赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいない!感染経路は?効果的な予防法は?

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赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいない!感染経路は?効果的な予防法は?

「虫歯にならないようにちゃんと歯磨きしないと!」と、お子さんに言い聞かせているお母さんも多いのではないでしょうか?虫歯予防のため、日々のケアは大事です。けれど、本来生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいないんです!それでは、虫歯菌はどこからやってくるんでしょうか?ここでは赤ちゃんを虫歯にしないために、お母さんにできること、注意点、ケア方法などをご紹介します。

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コラムを読んで、お子さんの歯に関してわからないことや不安なことがあれば、小児歯科の歯医者さんに相談してみましょう。

この記事の目次

1.赤ちゃんが虫歯菌に感染する経路

赤ちゃんの虫歯菌はお母さんから?

フーフーして冷ましたごはんを、赤ちゃんに食べさせる。
一見すると微笑ましいシーンですが、実はこれはお母さんから赤ちゃんへと虫歯菌をうつしてしまう危険性のある行為です。

お母さんが咀嚼したものを食べさせたり、赤ちゃんの口にチューしたりしても、虫歯菌はうつってしまう可能性があります。

赤ちゃんの虫歯菌は、兄弟やお父さんからも?

忙しい朝の支度。
歯を磨いて、顔を洗ってタオルで拭いて……そんな当たり前の日常の中でも虫歯菌感染の原因は隠れています。

タオルや歯ブラシの共有で虫歯菌がうつってしまう場合があります。
歯ブラシを共有で使うことはあまりないかもしれませんが、洗顔タオルはついつい使いまわしてしまうもの。
虫歯菌の感染を防ぐには、一人ひとり専用の洗顔タオルが必要です。

コップや食器からもうつります

母乳以外の食事ができるようになった子どもは、色んな食べものに興味を持ち始めるのではないでしょうか?

お母さんが食べていたものをせがまれたら、つい分けてあげてしまいますよね。
しかし、食器を使いまわすことも、虫歯菌をうつしてしまう原因につながります。
タオルだけでなく、食器類もなるべく専用のものを使用しましょう。

哺乳瓶など、赤ちゃんが口に入れるものはきちんと消毒してから使うと良いですね。

赤ちゃんを虫歯菌から守るためには家族全員でのケアが大事

赤ちゃんを虫歯菌から守るためには、家族全員で虫歯の予防をする必要があります。

このように、家族から赤ちゃんに虫歯菌がうつる原因となるのは、ついつい日常でやってしまうようなことばかりです。
あまり神経質になるとせっかくの予防も続かなくなってしまいます。
出来る範囲で虫歯菌の感染に注意しながら、赤ちゃんに虫歯菌を移さないよう、家族全員で虫歯の治療や予防をすることなども大切です。

妊娠中のお母さんは虫歯になりやすい

実は、妊娠中のお母さんは虫歯になりやすいと言われています。
原因は、体質の変化とホルモンバランスの影響、食べ物の好みの変化などが考えられます。

赤ちゃんの虫歯菌はほとんどがお母さんの口からうつるものです。
生まれてくる赤ちゃんの為にも、妊娠中から家族で虫歯予防しておきましょう。

2.虫歯菌って、どんなもの?

虫歯菌(ミュータンス菌)について

主な虫歯菌にはいくつか種類があるのですが、その中でも代表的な病原菌はミュータンス菌(虫歯菌)と言います。
ミュータンス菌をはじめとする虫歯菌たちは、プラーク(歯垢)になって歯の表面にくっつきます。
そして、糖分から酸を作り出し、歯を溶かして虫歯にしてしまうのです。

糖質が虫歯菌の栄養になる

子どもが大好きな甘いおやつや、毎食食べるお米やパンなどの炭水化物。
これらの中には、虫歯菌が歯を溶かすために使う酸の材料、「糖質」がたっぷり含まれています。

糖質から酸を作りだして歯を脱灰(歯の表面のエナメル質を溶かしていくこと)し、さらにエナメル質の下の象牙質を溶かしていく現象こそが、私達の知る「虫歯」です。

3.虫歯は感染症

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、ミュータンス菌のような虫歯菌はいません。
つまり、虫歯菌に感染しない限り虫歯にはならないと言えます。

しかし、完璧な予防というのは難しいものです。
感染しないように気をつける、というよりも、感染してもすぐには虫歯菌に負けない強い歯を作ることが重要になることもあります。

