【子どもの口内炎】6つの原因と4つの予防法

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【子どもの口内炎】6つの原因と4つの予防法

お口の中に口内炎ができて「しみる」「痛む」などの症状があっても、お子さんはうまく伝えられずに症状が悪化してしまうことがあります。もし口内炎と分かっても、原因が不明であれば適切な対処できずにどんどん症状がひどくなることもあります。まずは原因を知って歯医者さんに行くことで、口内炎がそれ以上悪くならないようにしましょう。

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この記事では、子どもの口内炎の原因のほか、種類や症状、予防する方法、できてしまったときの対処法をまとめました。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事の目次

1.子どもの口内炎6つの原因

口内炎ができる原因のひとつに、お口の中にできた傷があります。そして、口内炎のもととなる傷ができるのには、以下のような理由が考えられます。

・いつも同じところを噛んでいる
・歯の向きがおかしくお口の粘膜を傷つけている
・とがった歯がある
・歯の矯正器具に不慣れ、もしくは合っていない
・口をぶつけたことがある
・お口の中が切れたことがある
・固いものを食べてお口の粘膜が傷ついた

自分で口の中を噛むことでできる傷、遊んでいてぶつけたときに、歯が当たって口の中が切れてできた傷などが口内炎の原因になります。また、歯が横向き、ななめ向きなどおかしな方向に生えていて、口の粘膜を刺激していることもあります。

ストレスや栄養の偏り

疲れやストレスががたまっていたりすると、身体の抵抗力が落ちて、口内炎が発症しやすくなります。さらに、ビタミンB2などの栄養不足、食生活の偏りなども口内炎の原因となります。

ウイルスや細菌

ウイルスや細菌への感染でも口内炎ができます。これをウイルス性口内炎といいます。単純ヘルペスウィルスが原因のヘルペス性口内炎や、コクサッキーウイルスが原因のヘルパンギーナなどがあります。免疫力が弱っているとかかりやすくなります。

熱い食べ物・飲み物

お口の中をやけどしてしまうことで、粘膜が赤くはれるカタル性口内炎を引き起こすことがあります。粘膜がピリピリしびれたり、痛みが出たり、皮がむけたり、水ぶくれになったりする症状が見られます。また、舌をやけどしてしまった場合、味覚がにぶくなることも考えられます。熱い食べ物や飲み物をお口に含む際には注意しましょう。

金属アレルギー

金属アレルギーがあるお子さんの場合、歯医者さんの治療で被せ物、詰め物に金属を使うことで炎症が出ることがあります。症状としては、舌や頬の内側など金属と触れる部分が赤くなったり白くなったりします。すぐに症状が出る場合は分かりやすいのですが、治療のあとしばらくたってから症状が出ることもあるので要注意です。

カビ

お口の中にカンジダ(カビの一種)が増えることで、カンジダ性口内炎にかかることがあります。栄養不足が原因の免疫力の低下や、ケア不足でお口の中に不潔な状態が続くことで発症にいたりやすくなります。

2.口内炎の種類

ヘルペス性口内炎

単純ヘルペスウィルスというウイルスに感染することで発症するのがヘルペス性口内炎です。

~特徴~
・生後6か月以降の乳児や幼児がかかりやすい
・唇やお口の中が赤くはれあがる
・お口の中に激しい痛みがある
・高い熱が出る(38~40度ほど)
・お口の中に小さな水ぶくれができて破れる
・リンパが腫れる

ウイルスに感染してすぐに発症するわけではなく、体の中でおよそ2~12日潜伏したあとに発症することがほとんどです。主にお口の中の痛みや歯茎のはれ、高い熱やリンパのはれなどの症状が出てきます。
乳児、幼児は上のような症状が出る前にお口の中の不快感を訴えることもありますが、なかなか目で見ても確認ができないため、病院に連れて行くのが遅れてしまいがちです。
子どもが上記のような症状を訴えたら、早めに歯医者さんに連れて行くことが大切です。

カタル性口内炎

口内炎の中でも比較的、軽い症状が出てくる病気です。

~特徴~
・痛みはそれほど強くない
・お口の粘膜が赤くはれる
・赤い斑点のようなものができる
・水疱ができる
・食べたときにしみる
・患部が熱を持つこともある

食べ物により粘膜を火傷してしまう以外に、唾液の分泌が減ったり体内の水分不足になったりすることでお口の中の細菌が増え、炎症が出てくることもあります。
子どもが「食べたときにしみる」「お口の中に痛みがある」というような不快感を訴えたら耳を傾けてあげましょう。

ベドナーアフタ

いつも授乳に哺乳瓶を使っていることによる慢性的な刺激が原因となり、特に乳児や幼児がかかりやすい口内炎です。

~特徴~
・舌のフチや頬の内側にできる
・上あごの部分に左右対称にあらわれる

赤ちゃんや子どもが使う哺乳瓶のゴム乳首が原因のひとつとなっていることがあります。お口のサイズに合っていない哺乳瓶だと発症することがあるので気をつけましょう。
また、お口の中にすぐに物を入れるなどの刺激もベドナーアフタの原因になることがあるので、お子さんの行動をよく見ておくようにしましょう。

