「歯が痛い!」と言われたら?生え変わりの痛みと対処法

生え変わり 痛い

「歯が痛い!」と言われたら?生え変わりの痛みと対処法

お子さんに「歯が痛い!」と訴えられたら、思わずドキッとしてしまいますね。歯の痛みといえば虫歯が真っ先に思い浮かびますが、乳歯から永久歯への生え変わり期に痛みが発生することもあります。生え変わりには、ほとんど痛みを感じることなく気づいたら抜けていたというケースもあれば、ときには食事に支障が出るほどの強い痛みをともなうケースもあるようです。そこで、今回は歯の生え変わりに伴う痛みと、その原因、効果的な対処法などについてご紹介します。

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この記事の目次

1.「歯が痛い!」その原因は生え変わりかも

1-1.生え変わりに伴う痛みには大きな個人差が

生え変わりの際には、発育した永久歯が作用して乳歯の根を溶かすことで、乳歯は頭だけの状態になります。
この状態であれば大きな痛みはなく、自然と抜けてしまうことも多いのですが、それでも多少は痛いと感じることもあります。

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1-2.歯が抜けることへの恐怖心が痛みを生む?

特に初めて乳歯が抜けるということを経験するお子さんは、そのこと自体への恐怖心から、通常以上に強い痛みを感じることもあるようです。
違和感を痛みと捉え、必要以上に痛みを訴えるのです。
そんなお子さんの気持ちを頭ではわかっていても、親御さんとしては対処に困るシーンも出てくるでしょう。

1-3.食事がとれないほどの痛みは要注意

多少の痛みはともなっても、歯の生え変わりはいたって自然なこと。
特別心配したり、歯医者さんを受診したりする必要はありません。

しかし、食事のたびにひどく痛がって、思うように食べられないようでは困ります。
あまりに痛い様子が見られるのであれば、歯肉の炎症なども疑われます。
まずは一度歯医者さんに相談してみるのもよいでしょう。

1-4.グラつく歯を無理に抜いては痛いだけ

痛みや違和感を長引かせないようにと、歯がグラつき始めたら手を加えて抜いてしまうという親御さんもいます。
グラついている乳歯の根元に糸を結びつけて強く引くといった昔ながらの方法もありますが、無理に力を加えて抜くことは、強い痛みを発生させる元ともなるのであまりおすすめできません。

これはお子さんが初めて耐える歯の痛みかもしれません。
グラつく歯を気にして自身の歯で押したりしているうちに、早く抜けるということもあります。
親御さんは手を出さず、そっとお子さんを見守るのがよいのではないでしょうか。

1-5.虫歯の痛みと生え変わりの痛みに違いは?

「歯が痛い!」というお子さんの訴えが、虫歯によるものなのか、歯の生え変わりによるものなのか、すぐには判断できない場合もあります。
神経に届く虫歯のズキズキした痛みでない限り、虫歯の痛みも生え変わりの痛みも、痛みの種類に大きな違いはないケースも多いもの。
あまりに痛がるようなら、確認のためにも歯医者さんを受診することも大切です。

もちろん、乳歯が自然に抜けても長く痛みが残るようなら、生え変わり以外の原因が隠れている可能性も考えられます。
こうした場合も早めの受診をおすすめします。

2.ひどく痛い生え変わりには原因が

2-1.通常の生え変わり以上に痛いなら原因あり

自然の摂理とはいえ、それまで生えていた歯が抜けるわけですから、多少の痛みはともないます。
しかし、あまりに痛みが強いようなら、生え変わりつつある歯とその周辺に、何かしらの問題が発生している可能性もあります。
お子さんが長期に渡ってひどく痛いと訴える場合には、他の原因も疑ってみてもよいかもしれません。

2-2.永久歯の出現により歯茎が炎症を起こす

お口のなかの清潔が保たれた状態では問題ないのですが、お口の中が不潔だと、永久歯が生えてくる際、歯茎に痛みが発生することがあります。
永久歯の出現によって歯茎にあいた穴の部分にばい菌が入り、炎症を起こしてしまうのです。
また、永久歯の出現前から歯茎に炎症があり、患部を永久歯が刺激することで強い痛みに発展するケースもあります。

