矯正に後戻りはつきもの!保定の重要な役割や防止に役立つ4つの注意点

矯正治療というと、矯正装置を付けることが、治療のメインであるように思われがちです。しかし実は、歯並びが整い矯正装置を外した後も、後戻りを防ぎ、歯並びが乱れないよう、一定期間、保定装置を付けた治療が必要となります。整った歯並びを、きちんと安定させるための、とても重要な治療プロセスなのです。この記事では、後戻りについて詳しくご説明した上で、後戻りを防止する具体的な方法や、後戻り自体を軽減させる先進の治療法、自分で後戻りを少なくするための注意点などについて、ご紹介いたします。

矯正治療後の後戻りってどんなもの?

矯正治療は、ブラケット矯正(歯にワイヤーを固定し、ワイヤーの弾力を利用する矯正法)とマウスピース矯正(理想の歯並びに向かって、少しずつ形状の違うマウスピースを付け替えていく矯正法)が主流です。どちらの矯正法でも、必ず保定期間があり、装置を使って、整えた歯を安定させる必要があります。

後戻りとは?

後戻りとは、矯正前の歯列に戻ってしまう現象のことです。矯正の原理は、歯に力を加えることで、歯槽骨(歯を支える骨)の歯を収めている穴の向きを変えることにあります。矯正装置を外した直後は、歯を支える骨がまだ固まっていない状態なので、後戻りや歯列の乱れが起こりやすくなるものです。

どんな矯正治療でも必ず後戻りする

矯正には、ブラケット矯正やマウスピース矯正、部分的な歯列の乱れを整える部分矯正、インプラント矯正(顎の骨にチタン製のネジを埋め込んでワイヤーの支点にする矯正法)などがありますが、どんな治療法においても、程度の差はあれ、必ず後戻りが生じるものです。

従って、矯正した後には保定期間(後戻りを防止する装置を付ける期間)を設けており、矯正治療の欠かせないプロセスとなっています。

歯は動くもの

歯は隣同士で接触して支え合い、噛み合わせのバランスによって、同じ位置を保っていますが、そのバランスが崩れると動いてしまうものです。

抜けてしまった部分があれば、そこを塞ぐように、隣の歯が倒れ込んできますし、舌の使い方の癖も、歯並びに強く影響するものです。特に、矯正装置を外した直後は、骨が安定せず、バランスを崩しやすい状態にあるといえます。

 

 

後戻りはどうやって防ぐ?

マウスピース矯正では1年半から2年程度、ブラケット矯正ではおよそ2年から3年程度というのが、矯正治療の目安となっていますが、これには後戻りを防ぐために保定する期間も含まれています。保定期間では、後戻りを防ぐための保定装置を装着します。

矯正治療後は必ず保定装置を付ける

前述した通り、どんな矯正法であっても、装置を外した後は、必ず保定を行います。歯槽骨がしっかりと整うまで、整った歯列が乱れてしまわないようにガイドする装置(保定装置、リテーナー)を装着します。これは、歯に固定するブラケット装置とは異なり、自分でも取り外せるものです。

保定装置の種類

保定装置(リテーナー)は、樹脂製のプレートとワイヤーを組み合わせたものや、樹脂製のマウスピースのタイプがあります。どちらも、自分で取り外しができるもので、一般的な保定装置となります。また、歯にワイヤーを接着する固定式の保定装置もあります。

1日の装着時間

歯槽骨が安定するまでの、およそ1年程度は、24時間ずっと保定装置を付ける形になります。せっかく、矯正装置が取れたのに煩わしいと思いかもしれませんが、食事やブラッシング時には取り外しできますし、矯正装置ほど強く固定するわけではないので、装着のストレスは大きく軽減されます。

装着期間の目安

矯正装置を付けていた期間と同じだけ、保定装置を付けるというのが、装着期間の目安です。矯正装置を1年半付けていたら、1年半を保定期間として、治療完了まで3年という計算になります。ただし、骨が安定してきたら、保定装置を就寝時だけ装着するなど、1日の装着時間を徐々に短くしていきます。

費用の目安

保定装置の費用に関しては、装置料金としておよそ3万円から5万円程度となります。これに加えて、定期的にチェックする観察料が、毎回およそ3000円から5000円程度かかります。

ただし、保定装置料金や観察料なども含め、矯正治療に関わるすべての料金を、あらかじめ治療開始前にトータルで提示する歯医者さんもあります。その場合には、治療が長引いた場合でも、観察料などの追加料金がかさむことはありません。

 

 

