この記事の目次
1.しっかり磨くために必要な「時間」
最低でも3分を目標に
生えている歯の本数や形などによって、汚れを落とすのに要する時間は異なります。目安として、子どもの場合は1回の歯みがきに最低でも3分はかけるようにしましょう。
ネバネバとしている歯垢(プラーク)は歯にべっとりとくっついているので、歯ブラシで同じところを20回はこすらないと落ちません。すべての歯をこのように磨いていくと、必然的に3分くらいはかかります。
歯ブラシを細かく震わせるようにして、1本の歯につき5~6秒ほどかけて磨くように意識するとよいでしょう。
もちろん、子どものうちは自分でこのような磨き方はできません。仕上げ磨きを担当する親御さんが、時間をかけて丁寧に磨いてあげてください。
毎回の歯みがきにここまで時間をかけなくてもかまいません。ただし、1日に1回はすべての歯垢を取り去るつもりでじっくりと磨きましょう。
3分もじっとできない子どもには
子どもには3分という時間は想像以上に長いものです。特に、歯を磨くためにじっとしているのは耐えられないかもしれません。しかし、ここで苦痛を感じさせてしまうと歯みがきに抵抗感を抱いてしまいます。
カウントダウンしながら10秒や30秒ごとに休憩をはさむなどして、時間の長さを感じさせないようにしてあげましょう。
また、なにをされているのかわからないと不安がつのります。手鏡を持たせて、歯みがきをしている様子を自分でチェックできるようにしてあげるのも効果的です。
歯みがきをしてあげながら「ばい菌さん発見!」「にんじんさんが隠れてたよ」などと声がけをすると楽しい気分になるでしょう。
どうしてもじっとできないときには、無理に押さえつける必要はありません。そのかわり、磨き残しのないように、磨き始める場所を毎回変えておくといった工夫が必要です。
じっくりと磨ける姿勢で
お子さんの頭を膝の上にのせると、お口の中が見やすいうえに危険が少なくなります。歯ブラシはペンを持つように握り、反対の手で唇を軽くめくりながら磨きましょう。お子さんが急に動いて、お口の中を歯ブラシで傷つける恐れがあるので、頭を固定できる姿勢がおすすめです。
最初のうちは、寝っ転がる姿勢を嫌がるかもしれません。この姿勢に慣れるまでは、膝の上に寝かせてくすぐったりゆらしたりして楽しめませてあげましょう。
2.歯みがきを始める時期に気をつけたいこと
慣れるまではできる限りでかまわない
歯みがきを始めたばかりのころは、とりあえず慣れさせることを優先しましょう。回数にこだわらずに、お子さんの機嫌のよいときや親御さんの時間に余裕のあるときに、ゆったりとした気持ちで歯みがきを楽しみましょう。慣れてきたら、毎食後に歯みがきをする習慣をつけていきます。
回数よりも時間が大切
歯みがきをする回数よりも、1回に時間をかけて丁寧に磨く方が、虫歯予防にはよいといわれています。虫歯菌が増殖して虫歯になるには数日以上かかります。毎回雑にやるよりは、1日1回でもしっかりと磨いて歯垢などをきちんと取り除くようにしましょう。
3.歯みがきにベストな「タイミング」
毎食後の歯みがきが理想
食事をする度に歯みがきができるのが理想です。虫歯の原因となる歯垢を除去し、口臭を引き起こす食べかすを取り去るために、毎食後の歯みがきの習慣をぜひ身につけてください。
食後すぐに歯を磨くと歯が溶けてしまう、といった話題がテレビなどで取り上げられましたが、一般的な食事内容ではそのような心配は不要と考えてよいでしょう。それよりも、虫歯の原因となる歯垢や細菌をきちんと磨き落とすほうが大切です。
特に重要なのが寝る前の歯みがき
現実的には毎食後に歯みがきをするのは難しいかもしれません。そのような場合でも、夜寝る前にしっかりと仕上げ磨きまでできたら大丈夫です。
寝ている間は唾液の量が減るので、虫歯菌が増殖してしまいます。夕食後のお口の中の状態と比較したら、朝起きたときには虫歯菌が約30倍にも増えているのです。
小学生になっても実際はきちんと磨けていない子がほとんどです。ひとりで歯を磨けるようになったとしても、小学校低学年くらいまでは、夜だけでも仕上げ磨きをしてあげた方がよいでしょう。
歯みがきをしないで寝てしまったら…
歯を磨かずに寝てしまうことが2日~3日続いたからといって、それだけが原因ですぐに虫歯になることはないはずです。寝てしまったら無理に起こしてまで歯みがきをする必要はありません。特に、母乳をあげている間は飲みながら寝てしまうケースが多いと思います。歯みがきをする前に寝てしまう傾向のあるお子さんには、砂糖を含んだ飲食物を控えるといった工夫をしましょう。
ただし、あくまで短期間なら問題ないという話です。歯を磨いてから寝るという習慣は、きちんとつけさせる必要があります。
朝の歯みがきは食前?食後?
