この記事の目次
1.子どもの歯並びが悪くなるのを予防する方法
お口をしっかりしめる
お口をポカンと開けている子どもを多く見かけますが、これは口呼吸をしていることが原因として考えられます。口呼吸がクセになると、あごがしっかり発達せずに、噛み合わせが悪くなる「不正咬合」などになる可能性があります。
口呼吸の子どもは、口まわりの筋肉を鍛えることで改善に向かうこともあります。しかし、アレルギー性鼻炎の子どもは、鼻がつまっていることが原因で口呼吸になることもあるので、「鼻がつまる」「鼻水がよく出る」などの症状がある場合、耳鼻科に連れて行くことをおすすめします。
指しゃぶりをやめさせる
赤ちゃんのころから長い期間、指しゃぶりをしていると、前歯に指で圧力をかけ続けているため出っ歯やすきっ歯の原因になります。
それだけでなく、指を吸って上あごに力がかかることで上あごが狭くなってしまい、奥歯の噛み合わせも悪くなるケースもあります。指しゃぶりはなるべく早めにやめさせた方がよく、遅くとも乳歯から永久歯に生えかわっていく5歳くらいにはやめているのが望ましいです。いくら注意しても直らない時は、指吸い防止グッズなどもあるので使用を検討してみましょう。
うつぶせ寝や横向き寝を改善させる
寝るときにうつぶせや横向きになる姿勢でいると、歯並びだけでなく体全体がゆがんでいきます。特にうつぶせ寝はあごに力がかかり続けるため、顎関節症(がくかんせつしょう)という病気の原因にもなります。噛むときにあごが痛い、口を開けたり閉じたりするときにカクカク音がする、あごが開きづらいなどの症状がある場合には、顎関節症の可能性があるため一度病院で診てもらってください。寝返りを防ぐ、寝返り防止クッションなども市販されているので、とり入れてみてはいかがでしょうか?
頬づえをやめさせる
頬づえをつくことであごの片側のみに力が加わり、歯が押されることで歯並びが変わってしまうことがあります。
もちろん頬づえ自体おすすめできないのですが、特に右だけや左だけなど一方だけ頬づえをつくのはやめさせたほうがよいでしょう。知らない間に歯に圧力をかけてしまいます。
爪を噛むのをやめさせる
子どものころから固い爪を前歯で噛むことで歯に負担がかかったり、歯を強く押したりするために前歯の根っこがうまく成長しない、または前歯の先端がとがってしまう、あるいは歯並びや顎の歪みにつながるというリスクが生じます。
前歯のみで食べ物を食べるむクセによって、下のあごが出ている「受け口」になってしまう子どももいます。
爪を噛むのを防止するために、苦い味のついた爪噛み防止マニキュアなども市販されています。うまく使い爪を噛むことを徐々にやめさせていきましょう。
よく噛んで食べさせる
現代では、加工食品などがたくさん出てきた影響で、やわらかい食べ物が市場にあふれています。やわらかい食べ物ばかり食べていると、よく噛まずに飲み込んでしまうクセがついてしまいます。
あごの発育にとっては「噛むこと」がとても大切なのです。適度に噛みごたえのある献立をお父さんお母さんが考えてあげるとよいでしょう。例えば、お肉や野菜などもあるていどの固さを残して調理するようにしてください。火を入れすぎるとやわらかくなるような食べ物は、時間を決めて煮込んだり焼いたりしましょう。
虫歯を放置しない
乳歯はどうせ生えかわるからと、虫歯を放置してしまう親御さんもいますよね。しかし、それは間違った考え方でとってもキケンです。乳歯の虫歯を放置することで、乳歯が予定より早く抜けてしまい、ほかの歯が傾いたりすることで歯並びが悪くなることがあります。また、虫歯になった乳歯の下の永久歯に悪影響をおよぼすこともあるのです。
子どもの虫歯は大人と比べてエナメル質が薄く、歯がやわらかいため進行が早いです。定期的に歯医者さんに通い予防することが大切です。場合によっては、歯医者さんでフッ素塗布やシーラントなどをすることもあります。シーラントとは、生えたての奥歯のミゾをプラスティックやセメントで埋めて、汚れがつきづらくする子どもの虫歯予防です。フッ素塗布は乳歯が生え始めたら、シーラントは6歳臼歯が生えてからやってもらうのが目安です。歯医者さんによっては対応していないこともあるので、事前に確認してみましょう。
