なんでそんなに嫌がるの?子供が歯磨き好きになるコツを紹介

子ども 歯みがき

なんでそんなに嫌がるの?子供が歯磨き好きになるコツを紹介

歯磨きをするようにいってもなかなかしてくれない、仕上げ磨きを嫌がるなど、お子さんの歯磨きで悩むお母さんは多いですよね。“ついつい”根負けして今日は歯磨きしなくていいか、などと思ってしまうかもしれません。ですが、その“ついつい”は虫歯や歯周病につながる恐れがあります。

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歯は一生使っていくものですし、虫歯治療はお子さんにとっても大きな負担となります。子供のうちからしっかりと歯を磨く習慣をつけ、健康な歯を維持させてあげたいですよね。
この記事では、子供が歯磨きを嫌がる代表的な理由や、好きになるためのコツを紹介しているので、参考にしてみてください。
こちらに掲載している内容は、あくまで一例であり全てのお子さんにあてはまるわけではございません。

この記事の目次

1.まずは嫌がる理由を知ることから

子ども 歯磨き 好きになる

子供の“いや”には理由がある

なんでも嫌がるイヤイヤ期は例外として、子供が歯磨きを嫌がるのには、なにかしらの理由があります。最初に歯ブラシを持たせたときには楽しんで歯を磨いていたのに、あるタイミングから突然嫌がるようになってしまった、ということもあるのではないでしょうか。その間に、子供が“いや”と感じる何かが起きていることがあります。

嫌がるお子さんに無理やり歯磨きをさせてしまうと、そのいやな気持ちが強く残り、“歯磨き=いやなもの“と記憶してしまいます。お母さんが仕上げ磨きをしているうちはよいですが、実際にお子さんがひとりで歯磨きをし始めた段階で、いやな記憶から雑な磨き方をしてしまうかもしれません。
適切な磨き方ができていないと、歯の汚れをしっかりと落とすことができず、虫歯になりやすくなります。

そうならないためにも、早いタイミングで歯磨きがいやな理由を丁寧に聞いて、その理由を取り除いてあげましょう。歯磨きは楽しいもの、大切なものだと感じさせることができれば、子供の歯磨き問題は大前進といえます。
※ イヤイヤ期の歯磨きについては、1-3でご紹介します。

代表的な“いや”の理由

歯磨きを嫌がる理由は子供によってさまざまですが、ここではいくつかの代表的な理由をご紹介します。

◆口の中に歯ブラシが入るのが気持ち悪い
大人には当たり前の歯ブラシですが、子供にとっては今まで口に入れてきたものとは違う、得体のしれないものです。歯や歯茎にブラシが触れる感覚が気持ち悪かったり、そもそも固いものが口に入ることに拒否感を覚えたりします。特に口の下側よりも上側に歯ブラシが触れることを嫌がるお子さんもいます。

このような場合にはまず、歯ブラシに慣れることから始めます。最初はガシガシと噛んでしまっても問題ないような、赤ちゃん用の歯ブラシを選択するとよいでしょう。(歯ブラシ選びについては2章で詳しくご紹介します)

◆ずっと口をあけていることが苦痛
歯磨きのためにずっと口をあけていると、唾がたまってきます。大人は吐き出すことができますが、子供はまだそれが上手にできないため苦しくなってしまいます。この場合には、唾がたまってきたなというタイミングで、一度吐き出すようにうながします。

また、長時間口をあけているとあごが疲れてしまうので、唾を吐き出すタイミングで少し休憩をさせてあげるのもよいでしょう。

◆歯磨きのときのお父さんお母さんが怖い
お子さんに歯磨きをさせるために、無理やり押さえつけたり、怒ってしまったりすることがあるかもしれません。また、お子さんが嫌がっているからこそ、短時間で仕上げ磨きを終わらせてあげようと、強い力で歯を磨いてしまっている場合もあります。
しかし、これは逆効果です。“歯磨き=親御さんが怖くなる“というイメージをお子さんに植えつけてしまいかねません。

