※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.子どもの矯正を始める時期・期間
乳歯と永久歯がまざって生えている時期
子どもの矯正は大きく2段階に分けられます。その1段階目が乳歯と永久歯がまざって生えている時期に行うものです。この段階では、歯並び自体を矯正するのでなく、永久歯がきれいに生えてくるよう、顎の成長をコントロールすることが主な目的となります。
個人差はありますが、だいたい6歳ころ(早ければ3歳ころ)から治療を開始し、期間は10か月から1年半くらいが目安です。下顎が上顎よりも出ている受け口や、上の歯が極端に出ているなど、骨の状態が歯並びに影響している場合には、この時期から顎の状態を調整していきます。
また、顎が成長しないと永久歯が生えるスペースを十分に確保することができず、八重歯などの凸凹とした歯並びになってしまいます。この場合には、顎を広げる治療を行うことで、今後の矯正で抜歯をするリスクを減らすことができます。
永久歯が生え揃った時期
歯自体の矯正を行います。基本的には大人が行う矯正と同じように、歯にブラケットという矯正器具をつけ、ワイヤーの力を使って歯を動かしていきます。
個人差はありますが、この段階の矯正は10歳〜12歳くらいを目安に開始します。期間は1年半〜2年半程度です。1段階目の矯正結果によっては、この2段階目が不要になる場合や、期間を短縮できる場合もあります。また子どもの状態によっては1段階目の矯正はせず、2段階目のみを行う場合もあります。
もし、目安となる開始タイミングを逃してしまったとしても、子どもの成長は17歳〜18歳ごろまでゆるやかに続くので、あきらめる必要はありません。気になったタイミングで、歯医者さんを受診するようにしましょう。
乳歯期からのチェックでさらに準備万端
永久歯が生えてくる前の乳歯期にチェックしておくとよいこともあります。顎の成長や歯並びには、舌の動かし方や指しゃぶりの癖などが影響します。この時期に歯医者さんを受診すれば、子どもの癖が噛み合わせなどに影響していないかを確認することができます。また、この先矯正が必要な場合でも、早いうちから歯医者さんに慣れさせることができます。
2.矯正が必要な子どもの歯並びと主な治療法
下顎が上顎よりも出ている
下顎が上顎よりも出ている状態は、受け口といわれます。管理が難しく、治療が長期間にわたる可能性もあります。早い時期から、噛み合わせや筋肉のバランスを調整し、下顎が成長していかないようにします。
<主な治療法>
◆ ムーシールド:就寝時に装着し、筋肉の動きを正常な状態に改善します。
◆ フェイスマスク:就寝時や家にいるときに装着し、ゴムの力を用いて上顎の成長をうながし、下顎の成長を抑えます。
上の前歯が極端に前に出ている
上の前歯が極端に前に出ている状態は、出っ歯といわれます。原因としては、上顎が前に出ていたり、下顎が十分に成長していなかったり、歯自体が斜めに生えていることが考えられます。また指しゃぶりの癖により、この状態になってしまうこともあります。
<主な治療法>
◆ 骨格が原因の場合:就寝時に「ブロック型装置」を装着し、上下の顎の成長バランスを調整します。
◆ 歯が斜めに生えている場合:前歯にワイヤーのついたプレートを装着します。
◆ 指しゃぶりの癖がある場合:癖をやめさせるとともに、どうしても癖がとれない場合には「舌フェンス」を装着し、指を口の中に入れないようにします。
前歯が噛み合わない
奥歯はしっかりと噛めているのに、上下の前歯の間に隙間ができてしまう状態です。理由としては、指しゃぶりの癖や、舌の位置が前に出すぎていることなど挙げられます。
<主な治療法>
◆ 舌フェンス:指しゃぶりの癖をおさたり、舌が前に出ないようにする装置です。
◆ ブラケット装置:ブラケットという矯正器具にワイヤーを通して、歯の位置を調整します。
歯が変な角度ではえている
八重歯などに代表される、凸凹とした歯並びです。顎の成長が十分でなく、歯がおしくらまんじゅう状態で生えてきてしまったり、歯自体が極端に大きい場合もこの状態になります。
