この記事の目次
1.乳歯の虫歯がひどいと歯並びが悪くなる?
乳歯はそのうち生え変わるからと虫歯を放っておくと、普通より早い時期に抜けてしまうことがあるのをご存じですか?さらに、抜けた乳歯をそのままにしておくと、まわりの歯が倒れてきて、永久歯の生えるスペースがなくなってしまうことがあります。
結果的に、永久歯が揃って生えずガタガタになる、変な方向に向かって生えるなどの原因で、歯並びが悪くなってしまいます。乳歯が虫歯になり早めに抜けてしまった場合、なるべく早めに歯医者さんに行きましょう。
2.乳歯の虫歯が与える影響
永久歯も虫歯になりやすい歯に
乳歯が虫歯になり、根っこの先端まで膿が溜まってしまうと、その下で生えるのを待っている永久歯まで、色が変わる、弱くなる、虫歯になるなどの悪影響を受ける可能性があります。
せっかく永久歯が生えてきたのに、虫歯になりやすい歯だったとしたら困ってしまいますよね。また、乳歯の虫歯を放置することで、虫歯菌がお口の中に増えてしまいます。それにより、まだ虫歯になっていない歯にまでリスクがおよぶ恐れも出てしまいます。
顎の成長をさまたげる
虫歯が進むと歯に痛みが出ますが、赤ちゃんや子どもは痛みをうまく伝えられず、我慢してしまうことがあります。そんなお子さんが飲食をすると、痛みを感じるためしっかり噛まずに食事をするようになるのです。
子どもにとっては、顎の骨を成長させるために、よく噛むことが大切です。しかし、虫歯を放置しておくことで、「虫歯で痛みがある→痛くて噛みづらい→噛まずに飲み込む→顎の骨の成長をさまたげる」という悪循環ができてしまいます。
食べ物が偏ってしまう
虫歯になり歯が痛むことで子どもの食欲が減り、痛みを減らすためにやわらかいものを好むようになる傾向があります。やわらかいものを食べ続けていると、顎の発育が損なわれます。また好みに偏りが出てしまい、栄養バランスも崩れてしまうことになりかねません。
3.乳歯が虫歯になったときの歯医者さんの治療
初期の虫歯の場合
虫歯といっても症状の進行によって治療方法が変わります。
乳歯の虫歯の色というのは初期の場合、白くなっている、もしくは白濁(はくだく)していることが多いです。このときの歯医者さんでの治療はなるべく削ることはせず、フッ素を塗る治療で終わることもあります。
フッ素を塗ることで歯質が強くなり、唾液による歯の再石灰化(溶け出したカルシウムやリンを元の状態に戻すこと)が促進されます。これにより、初期虫歯の改善が期待できます。
進行してしまった虫歯の場合
さらに進んでしまった虫歯に対しては、患部を削り、プラスチックや金属を詰める治療をすることもあります。また、それより大きくなってしまった虫歯には、被せ物をして穴をふさぐ処置をほどこします。
初期の虫歯であっても、進行している場合でも、麻酔をかけて治療しますが、進行していない虫歯の方が時間もかからず子どもに負担がかかりにくいです。歯の色味など変化を感じたら、早めに歯医者さんに診てもらうことが大切です。
神経まで達してしまった虫歯
乳歯の虫歯というのは進行が早いという特徴があるため、あっという間に神経まで達してしまいます。また、乳歯は大人の歯と比べて神経の占める割合が大きいので、早く神経まで到達し痛みが出やすい傾向にあります。例えば、ズキズキという痛みが続いている、痛みで夜寝られないという症状がある場合には要注意です。
もし、虫歯が神経まで達している場合には、根っこの先に膿が出たり、永久歯の色が変色したりすることもあります。場合によっては根っこの治療まで行うこともあります。また、神経がなくなってしまった乳歯は、生えかわりの際、スムーズに抜けないことがあります。生え変わりがうまくいかないのであれば抜歯する必要性も出てきます。
虫歯を放置して抜けてしまった場合
乳歯の虫歯を放っておいたうえで抜けてしまった場合、歯医者さんでは保隙装置(ほげきそうち)という、隙間を確保するための装置を入れてくれます。それにより、まわりの歯が倒れてきて歯並びが悪くなるのを予防できます。乳歯が抜けてしまってから、次の永久歯が生えるまで半年以上かかるのであれば、歯医者さんに行き保隙装置をつけてもらうことを検討しましょう。
4.矯正する前に虫歯があったら?
歯並びが悪く、これから子どもに矯正を受けさせようと思っているのであれば、基本的には、事前に虫歯や歯周病の治療が必要になります。
その理由は、歯茎などが炎症を起こしている場合、矯正器具によって歯茎を圧迫してしまう可能性があるからです。圧迫されることで歯や周辺の歯茎に刺激が加わり、今まで痛まなかった虫歯が痛むこともあります。そのため、できる限り矯正前に、虫歯や歯周病を治療しておく必要があります。
歯医者さんでは、矯正治療の前にあらかじめ歯を抜いたり、補助装置をつけたりする処置をしてもらえます。
また、矯正中は常に矯正装置をつけている状態です。取り外し式でない限り、歯が磨きづらくなり虫歯になりやすくなるというデメリットがあります。もし歯並びを矯正している間に虫歯になった際には、ついている装置をはずしてから虫歯の治療をする可能性がありますので気をつけなければいけません。
5.知っておきたい!虫歯になりやすい場所
歯と歯の間
子どもの歯で虫歯になりやすい場所はどこなのでしょうか?
一般的に虫歯は、歯と歯の間にできやすいです。しかも、赤ちゃんや子どもの歯は顎が小さいため、なかなか奥歯まで磨きづらい傾向があります。特に奥歯の歯間は、歯ブラシやデンタルフロスが届きにくいので、親御さんがしっかりとフォローしてあげましょう。
歯のミゾ
子どもの歯の中には、歯が複雑な形をしていたりミゾがあったりするケースがあります。
例えば、生えたての上前歯の裏にはミゾがあります。また、前から6番目に生える6歳臼歯とよばれる歯は、噛み合わせにとても重要だとされていますが、形が複雑なので虫歯になりやすいという特徴があります。汚れが溜まりやすいので、丁寧に時間をかけてブラッシングする必要があります。
もし、どうしても歯と歯の間に汚れが溜まりやすいのなら、歯医者さんで行う虫歯予防としてシーラントという治療があります。シーラントとは奥歯や前歯の歯のミゾをプラスティックやセメントなどの素材で埋める方法です。こうすることにより、汚れが溜まりにくく、虫歯にもなりづらくなります。
歯と歯茎の間
まだ成長しきっていない子どもの歯ぐきはとてもやわらかく繊細です。歯ブラシのちょっとした刺激だけで痛みを感じてしまうこともあります。
それが原因で、お父さんお母さんの仕上げ磨きをお子さんが嫌がり、磨き残しができやすくなります。結果、歯垢や歯石が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因となるのです。
6.まとめ
乳歯の虫歯を放っておくと、歯並びが悪くなるだけでなく永久歯まで虫歯になりやすいなど、体へのさまざまな悪い影響が心配されます。乳歯の虫歯は最初のうちは白っぽく分かりづらいため、素人目線では判断がつきません。定期的に歯医者さんで検診してもらうようにしましょう。
また、歯並びが悪く矯正治療を考えているのなら、矯正を始める前に虫歯治療を優先しなければいけません。ぜひ早めに歯医者さんに通ってくださいね。