朝起きてすぐと朝食のあとの、どちらに歯を磨いたらよいのか迷う人は多いようです。どちらか1回であれば食後をおすすめしますが、起きたときはお口の中に虫歯菌が増殖してネバネバしているので、両方歯みがきをする、もしくは朝はうがいだけでもするのが理想です。
4.歯みがきを楽しい時間にするコツ
歯みがきを好きになって習慣化できるように、少しでも楽しい時間にしてあげるのも親御さんの役目です。以下で紹介する方法を参考にして、親子で歯みがきタイムを楽しみましょう。
絵本やDVDなどを見せる
歯みがきを題材にしたしつけ絵本やDVDなどは数多く販売されています。歯みがきをしないとどうなってしまうのか、理解するきっかけとして取り入れてもよいでしょう。
お気に入りのキャラクターと一緒に歯みがきができると、お子さんもとっても楽しめますよね。
家族が歯みがきをしている姿を見せる
幼いお子さんほど、親や兄弟の真似をしたがります。これを歯みがきにも利用しましょう。日ごろから家族が歯みがきをしている様子を見せていると、「自分もやりたい!」という気持ちが自然と芽生えてくるものです。
やる気になったら、形だけでもかまわないので、自分で歯ブラシを持ってやらせてあげましょう。ただし、座ってやらせるなど、事故のないように大人が見守ってあげてくださいね。
ごほうびシールを貼っていく
歯みがきをできたら「ごほうび」としてシールを貼れるとなれば、お子さんにもやる気が出てきます。歯みがきを少しでもできたら1枚、3分間磨けたら2枚というように、ルールを作ってみてはいかがでしょうか。
シールの台紙は手作りでもいいですし、インターネット上からダウンロードできるものもたくさんあります。
歯ブラシや歯みがき粉を選ばせる
子ども用の歯ブラシや歯みがき粉はかわいいものが揃っています。子どもの好きな色やキャラクターのものを自分で選ばせてあげましょう。
おいしい味の歯みがき粉も種類が豊富です。いくつか揃えておいて「今日はどの味にする?」と選べると、毎回の歯みがきが楽しみになりますよ。
日ごろからスキンシップをしておく
顔やお口に触られることを嫌がらないように、普段から抱きしめたりくすぐりっこをしたりマッサージをしたりなど、積極的にスキンシップをしておくことも大切です。
5.嫌がられない仕上げ磨きのポイント
子どもが歯みがきを嫌がるのには、親御さんのやり方に問題があるケースも少なくありません。以下のようなポイントに気をつけて、不快な思いをさせないように注意しましょう。
力を入れすぎない
きちんと磨こうとするあまり、ついつい力が入ってしまいがちですが、子どもの歯ぐきは特に敏感で傷つきやすいものです。
ペンを持つように親指と人差し指、中指を使って歯ブラシを軽く握るのが、持ち方のコツです。ブラシの毛先が軽く歯や歯茎にあたる程度で汚れは十分に落ちますから、力を入れてゴシゴシするのは控えましょう。
やわらかい歯ブラシを選ぶ
やわらかくて毛足の短い毛が密集している歯ブラシを選びましょう。硬い毛や毛足の長い歯ブラシは、子どもの繊細な口内には、痛みを与えやすいのでおすすめできません。
筋に歯ブラシをあてない
上唇や下唇をめくると、中央に歯茎と唇をつないでいる小帯と呼ばれる筋があります。前歯を磨くときに、この小帯にあたりやすいので気をつけましょう。小帯を軽く指でガードしながら磨くと、痛みを感じさせなくてすみます。
嫌がる子どもの歯は無理に磨かない
タイミングによってはお子さんの機嫌が悪いときもあるでしょう。そんなときに、無理に押さえつけてまで歯みがきをしたり怒ったりしては、歯みがき嫌いになってしまう可能性が高まります。
好きな遊びをして機嫌をよくしてから歯みがきをするなど工夫して、歯みがきを楽しいものだと認識させてあげましょう。
6.まとめ
子どもの歯を守るためには、ただ歯を磨けばよいわけではありません。この記事でお伝えした「時間」「回数」「タイミング」の3つのポイントを頭に入れて、効率よく歯みがきをしてあげましょう。
子どものうちは、歯みがきを楽しいものと感じさせて習慣づけることがなによりも大事です。親子の大切なスキンシップのひとつとして、歯みがきの時間を習慣づけられれば理想的ですね。