<主な治療法>
◆ プレート型装置(拡大床):食事と歯みがき時を除いてプレート型の装置を装着し、顎を広げていきます。
◆ 抜歯:歯が極端に大きい場合には、抜歯を必要とする可能性があります。
すきっ歯になっている
歯と顎の大きさのバランスが悪かったり、上唇にある筋が太すぎることなどが原因として挙げられます。外科的な治療が必要な場合もあります。その場合は適切な外科治療後に矯正を始めます。
<主な治療法>
◆ ワイヤー付きプレート型装置:表面に針金のついた、プレートタイプの器具で隙間を矯正します。
◆ ブラケット装置:ブラケットという矯正器具にワイヤーを通して、歯の位置を調整します。
3.矯正治療にかかる費用
治療時期別の費用の目安
先天的な異常(上唇や口蓋が裂けた状態で生まれてくる)や、外科的な治療が必要な顎変形症(顎の位置や形態の異常)の場合を除き、矯正治療は自由診療扱いとなり、保険適用外となります。
歯医者さんによって治療費の設定に幅がありますが、ここでは平均的な費用の目安をご紹介します。
・ 乳歯列期:3万円〜20万円
・ 混合歯列期:15万円〜60万円
・ 永久歯列期:50万円〜130万円
ただし、1章でご紹介したような第1段階と第2段階をあわせた矯正の場合には、両期間を含めて料金を調整している歯医者さんもあります。
歯医者さんごとに異なる料金の算出
歯医者さんごとに矯正費用の内訳は異なります。矯正器具や通院ごとの治療費をすべて含んだ総額制をとっていたり、通院ごとに処置や治療費が発生したりと、歯医者さんによってさまざまです。事前に、提示された料金に何の項目が含まれているのか、しっかりと確認をしましょう。一括で支払うのが難しい場合は、歯科ローンを組める歯医者さんもあるので、合わせて相談してみましょう。
医療費控除申請を忘れずに
矯正治療は、医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に、確定申告で申請することで、一部費用の還付が受けられるというものです。通院に使用した公共交通機関の交通費も対象となります。
申請には領収書が必要になるので、捨てずに取っておくようにしましょう。また、年間の医療費総額が基準となるので、歯医者さん以外でも、風邪をひいたりして病院に行った際の領収書も合わせて保存しておくことをおすすめします。
4.見た目のきれいさ以外にもメリットあり
虫歯や歯周病になることを防ぐ
歯並びが悪いと歯ブラシを当てにくい場所ができ、きれいに汚れを落とすことができず、虫歯や歯周病になる恐れがあります。歯並びをよくすることで、このリスクを減らすことができます。
また、矯正中は定期的に歯医者さんを受診する必要があるので、こまめに虫歯の有無をチェックしてもらうこともできます。結果として、虫歯の早期発見にに繋げることができます。
健康な体の成長を助ける
矯正によって歯の噛み合わせが改善すれば、よく噛んで食事ができるため、消化・吸収もよくなります。また、よく噛むことは脳の発達にも繋がり、リラックス作用も期待できます。
それ以外にも、きれいな発音でしゃべれたり、運動をするときにも歯を噛みしめることで力が出せたりと、きれいな歯並びは子どもの成長にたくさんのメリットをもたらしてくれます。
自信をもって話せる・笑える
歯並びが悪いことに気づいた子どもは、人前で口を開けることを恥ずかしく感じるようになってしまうかもしれません。歯並びは、見た目とともに、発音にも影響します。将来、自信を持って笑い、話す生活が送れるよう、子どものうちからきれいな歯並びを意識してあげるとよいですね。
5.まとめ
矯正は長い期間を要する上に、口の中に器具を装着するため、嫌がるお子さんも多いと思います。しかし、骨や歯が動きやすいうちに矯正をしておくことは、大人になってからの矯正よりも期間を短くできる、矯正の労力も少なくすむなどのメリットもあります。うちの子は大丈夫かな?と思ったときが、矯正への第一歩です。まずは歯医者さんへの相談から始めてみましょう。