後戻りの少ない矯正法

後戻りが大きくなるか否かは、歯槽骨が早く安定するかどうかにかかっています。つまり、骨が早く安定すれば、それだけ後戻りが少なくなり、保定期間も短くすることができます。ここでは、後戻りの軽減が見込める治療法をご紹介しましょう。

セルフライゲーションブラケット

前述した通り、歯が動く原理は、それを支える歯槽骨の形状を変えることにあります。装置によって、骨が圧迫される側は、骨の吸収(後退)が起こります。一方、引っ張られる側は骨が新生(形成)されていきます。

こうして、歯を収める骨が形を変え再形成されることで、歯が移動するのです。つまり、歯の周囲の組織や骨の新陳代謝を高めることが、歯を効果的に移動する鍵となります。

セルフライゲーションブラケットは、一般的なブラケットと違い、ワイヤーをブラケットに固定せず、自由に動く構造になっています。これにより、歯の組織を圧迫せず、新陳代謝を妨げないので、弱い力でも効果的に歯を移動することができ、後戻りの軽減も見込めます。

セルフライゲーションブラケットには、メーカーが供給する装置として、下記のようなものが上げられます。

・デーモンシステム
・クリッピーC
・クリアスナップ

外科手術を伴った矯正

歯を支える歯槽骨自体に切れ目や亀裂を入れることで、土台から歯を動かす矯正法もあります。これに、ブラケット矯正を併用することで、歯を短期間で大きく動かすことが可能となります。骨に亀裂が入ると、それが修復する際には、以前より骨の強度が強くなる特性があります。

従って、矯正後に骨が強く安定するので、後戻りも少なくなります。以下は、歯槽骨の外科手術を伴う方法です。上から順に、歯槽骨に施す手術の程度が増していきますが、基本的な仕組みは同じです。

・コルチコトミー法
・ヘミエステオトミー・コルチコトミー法
・オステオトミー法

 

 

後戻り防止に役立つ4つの注意点

1章で前述した通り、歯は動くものです。歯がお互いに支え合うバランスや噛み合わせが崩れれば、移動しやすいものですし、日頃の何気ない癖や生活習慣なども、歯並びを変えてしまう大きな要因になるものです。こうした癖を改めれば、後戻りのリスクを軽減することも可能です。

悪い舌癖を改めよう

特に、幼少期の舌癖は永久歯の歯列に大きく影響するものです。舌のポジションが悪く、いつも舌が前歯に接触していれば、無意識のうちに前歯を押し続けることになり、出っ歯や受け口になる要因にもなります。

舌は何もしない状態では、先端が上の前歯に触れず、その少し後ろに収まり、上顎に沿って収まるのが理想です。舌のポジションを正せば、後戻りを軽減することにもつながります。

悪い唇の癖を直そう

唇には歯を内側へ押さえる力があります。歯が前方に出ないようにする役割があるのですが、唇を噛んだり、唇を吸い込んだりする癖がある場合には、歯を強く押さえつけてしまい、歯並びを悪くする一因にもなります。

逆に、口呼吸の癖があり、口を開けっ放しにしてしまう方は、唇の歯を内側に押さえる力が弱くなります。

日頃の姿勢を正そう

他に、歯並びを悪くする生活習慣としては、うつ伏せ寝や横向き寝、頬杖なども上げられます。些細なことのように思えますが、毎日継続的に行っていると、歯列を乱す大きな要因にもなるのです。特に、歯が動きやすい保定期間では、こうした癖を改めることが大切です。

噛み締める癖をやめよう

強く噛み締めてしまう癖がある人も要注意です。噛み締める癖は、噛み合わせを深くするなど、歯並びを変えてしまう要因になるからです。矯正後の、歯が動きやすい状態では、歯列を大きく乱すリスクもあるので、こうした癖の改善に努めましょう。

 

 

まとめ

矯正治療には、後戻りを防止するための保定期間が必ずあり、矯正装置を付けていた期間と同じくらいの時間をかけるのが、保定期間の目安です。保定装置は、自分で取り外しができるので、ついサボってしまうこともありますが、保定も疎かにできない大切な治療の一環です。

特に、矯正装置が外れた後の1年程度は、もっとも歯が動きやすい状態にあることを、しっかりと頭に入れておきましょう。また、舌の癖や噛みしめる癖などは、後戻りを促す要因になるので、こうした癖も改めるようにするべきです。

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監修医 松岡浩司先生

松岡歯科クリニック

住所
愛知県名古屋市名東区西山本通2丁目12 エミナンス松岡1階
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