カンジダ性口内炎

カンジダ(カビの一種)がお口の中で増えることでカンジダ性口内炎にかかることがあります。

~特徴~
・生後2~3か月の乳児がかかりやすい
・お口の中(頬の内側・舌など)に白いコケのようなものができる
・食べたりすると痛みをともなう
・白いコケがはがれると出血や赤いただれが見える

症状としては白いコケが点状、または地図状に広がります。それがはがれると、血が出たり赤くただれたりすることがあります。
カンジダは誰のお口の中にもいるもので、健康な状態ではかかりにくいものです。例えば、栄養の偏りで免疫が落ちるとかかりやすくなるので、食生活の見直しも大切な予防法です。

3.口内炎を予防する方法4選

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お口の中を清潔にする

歯みがきがうまくできていなかったり、歯間に食べかすが残っていたりすると、お口の中に細菌が増える原因になります。
特に子どもは歯みがきのやり方が分からず、「適当にお口の中で歯ブラシを動かしているだけ」ということもあります。汚れがちゃんと落とせるように、お父さんお母さんがしっかりと見てあげることが大切です。場合によっては仕上げ磨きをしてあげてもよいですね。

抵抗力をつける

偏った食事をとっていたり免疫が落ちていたりすると栄養が不足し、口内炎になってしまうことがあります。
抵抗力をつけるためにビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、鉄分、亜鉛などを摂取しましょう。以下はこれらの栄養素が多く入った食べ物ですので、参考にして効率よい摂取を心がけてくださいね。

◆ビタミンC → アセロラ・キウイフルーツ
◆ビタミンB2 → レバー・うなぎ・納豆・サバ
◆ビタミンB6 → レバー・まぐろ・いわし
◆鉄分 → レバー・まぐろ・かつお
◆亜鉛 → レバー・牡蠣・チーズ・大豆製品

熱い食べ物や飲み物は控える

熱い食べ物や飲み物をお口の中に入れ、やけどをしてしまうことで粘膜が赤くはれてしまいます。特に、赤ちゃんやお子さんは熱さを確認せず、急にお口の中に熱い飲食物を持っていってしまいますよね。赤ちゃんであれば、お父さんお母さんがあるていど冷ましてから飲食させましょう。少し大きくなってきたら「フーフーしてから食べようね」と声がけをするのもよいかもしれませんね。
もしやけどをしてしまったら、すぐに冷やすことが大切です。冷えた水で口をゆすぐ、氷を口の中で転がすなど処置をしてください。
痛みやはれを長く感じるようだったら、早めに歯医者さんに行くことをおすすめします。

歯医者さんでお口の中のチェックをする

お口の中に菌が増殖したことが原因の口内炎や、金属の詰め物や矯正器具が原因の金属アレルギーなどで症状が出ている可能性もあります。不安を感じたら、歯医者さんでお口の中をチェックしてもらいましょう。病院で金属アレルギーの検査が必要なケースも考えられます。
また、お父さんお母さんが正しい歯みがきのやり方を知らない場合には、歯医者さんで「歯みがき指導」をしてもらってください。正しい歯みがき法を知ることでお子さんのお口の中を衛生的に保つことができます。

4.口内炎ができたときの対処法

うがい薬を使う

唾液が分泌されずお口の中が乾いてくると、細菌が増えて口内炎になりやすい、または悪化しやすい状態です。例えば、殺菌作用のあるうがい薬を使ってお口をゆすぐことで、細菌の増加を抑えられるので試してみてくださいね。

薬を使う

口内炎用の塗り薬は病院に行かなくても市販されています。その種類は塗り薬のほか、貼るパッチタイプなどがありますので使いやすいものを選びましょう。
痛みやはれが少なく軽い症状であれば、これらの市販薬を使ってもよいかもしれません。

2週間以上改善しないなら歯医者さんへ

口内炎と思っていたのになかなか治らず、くわしく検査したら違う病気だったということもあります。2週間以上改善しないようなら歯医者さんに行くことをおすすめします。ただ、痛みやはれ、ただれがひどい場合はすぐにでも診察してもらう必要があります。
お子さんのお口の中を観察して、お父さんお母さんが判断してあげましょう。

5.まとめ

口内炎と一口にいってもその大きさやはれ具合、色や形などもさまざまです。この記事では口内炎の種類や症状など主なものをまとめましたが、自分の思い込みで病名を判断するのはとても危険です。特に治りの悪い口内炎に関しては、自己判断せずに専門的な知識を持つ先生に早急に診てもらいましょう。
赤ちゃんや子どもは、お口の中の不快感があったとしても自分で病院に行くことはできません。普段からお父さんお母さんがコミュニケーションをとり、すぐに異変に気づけるような環境を整えてあげてくださいね。

また、口内炎というと「何科で診てもらえばいいの?」と疑問を持ってしまうかもしれません。口内炎は歯科のほか、耳鼻咽喉科、皮膚科、口腔外科などで診てもらえます。ひどい症状の場合はなるべく早めにこれらの科に行くようにしましょう。

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【子どもの口内炎】6つの原因と4つの予防法

監修医 遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック

院長

【経歴】
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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