのが有効です。また、お子さん自身にも、歯みがきを丁寧にすることの大切さをしっかり教えましょう。
歯垢が長時間溜まることで歯肉炎が発症するので、おやつは時間を決めて食べるようにし、「ながら食べ」などをしないように注意喚起することも大切です。また、定期的に歯石除去を受け、歯肉炎になりにくいケアをしていきましょう。
4.虫歯や歯周病予防のポイント
おやつの内容にも注意!
糖分が虫歯の原因になります。そのため、糖分がお口に残らないように、シュガーレスや、糖分の少ないお菓子を選んで与えることも大切です。また、コーラなどの炭酸飲料や糖分含有の多いジュースやスポーツドリンクなども要注意です。
この時期に甘いものの摂りすぎに注意するよう教えれば、それが礎となって、虫歯になりにくい食習慣が身についていきます。今現在のことだけでなく、生涯を通じて有益となる、虫歯になりにくい食習慣を教えていきましょう。
おやつタイムを決めて
ながら食べは虫歯が繁殖する時間を確保してしまうことに繋がります。おやつの時間は15分間以内におさめるなど、時間を区切っておやつを食べさせてください。お子さんに対しても、なぜ時間を区切って与えるのか説明しておくと、ストレスなく受け入れてもらえるでしょう。
30分以内にお口の中をきれいにして
虫歯菌は食後30分で活発になります。そのため、虫歯菌が活発に動き出す前に、糖分をお口の中から排除する工夫が必要です。食後はブラッシングをするか、難しいようならお口をゆすぐだけでも、なにもしないよりは意味があります。適切に、虫歯にならない習慣を身につけさせていきましょう。
仕上げ磨きはまだまだ必要
小学校高学年になると、発言も大人びてきたり、自己管理ができるようになるお子さんも少なくありません。しかし、歯みがきの技術などはまだまだ未熟で、お父さんお母さんの仕上げ磨きが必要な年代です。
改めて、歯の磨き方を教えながら磨いてあげましょう。そのときには、毛先を歯に対して垂直に当てブラッシングすること、歯を一本一本丁寧に磨いていくことなどを伝えるようにしてください。思春期で親御さんのいうことを素直に聞けないようなら、歯医者さんで適切な歯みがき方法を教わるのもひとつの手です。
5.まとめ
小学校高学年は、永久歯が生え揃っていく段階で、まだまだ虫歯になりやすい年ごろです。この時期は、親御さんが子どもに手をかけることが少なくなりますが、現実的にはまだまだサポートが必要です。お子さんに任せすぎずに、歯みがきの最後には親御さんが仕上げ磨きをするようにしてください。特に、多忙でお子さんと接する時間が少ない親御さんの場合、うまくコミュニケーションの時間として活用していきましょう。それも難しい場合は、休日などに小児歯科に通わせて、最低限の予防処置だけでもしてもらうようにしましょう。