舌の位置を変える
上の前歯の少し後方に舌があるのが正しい位置です。しかし、舌の位置が通常より低い位置にあることで、歯並びのガタガタや受け口、時として下顎が後方に落ち込むタイプの出っ歯になりやすくなります。お父さんお母さんが子どもの舌の位置を知るのは難しいことなので、歯医者さんに通いチェックしてもらってください。
親が悪いクセをやめる
子どもは親のすることを見ていてマネをしたがりますよね。お父さんお母さんやまわりの大人に悪いクセがないか確認しましょう。
頬づえやうつぶせ寝、爪を噛む、口をあけっぱなしにしているなど、もし自分では気づかないクセも他人に聞いてみると意外としていることがあります。家族相手なら聞きやすいと思うので、一緒に暮らしている人に「自分のクセ」を聞いてみてください。
もし悪いクセがあるのなら、それらを意識的にやめるよう努力してみましょう。
母乳をあげる
母乳を赤ちゃんにあげることで吸うための筋肉が発達し、あごが発育していきます。正しい歯並びに影響するだけでなく筋肉もつくため、嚥下(飲み込む)する力の向上も期待できます。また授乳のときに赤ちゃんの首が後ろに反らない姿勢にしてあげることが口元の筋肉を正しく使うために重要です。
ただ、何らかの事情で母乳を与えられないお母さんもいますよね。その場合、母乳でないと絶対にいけないわけではありません。近ごろでは、母乳のように力を入れて吸わないと飲むことができないタイプの哺乳瓶も市販されています。これらもうまく活用しながら、お子さんの発育の手助けをしていきましょう。
2.予防することでもたらされるメリット
見た目の印象がよくなる
歯並びが悪くならないよう予防することには、さまざまなメリットがあります。そのひとつは、見た目の印象がよくなることです。歯並びのよい口元は、健康的で美しいという印象を人に与えます。
出っ歯や受け口の子どもはそれがコンプレックスになり、うまく笑えなかったり話ができなかったりすることもあります。逆に歯並びがよくなることで、自信を持って笑い、明るい笑顔を作ることができるようになる可能性があります。
体がゆがみづらくなる
歯並びの悪化は、顔や体の左右のバランスが崩れる原因のひとつとなります。例えば目の大きさが違う、口角の上がり方が違う、片方の肩だけ上がっている、あごがゆがんでいる、背中が曲がっているなどです。
大人になってからの矯正の可能性が低くなる
子どものうちに、あごが正常な発育をして歯並びが整っていけば、大人になってから矯正が必要になる可能性が低くなります。さらに、もし矯正をすることになったとしても、期間が短くてすむなどのメリットも期待できます。
虫歯や歯周病のリスクが減る
歯並びが悪いと、歯の間などに食べかすや歯垢がたまりやすくなります。特にガタガタの歯並びだと、奥歯や歯と歯の間に歯ブラシやデンタルフロスが届きづらくなります。その結果、磨き残しが発生してしまい、虫歯や歯周病にかかりやすくなってしまいます。逆に歯並びが適正であれば、歯みがきで汚れが落としやすくなり、虫歯や歯周病になるリスクが減らせるのです。
3.乳歯時期からの定期健診がおすすめ
きれいな歯並びを作るには、なるべく早めに改善することが大事で、そのためにはまだ乳歯の時期から定期的に歯医者さんの検診を受けたほうがよいでしょう。
歯医者さんに通うことで虫歯ができにくくなるだけでなく、日ごろの悪い習慣を見つけるきっかけにもなります。
歯並びを改善する目的なら、乳歯時期から矯正治療を多く行っている歯医者さんを見つけて通いはじめるとよいですよ。
4.まとめ
赤ちゃんのころから指しゃぶりや爪噛み、眠り方など悪いクセに気をつけていれば、大人になってから矯正をしなくてすむ可能性が高まるなど、メリットがたくさんあります。また、特にお子さんの歯に問題が見当たらなかったとしても、歯の生え方を詳しくチェックしてもらうため、乳歯の時期から歯医者さんに通うことも大切です。
また、授乳時の赤ちゃんのころから幼児期にかけての色々な生活習慣も顎の発育や口元の筋肉をの使い方に影響を与え、後々の永久歯の歯並びにも影響してきます。お子さんのきれいな歯並びを育てるため、お母さんも正しい知識を身につけるようにしましょう。