お子さんのことを思っての行動なのはとてもよくわかりますが、親御さんの方も少し力を抜くようにしてみてください。歯磨き時間は楽しい、というイメージをお子さんに持ってもらえるよう、優しく、笑顔でいることを心がけてみましょう。

イヤイヤ期の乗り越え方

子供が歯磨きを嫌がるのには理由があるとお伝えしてきましたが、イヤイヤ期では例外もあります。何でもかんでも理由なく嫌がり、親御さんを困らせるこの時期の歯磨きでは、以下のことを意識してみてください。

◆正しい歯磨きの仕方を細かく教えてあげる
なんでも自分でやりたがるこの時期は、実は歯磨きの方法を正しく学ばせるチャンスでもあります。これまでは、とにかく歯磨きをしてくれさえすればいい、というレベルだったのに対し、正しい歯ブラシの持ち方や、前歯と奥歯の磨き方の違いなどを教えてあげて、お子さんのやる気と自立性を後押ししてあげることもひとつの手です。

◆イヤイヤをあえてスルーする
イヤイヤしてしまう子供の気持ちとして、イヤイヤをすればお母さんがかまってくれる、というものがあります。歯磨きをいやだといえば、お母さんが追いかけてきてくれると思っているのですね。もちろん、お子さんとのスキンシップとしてあるていど対応してあげることは大切ですが、忙しい朝などはどうしても難しいこともあります。しかし、お子さんがかまってほしいと求めているのをスルーするのは、お母さんにとっても精神的な負担になりますよね。

そこで、「この時間にこれだけはやらなければならない」というリストを作り、リストにある作業が完了するまでは、お子さんのかまってをスルーするという習慣をつけてみるのはどうでしょうか。そうすることで、この時間はお母さんがかまってくれない、歯磨きをすればお母さんと触れあうことができるとお子さん自身が気づき、次第に自ら歯磨きをするようになっていくかもしれません。

◆できたら大げさにほめてあげる
上手に歯磨きができたら、自分で歯磨きができたことを少し大げさすぎるほどにほめてあげましょう。“自分でできた”“ほめられた”というプラスのイメージから、次もがんばろう、という気持ちになってくれるはずです。
「歯磨きできたで賞」などのルールをつくって、ごほうびのシールを渡してあげるのもよいですね。毎日貼られていくシールが、イヤイヤ期のお子さんのモチベーションとなってくれるかもしれません。

上記で伝えた方法は、あくまで一例であり全てのお子さんにあてはまるものではございません。何がよい方法かは、お子さんによってそれぞれ異なります。お話したり、様子を見ながらよりよい方法を見つけていきましょう。

2.子供が喜ぶ歯ブラシ・歯磨き粉選び

歯ブラシ選び

歯磨きを嫌がる理由に応じて、その理由をやわらげることができる歯ブラシを選ぶようにしましょう。子供用の歯ブラシは、成長段階や用途に応じてさまざまなものが売られています。ドラッグストアなどでお子さんと一緒に選んでみるのもよいですね。

◆好きなキャラクターと一緒に
歯磨きタイムに恐怖心を抱いてしまっているお子さんの場合は、好きなキャラクターの絵がついている歯ブラシがおすすめです。「○○ちゃんの好きな△△(子供が好きなキャラクター)も一緒に歯磨きしようっていってるよ」「△△が応援してるよ」などの言葉とともに、歯磨きをうながしてあげることもできますね。

◆毛先が柔らかい歯ブラシ
歯や歯茎にブラシが触れることに不快感を抱いてしまっているお子さんには、毛先が柔らかい歯ブラシを選んであげるといやな気持ちも少しはやわらぐでしょう。

◆おしゃぶり感覚で歯ブラシに慣れる
口の中に物(歯ブラシ)が入ることに違和感を覚えているお子さんには、丸い持ち手で柄が短い、おしゃぶり感覚で口に含むことができる歯ブラシを使って少しずつ慣れさせてみましょう。