虫歯菌は唾液によって感染していきます

本来、赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。
多くはお母さんやお父さんの唾液を通じて、赤ちゃんの口に感染し、住みつきます。
そのため、家族の誰かが虫歯であれば、唾液感染によって赤ちゃんが生涯にわたって虫歯ができやすい体質になる危険性が高まります。

お母さんの口の中で虫歯菌が繁殖

お母さんのお腹の中にいる時に、赤ちゃんの顎の骨や歯の元になる部分が出来てきます。
そのためにはカルシウムが必要不可欠なため、お母さんは妊娠中に一定カロリーをとる必要があります。
また、赤ちゃんが生まれてからも、授乳するためにしっかりとした食事を取る必要があります。

しかし、新生児を抱えたお母さんは忙しいため、口の中のケアがおざなりになったり、食べられるときに回数を分けて何度も食事をとったりすることも多いのではないでしょうか?
これでは口の中の虫歯菌が増えていってしまいます。
落ち着いて歯磨きができる時間が確保できるくらいには、家族で育児を分担できると良いですね。

育児を分担する夫婦のイメージ写真

4.赤ちゃんの虫歯菌を殺菌することはできる?

虫歯菌を完璧に殺菌することは不可能

毎日喋ったり、ご飯を食べたりして、様々な役割を持っているのがお口です。

口の中には、300~400種類の菌が存在しています。
これらの菌は、毎日ちゃんと歯磨きする人の口内でも、1000~2000億個いると言われています。
菌はバランスを取りながら、口の中で生きています。
必要な細菌を残しつつ、虫歯菌だけを完全に除菌、死滅させることは不可能と言えるでしょう。

歯みがきをする

やはり、基本的な虫歯予防は日々の歯磨きです。
赤ちゃんには、小児用歯ブラシでしっかり磨いてあげると良いでしょう。
ゴシゴシ磨いてしまうと、赤ちゃんが痛がって歯みがきが嫌いになってしまうかもしれないので、優しく丁寧に磨いてあげましょう。

一人で歯みがきが出来るようになっても、子どもが小さい内は、親御さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。

うがい薬で口をゆすぐ

口をゆすぐうがいは、虫歯や歯周病予防にもなります。
うがいができる年頃になったら、うがい薬を使って喉や口をゆすぎ、口の中の消毒を行うと良いでしょう。
虫歯も風邪も予防できて一石二鳥の方法です。

歯医者さんに定期健診に行く

2~3か月に1回程度、歯医者さんに定期健診に行き、歯の状態をチェックしてもらいましょう。

どんなにしっかり歯みがきや、その他のケアをしていても、虫歯は出来てしまうことがあります。
特に、乳歯の虫歯は見つけにくいため、歯医者さんに見つけてもらうのがおすすめです。

赤ちゃんだけでなく、家族みんなでケア

赤ちゃんの虫歯菌の感染は、まわりの大人に原因があることが多いです。
そのため、赤ちゃんの歯だけキレイに虫歯予防していても、家族が虫歯だとうつる危険性が高くなります。

普段から家族全員でうがい薬や歯ブラシ、デンタルフロスを使い、虫歯菌の除菌と虫歯予防をおこなっていきましょう。

5.虫歯菌の量には個人差がある?

虫歯菌の多い人と少ない人がいる?

虫歯のなりやすさは、普段のケアがしっかりしているかどうかでも変わってきます。
また、食生活も虫歯のなりやすさに大きく影響しています。
ごはんの食べ方(どんなものを食べているか、ごはんの時間や回数など)で虫歯のなりやすさ、虫歯菌の量が変わってくるためです。

虫歯菌の感染を遅らせることが大切

ほとんどの子供は、成長する中で虫歯菌に感染してしまいます。
「それなら、虫歯菌に感染しないように予防するのは無駄なんじゃないの?」と思ってしまいますが、虫歯予防にはちゃんと意味があります。

口内の細菌の数には限度があるため、他の菌が先に口の中で増えてしまえば、虫歯菌が入り込む場所が少なくなります。

つまり、虫歯菌への感染を遅らせることで虫歯ができにくい口内環境をつくることが出来るということです。

3歳まで虫歯菌に感染しなければ、その後も虫歯になりにくい

乳歯が生えそろうまでの赤ちゃんの口の中では、まだ常在菌(害のない細菌)が整っていません。
そのため、赤ちゃんの頃は、虫歯菌が口内に入り込んでしまいやすい時期といえます。

