子どもの虫歯予防に効くのはどれ?キシリトール製品の選び方

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子どもの虫歯予防に効くのはどれ?キシリトール製品の選び方

テレビCMなどで広く知られるようになったキシリトール。ガムなどが主な製品としてあげられますが、虫歯予防の目的で子どもに与えるなら、どんな製品がよいのでしょうか?この記事では、子どもに与えるキシリトール製品の正しい選び方について触れ、親御さんの疑問を解消したいと思います。また、キシリトールは食べすぎると下痢などの悪影響も及ぼすことがあります。そこで、子どもへの適切なキシリトールの与え方についても紹介していきます。

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この記事の目次

1.虫歯予防ができる甘味料「キシリトール」の働きとは?

キシリトールは虫歯菌の繁殖を抑える?

キシリトールは甘味料の一種です。甘みといえば砂糖を思い浮かべがちで、虫歯ができやすいものというイメージがありますよね。ですが、キシリトールは甘いのに虫歯ができないという、うれしい特徴があります。
虫歯菌であるミュータンス菌は、砂糖などの糖分をエサに増殖しますが、キシリトールについてはエネルギーとして取り込めず死滅してしまいます。そのため、継続してキシリトールを摂取していると、ミュータンス菌の数は徐々に減少していくのです。
甘いもの好きにとっては、夢のような甘味料といえるのではないでしょうか。

歯を強化するキシリトールの働き

キシリトールは、虫歯菌の繁殖を抑えることだけが特徴ではありません。キシリトールを摂取すれば、虫歯菌であるミュータンス菌が酸を出すことができなくなります。この酸は歯を溶かしてしまうものですが、ミュータンス菌が酸を出すには糖分が必要です。キシリトールでは酸を出すことができないため、結果として、歯を溶かす酸を少なく抑えられます。キシリトールを毎日定期的に取れば歯が丈夫になっていくのです。

キシリトールのガムなら唾液の分泌が促進される

キシリトール製品でメジャーなものといえばガムですよね。ガムは噛めば唾液の分泌を促進してくれます。さらに、キシリトールは独特な清涼感と甘さを持ち合わせており、口に入れればそれだけでも刺激になって、唾液がたくさん分泌されます。唾液は虫歯菌を洗い流し、虫歯になりにくい環境を作ってくれるもの。虫歯の予防にはとても効果的なのです。

2.キシリトール製品の正しい選び方

キシリトールが含まれてさえいればよい?

キシリトールならなんでもよいかというと、そうではありません。同じキシリトール製品でも、虫歯を促進してしまう砂糖が入っていると、それは虫歯予防によいとはいえません。キシリトール製品を購入する際は、シュガーレスのものを選ぶようにしましょう。また、もしキシリトール以外の甘味料が含まれているのなら、ソルビトールやマルチトールが入っているものを選びましょう。この2つの甘味料のように”トール”がつく甘味料は、虫歯になりにくい甘味料であることがほとんどです。こういった甘味料であれば子どもに与えても問題ありません。

キシリトールの含有量に注目を

キシリトールが配合されていても、量が少なければ効果は期待できません。甘味料のうち、50%以上はキシリトールが占めているものを選びましょう。理想は90%以上ですが、なかなか市販はされていません。最低ラインである50%以上の製品であれば、虫歯予防の働きが見込めるでしょう。

キシリトールの含有量が気になる場合は、以下の計算式で求められます。製品パッケージに書かれている成分表などを参考にしてみてくださいね。
【キシリトール÷炭水化物×100=キシリトールの含有率】

歯を溶かす成分には注意を!

砂糖が入っていなくても、果汁配合の製品であれば意味がありません。果糖も糖分ですので、虫歯を促進してしまう可能性があるのです。また、酸味のある製品の場合は、クエン酸が含まれていないかも注意しましょう。歯の再石灰化を阻むクエン酸は、キシリトールの働きをなくしてしまいます。

歯医者さんでキシリトール製品を購入するのもおすすめ

歯医者さんでは、専売品のキシリトールの製品を扱っていることがあります。前項でおすすめしたシュガーレスのキシリトールガムだとしても、キシリトールの含有量は100%である可能性はほとんどありません。キシリトール100%のガムは医者さんでのみ販売されているケースが多いため、効果的に虫歯予防がしたいなら歯医者さんでの購入を検討しましょう。
また、キシリトールといえばガムが定番ですが、なかにはキシリトール100%のチョコレートが販売されていることもあります。いくら糖分が歯に悪いからといって、お子さんから甘いおやつまで奪ってしまうのは酷もの。どうせ与えるなら、甘くておいしく、しかも虫歯予防まで期待できる、こういった製品を選ぶのがおすすめです。

