よく噛むことで子どもの歯並びがきれいに!親御さんができるサポート方法も紹介

子ども 歯並び よく噛む

よく噛むことで子どもの歯並びがきれいに!親御さんができるサポート方法も紹介

食生活の変化により、よく噛まずに食べ物を飲みこんでしまう子どもが増えています。日々成長する子どものあごは、よく噛むことで発達します。逆によく噛まないと、あごが十分に成長せず永久歯が生えてくるスペースが狭くなり、結果としてガタガタの歯並びになってしまいます。

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ほっそりとしたあごや小顔は憧れの対象にもなりますが、それによって歯並びが悪くなってしまっては、将来、子どもの悩みの種を増やしてしまうことになりますよね。矯正などの選択肢もありますが、まずは普段の生活から歯並びをよくすることを意識してみましょう。

この記事の目次

1.よく噛んであごを発達させましょう

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永久歯が生えるスペースを確保する

小さな乳歯から大きな永久歯への生えかわりには、口の中に乳歯期以上のスペースが必要になります。このスペースは成長とともにあごが発達していくことで確保されますが、なんらかの理由であごが十分に発達していないと、生えてきた歯同士がおしくらまんじゅうのようになってしまい、歯並びが悪くなります。

あごが発達しない原因のひとつとして、よく噛まないことがあげられます。よく噛むことであご周りの筋肉が刺激を受け、その刺激によってあごの骨が成長します。逆によく噛まないと筋肉が使われず、あごも成長していきません。きれいな歯並びとなるよう、よく噛む習慣をつけてあげましょう。

よく噛む習慣は4歳〜5歳くらいで始める

よく噛むことを意識し始めるのは、4歳〜5歳くらいがよいでしょう。赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるときの指しゃぶりや、生まれてから母乳を吸うことで、噛むトレーニングを行っています。乳歯が生えそろう2歳〜3歳ころまでには噛むための準備ができ、5歳〜6歳になる頃には噛む力がついてきます。

ですから、噛むための準備が整ったあと、4歳〜5歳くらいから噛む習慣をつけておけば、いよいよ本格的に食べ物を噛むようになったときに、しっかりと噛むようになります。

食生活の変化があごの成長を止めている

子どもによく噛む習慣をつけてもらうには、普段の食生活から見直していく必要があります。根菜類が食事の中心だった戦前に比べ、現代の食事はファーストフードやインスタント食品、またハンバーグやオムライス、スパゲティなど、あまり噛まずに飲みこめてしまうものが中心です。

食生活の変化と噛む回数について調べた結果、戦前に比べ現代では噛む回数が半分になっていることがわかっています。(よく噛むための食生活は2章でご紹介します)

強さより回数を重視して噛む

「よく噛む」とは、たくさん噛むことを意味します。噛む強さよりも回数を重視するようにしましょう。あごを動かす回数を増やすことで、あごまわりの血流がよくなり筋肉が刺激され、あごは成長してきます。

回数の目安は、1口につき30回ですが、30回も噛むのは大人にとっても少し難しいことかもしれません。子どもが楽しみながら噛む習慣をつけられるよう、楽しく数えてあげるなど工夫してみましょう。

噛むときに注意してあげるポイント

固いものを食べるときには、あごを上下、左右に動かして噛みますが、あまり噛まずに飲みこめる食事が中心となった結果、最近の子どもは上下にしか噛めなくなっています。あごの発達には、左右の動きも大切です。子どもが噛んでいる様子を注意深く観察し、食べ物をすり切るようにあごを左右に動かせているか確認してあげましょう。この際、片側の歯だけを使っていると左右のあごのバランスが悪くなってしまうので、左右両方の歯を万遍なく使えているかも注意してください。

また食事をする際の姿勢も、よく噛む習慣に関係します。足がブラブラと浮いてしまう椅子ではふんばりがきかず、あごに力を込めることができません。そこで、子どもの両足がしっかりと床につくようなテーブルと椅子を用意してあげます。どうしても難しい場合には、足下に雑誌を置き、そこに子どもの足をのせるようにするなど工夫してみてください。