乳歯が完成する3歳ころまで極力虫歯菌の感染を防ぐことができれば、それ以降は口の中の常在菌が守ってくれるようになり、虫歯になりにくい体質を作ることができます。

6.赤ちゃんを虫歯にさせないために!避けるべき食べ物

炭酸飲料

しゅわしゅわして甘く、飲むとスッキリする炭酸飲料が好きな子どもは多いですね。

赤ちゃんが炭酸飲料を口にする機会は少ないと思いますが、お兄ちゃんやお姉ちゃんが飲んでいるのを羨ましがって、将来たくさん飲むようになるかもしれません。
炭酸飲料には糖分がたくさん入っています。
更には、歯を溶かす酸も入っています。
おいしいからと言って、炭酸飲料や甘いジュースを頻繁に飲む習慣がつかないようにしましょう。

スポーツドリンク

外でたくさん遊んだあとや、喉が渇いたとき、夏の水分補給にあると嬉しいスポーツドリンク。

しかし、スポーツドリンクにも糖分が多く含まれている上、虫歯菌にとって繁殖しやすい栄養素の一つです。
喉が渇いているとついつい飲んでしまいますが、水分補給にはお茶や水なども利用しましょう。

自動販売機でジュースを買う子どもの写真

野菜ジュース

一見健康に良さそうな野菜ジュースですが、野菜には「果糖」と呼ばれる糖分が多いものもあります。
果汁100%のジュースも同様です。
果糖も他の糖類と同様、虫歯菌のエサになってしまいます。

野菜だから大丈夫、と思わずに、甘いものを飲んだあとはちゃんと歯みがきをするようにしましょう。

レモンなどの柑橘類

甘い野菜や果物の果糖も虫歯の原因になりますが、甘くないレモンなどの柑橘類も、虫歯の原因になることがあります。
柑橘類に含まれる強い酸が、歯を溶かしてしまいます。
すっぱいからと言って、果糖がないわけでもありません。

そのほか、最近は健康のために果実酢を炭酸水で割って飲む方も多くいますが、お酢も柑橘類と同様に酸が含まれています。

虫歯菌は甘いものが大好物

糖分や酸が沢山入った食べ物や飲み物、歯に詰まる上につい長い時間食べてしまうスナック菓子など、歯に悪影響を与える食べ物は沢山あります。特に甘いものは虫歯菌の好物です。
だらだら長い時間をかけて食べないようにしたり、食べた後は歯みがきをしたりして気を付けて食べるようにしましょう。

糖質が虫歯菌の餌となる

虫歯菌が多い人は、それだけお口の中で虫歯菌が育ちやすい環境にあると言えます。

虫歯菌は糖質(特に、二糖類のスクロース)をエサにしています。
クッキーやチョコ、キャンディーなど、いつまでも口の中に残るような甘い物や、毎日必ず食べると言っても過言ではないお米やパンにも、糖質は含まれています。
ポテトチップスのような甘くなくても歯に詰まる食べものなども、虫歯の原因になると言われています。

お菓子を食べさせてもらう赤ちゃんの写真

酸性の食べ物に注意

虫歯の状態で甘いものを食べたりすると、歯が痛くなりますよね?
甘いものが直接歯を痛めているのでしょうか?

実は、甘いものを食べすぎると、口内が酸性になり、その酸が歯を溶かす原因となってしまいます。
そのため、初めから酸性の食べ物(みかんなどの柑橘類)も、歯のエナメル質を溶かしてしまい、虫歯になる可能性を高めてしまいます。

7.まとめ

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌はいません。

赤ちゃんだけでなく、周りの家族もきちんと虫歯の予防やケアをし、生活習慣を見直すことで虫歯のリスクを減らしていくことができます。

普段のケアに加えて、定期的に歯医者さんで検診し、虫歯になりにくい強い歯を育てていきましょう。

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赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいない!感染経路は?効果的な予防法は?

監修医 佐々木隆喜先生

さくら歯科クリニック

【経歴】
1991年 神奈川歯科大学 卒業
1991年~1996年 西村歯科医院 勤務
1996年~1997年 西條歯科医院 勤務
1997年 さくら歯科クリニック 開院
現在に至る
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