こうした痛みを防ぐためには、普段からお口の中を清潔に保つことしかありません。
正しい歯磨き習慣を身につけて、クリーンなお口で永久歯の出現を待ち受けるのが、理想の形なのです。

2-3.グラついている歯が歯茎を傷つけている

グラつく歯は、歯茎やお口の中の粘膜など、やわらかい部分に傷をつけてしまう場合もあります。
小さな傷なら唾液の作用で比較的早く治癒しますが、ここに雑菌が入って炎症を起こしてしまうと、腫れたり膿を持ってしまったりと大きな痛みにつながります。
乳歯がぐらついているからといってむやみに力を加えて動かしたりせず、できるだけ自然に抜けるのを待つのが正解なのです。

2-4.抜けた歯茎をすでに生えた永久歯が傷つける

乳歯が抜けたあとの歯茎はしばらく出血します。
通常であれば、そのあと比較的すぐに落ち着きますが、すでに生えてきている永久歯が歯茎を傷つけてしまうことで、炎症を起こしてしまうケースもあります。

3.生え変わりで歯が痛いときの対処法とは?

3-1.痛がゆい程度なら冷やして痛みをやわらげて

生え変わりにお子さんが痛みを訴えるようなら、まずは患部に氷のうや冷却シートなどをあてて冷やしてあげましょう。
冷やすことは一時的ではありますが、痛みを軽減する働きがあります。
生え変わりの進行に問題がないケースでは、冷やすことで痛みを抑えている間に、乳歯が抜けて痛みも解消するはずです。
あまりに痛みが長引くようなら、生え変わり以外の原因を疑いましょう。

3-2.腫れと痛みには歯茎の炎症を沈める処置を

生え変わりつつある歯の根元で、歯茎が炎症を起こしている場合、強い痛みが続きます。
こうした状態になってしまったら、歯茎の炎症を抑える処置を行う必要があります。

まずは口内の雑菌の繁殖を防ぐために、日に何度かうがい薬を使ってうがいをするようにしましょう。
そのあと、毛先のやわらかい歯ブラシに少量の歯磨き粉をつけて、頭を出している永久歯や周辺の腫れた歯茎を磨きます。
力を抜いてそっと磨くように気をつけましょう。

3-3.痛みが強いようなら歯医者さんを受診

冷やしたり、うがいをしたりしても強い痛みが続くなら、一度歯医者さんを受診してみてください。
生え変わりの痛みだと思い込んでいたら、実は虫歯になったせいで痛みが発生していたということもよくあります。

また、歯医者さんでは患部で菌の繁殖を防ぐ薬を処方してもらえることもあります。
気になるようなら一度相談してみましょう。

3-4.歯医者さんでは抗生物質の軟膏処方が一般的

歯医者さんで状態をチェックして、生え変わる歯の根元で歯茎が炎症を起こしているのが原因の痛みであるとわかったら、抗生物質の軟膏を処方されるのが一般的です。
同時にうがいや歯磨きなどでお口の中を清潔に保つように指導されることも多いので、歯医者さんの説明とアドバイスをよく聞いて、できる限り実践するようにしましょう。

3-5.歯茎を切開する処置が必要なケースも

すでに生え変わった永久歯が歯茎を傷つけているような場合では、ごくまれに歯茎を切開するなどの外科処置が必要になるケースもあります。
麻酔を使う処置なのでそこまでの痛みはありません。
なにより、お口の中の状態をよくするための処置ですので、勧められたら受けた方がよいでしょう。
歯茎を切開して噛み合わせ部分に当たらなくすることで、長く続く痛みから解放されることができます。

4.まとめ

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乳歯が永久歯に生え変わることは、お子さんにとって喜ばしいこと。
大人への第一歩と励ますことで、多少の痛みは乗り越えられることでしょう。
とはいえ、あまりに強い痛みが続くようなケースでは、それなりの対処を施すことも重要です。

まずはお子さんの話をよく聞き、食事などの様子を観察して、痛みの状態を的確に把握するようにしましょう。
そのうえで、必要に応じて歯医者さんを受診するとよいでしょう。
生え変わり時に大きな痛みが発生しないように、普段からお口の中を清潔に保つことも大切です。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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