2.噛むことを習慣づけてあげましょう

噛む食品をごはんの中に

あまり噛まずに飲みこめてしまう食生活を変えずに、子どもによく噛みなさいといってもなかなか難しいですよね。そこで普段の食事の中で、噛む回数を増やせる食材を使用してみましょう。食材選びにあたっては、固さに加えて噛みごたえがあるかどうかを意識してみてください。

<噛む回数を増やせる食材の一例>
◆ 魚介:煮干し、こんぶ、わかめ、干物、貝
◆ 根菜:たけのこ、レンコン、にんじん
◆ 葉物:ほうれんそう、小松菜
◆ 果物:りんご、なし
◆ いも・豆:さつまいも、大豆、いんげん
◆ ナッツ:ごま、アーモンド、くるみ

食材の調理法を工夫

使用する食材選びとともに、調理法を工夫することでも噛む習慣をつけられます。

<よく噛むための調理法の一例>
・ 普段は細かく切っている食材を少し大きめに切る
・ 野菜は繊維を壊さない方向を意識する(繊維にそって切る)
・ 生で食べても問題ない食材は火を通しすぎず、少し歯ごたえが残るよう調節する

また、子どもが好きなハンバーグに根菜を混ぜてみたり、スパゲティの具にアサリを加えるなど、子どもが好む普段の食事にプラスαをするだけでも噛む回数を増やすことができます。

水分で食べ物を流しこまない

食事の際に、水やお茶、牛乳を必ず一緒に出すご家庭もあると思います。しかし、これでは水分で食べ物を流しこめてしまうので、あまり噛まずに飲みこむ癖がついてしまいます。お子さん自身で気をつけることは難しいので、飲み物を食卓に出す順番を工夫するなどして、食べ物を飲みこんでから水分をとる習慣をつけてあげましょう。

おやつを歯ごたえのある食べ物に

食事以外に、おやつでも噛むトレーニングができます。今まではチョコレートやケーキだったものをおせんべいに代えてみたり、するめやにぼしなど、噛めば噛むほど味が出てくるものをおやつにしてあげるのもよいでしょう。また、茹でた枝豆やりんごなどの果物をおやつにすれば、健康を意識しながら噛む習慣をつけることができます。

ガムトレーニングをする

噛む練習を目的としたガムが、歯医者さんなどで売られています。商品により異なりますが、1日2回、10分間ずつ、左右のあごを使ってガムを噛んでトレーニングします。誤って飲みこんでしまう心配がないお子さんには試してみてもよさそうです。

3.噛むことは他にもメリットがあります

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唾液が分泌される

よく噛むことで、唾液の分泌量が増えて、お口の中の汚れを洗い流してくれます。さらに口内がきれいに保たれることで、虫歯予防の作用も期待できます。食事の消化や吸収がよくなるというメリットもあります。

食べ過ぎを防げる

たくさん噛むことで満腹中枢が刺激されるので、食べすぎを防ぐことができます。近ごろでは子どもの肥満が話題になっていますが、よく噛むことは肥満対策としても意味があるのです。

脳が発達、気持ちが落ち着く

よく噛むことは、脳の発達やストレス・緊張の緩和にもつながります。よく噛むことで脳が刺激され、血流がよくなり活性化されるのです。また、緊張をやわらげる化学物質が増えるので、気持ちが落ち着き、リラックスできます。

4.まとめ

大人が当たり前のように行っている「噛む行為」ですが、生活スタイルや環境の変化によって、上手にできない子どもが増えています。噛むことは、綺麗な歯並びにつながりますし、他にもさまざまなプラスの作用が期待できます。普段の生活を少しだけ見直すことで、お子さんのあごの成長を助けることができます。親子で一緒になって、よい歯並びを目指していきましょう。

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監修医 遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック

院長

【経歴】
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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