ガムが噛めない子どもにはタブレットを

ガムはある程度大きくならないと噛めないものです。ガムは最後には吐き出さなければいけませんが、小さな子どもでは間違って飲み込んでしまう可能性があります。そんな小さな子どもには、2歳ころから食べられるキシリトールのタブレットがおすすめです。歯みがきと併用すれば、虫歯予防の働きもアップします。

3.キシリトールの正しい摂取の仕方と注意点

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キシリトールの1日あたりの摂取量

キシリトールは、摂取量が少なくてもあまり効果がありません。子どもは1日4g〜10gが適切なキシリトール摂取量なので、含有量などを見ながら食べるようにしてください。商品のパッケージなどに記載されている注意事項をきちんと読むようにして、適切に取り入れていきましょう。
また、キシリトールはたくさん摂取するとお腹が緩むことがあります。商品にもよりますが、キシリトールガムなら1回3粒〜5粒を目安に食べるようにしましょう。

食べるといいタイミングは1日4回

キシリトールを食べるとよいタイミングは、1日に4回あります。それは、朝昼晩の食後と就寝前です。
食後は歯みがきをする習慣がある子どもでも、おやつのあとまでは、なかなか歯みがきをしないものです。そのため、子どもの場合にはおやつのあとにも、キシリトールを取り入れるといいでしょう。もし、寝る前にキシリトール製品を食べさせるなら、必ず糖類ゼロのものを選んでください。糖分が含まれたキシリトール製品では、逆に虫歯を助長してしまう危険性があるので注意しましょう。

歯磨き後に食べるようにする

キシリトールガムは、歯磨き後に食べなければ意味がありません。口内に食べかすなどが残った状態では、キシリトールの成分がちゃんと行き届かず、十分な働きが得られないためです。そのため、キシリトールガムは必ず歯みがきをしてから噛むようにしましょう。

ゆっくりと食べる

キシリトールの製品を口に入れたら、できるだけゆっくり食べるようにしてください。長い時間をかけることで、お口の中にキシリトール成分が行き渡ります。可能であれば、15分〜20分ほどかけて食べるのが理想です。

小さな子どもは注意

キシリトール入りのガムやタブレットは、小さな子供では飲み込んでしまう恐れもあります。親御さんが側で様子を見守りながら食べさせるようにしましょう。また、キシリトールによって起こる下痢には個人差があります。少しの量でも下痢になる子どももいるため、キシリトールを与えたら、便の状態にも気を配ってください。もし下痢を起こしやすいようなら、量を減らすなどの対策が必要になります。

4.キシリトールだけでは虫歯予防にはならない

すでにある虫歯には効果なし!

キシリトール製品は虫歯予防の作用があるものです。すでに虫歯になっている場合は、歯医者さんで治療しなければ治らないことをきちんと把握しておきましょう。虫歯が改善して症状が軽くなるといったこともありません。

デンタルケアの中心は歯みがき

虫歯予防で重要なのは歯みがきです。歯の汚れを落とすにはブラッシングは必須です。キシリトール製品を食べれば歯みがきをしなくてもいいわけではありませんので、その点をきちんと認識しましょう。また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなども使いながらきちんと汚れを落とすようにしてください。すっかりきれいになったお口に、仕上げのようにキシリトールガムなどを食べれば、より虫歯予防につながります。

3か月程度続ける必要がある

キシリトールの習慣は、3か月程度続けることで働きが実感できるようです。しかし、3か月経ったからといって突然中断したりすれば、また虫歯菌がお口の中に増殖してきてしまいます。継続することこそがキシリトールのパワーを発揮させる大切なポイントなのです。

5.まとめ

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糖類ゼロのキシリトール製品なら、就寝前に食べさせても問題ありません。子どもは歯みがきを嫌がりますが、キシリトール製品をごほうびとして用意しておけば、子どもも楽しく歯みがきができるでしょう。キシリトールは虫歯予防にとても期待ができますが、それでもデンタルケアのメインは歯みがきをであることを忘れないようにしてください。
ブラッシングとデンタルフロス、そしてキシリトールがあれば、より虫歯予防としては強固になるでしょう。さらに、定期的に歯医者さんに診てもらうこともおすすめです。歯医者さんで、歯の健康がちゃんと保てているかどうか確認することも習慣にしていきましょう。

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      監修医 飯田尚良先生

      飯田歯科医院

      院長

      【経歴】
      1968年 東京歯科大学 卒業
      1968年 飯田歯科医院 開院
      1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
      1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
      1983年~2009年 東京歯科大学 講師
      現在に至る
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