歯磨き粉選び

歯磨き粉選びを工夫することで、お子さんの歯磨き嫌いを克服できる可能性があります。

◆豊富なフレーバーで歯磨きを楽しく
イチゴやメロンなどの定番フルーツ味から、ソーダ味、コーラ味などの変わり種も売られているので、お子さんの好みに合わせて選んであげましょう。何種類か用意しておき、日替わりで使い分けをしても楽しいですね。
子供用といっても個人差で辛いと感じてしまうものもあるので、新しいものを用意した際には、辛くないかを確認してあげるとよいでしょう。

◆泡立ちが少ないジェルタイプ
歯磨き中の泡や、口をすすぐのが苦手なお子さんには、泡立ちが少ないジェルタイプの歯磨き粉もあります。このタイプは歯磨き中の口の中がよく見えるので、仕上げ磨きの際も磨き残しを防ぐことができます。

3.歯磨きを楽しめるツールを活用

歯磨き動画を活用

スマートフォンやタブレットなどで見ることができる歯磨き動画を活用してみましょう。お子さんにとっては苦痛な歯磨きでも、軽快な音楽を聞いたりかわいい絵を見たりすることで、楽しい時間を演出することができます。また、動画を見ている間は歯磨きをするというルールづくりをすることで、2〜3分間の歯磨き時間の習慣化にもつながります。

歯磨き絵本を活用

普段読む絵本の中に、歯磨きに関する絵本も加えてみましょう。普段から歯磨きを身近に感じさせ、歯磨きをしないとどうなってしまうか絵本を使ってやさしく伝えることで、お子さんに歯磨きの必要性を意識してもらいます。絵本のやさしいイラストがあるだけで、お子さんもイメージしやすくなるかもしれません。

歯磨きアプリを活用

スマートフォンなどの普及により、ゲームをしながら楽しく歯磨きトレーニングができるアプリもリリースされています。動物の歯についた汚れを歯ブラシで取り除くと、動物たちが喜んでくれたり、歯磨きの歌も用意されていたりするので、ゲームで遊んだあとに、「今度は○○ちゃんの歯をきれいにしよう」などと声をかけて、歯磨きタイムに入るのもよいですね。

4.歯磨きをコミュニケーションの時間に

歯磨きタイムはやわらかな表情で

嫌がるお子さんにどうにかして歯磨きをしてもらおうと、必死になってしまうお母さんも多いかと思います。そのため、ついお子さんを抱く手に力が入ってしまったり、険しい表情になってしまったり、声を荒げてしまったりすることはありませんか?
ただでさえ歯磨きを苦痛に感じているところに、お母さんが怖い顔になってしまっては、お子さんの歯磨き嫌いはさらに加速してしまいます。歯磨きをさせるとき、仕上げ磨きをするときは、意識してやわらかな表情になるよう心がけてみてください。

できたらほめてあげる

ささいなことでも「できたことをほめる」を意識してみましょう。口をしっかりあけていられた、上手に口をすすげたなど、歯磨きの過程の中で、お子さんの“いいところ探し”をしてあげましょう。ほめられれば次に歯磨きをするときのモチベーションにつながりますし、お母さんにほめられたいという気持ちから、もっと一生懸命に歯磨きをすることが期待できます。

歯磨きはスキンシップととらえて

歯磨きタイムはお母さんと仲良くできるうれしい時間と感じてもらえるよう心がけてください。例えば、仕上げ磨きのときにお子さんが喜ぶ体勢で抱っこしてあげたり、上手に磨けたらぎゅっと抱きしめてあげるなど、親子のスキンシップ時間の中に歯磨きがあるととらえてみるとよいでしょう。

また、親子で一緒に並んで歯磨きをしたり、「お母さんの歯もみがいてくれる?」などといったやりとりも効果的です。

5.まとめ

子ども 歯磨き 好きになる

子供の歯磨き嫌いは、放置していい問題ではありません。お子さんが自ら歯磨きをしようという気持ちになるような環境を整備してあげるのが、お父さん・お母さんのつとめといえるでしょう。あのとき、もっとしっかり歯磨きをさせておけばよかったと後悔することのないよう、お子さんが嫌がる理由に応じた対処法を試してみてください。そしていつか、お子さんが歯磨きを好きになれるよう、お子さんと一緒に楽しく歯磨きをしましょう。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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