顎変形症と診断されたら検討したい歯列矯正治療

顎変形症とは、顎の骨格が変形してしまっている状態のことをいいます。顎変形症と診断された人は、多くの場合歯列矯正を伴う治療を行います。この記事では、顎変形症になった場合の歯列矯正についてご紹介していきます。
他にも、顎変形症は外科手術が必要になるケースも少なくありません。顎変形症の種類など、基礎知識も含めてお伝えしますので「もしかしたら自分にも当てはまるかも?」と思う方は、この記事を参考にしてみてくださいね。

■目次
顎変形症とは
顎変形症の治療法
顎変形症で行う歯列矯正
まとめ

顎変形症とは

上顎前突症

上顎前突症とは、いわゆる出っ歯のこと。文字通り、上顎が前に突出する症状なので、想像もしやすいのではないでしょうか。上顎前突症と診断されるのは、下顎の歯に対して上顎の歯の位置が5㎜以上前方にあるケースを言います。通常が2〜3mmですので、上の歯が大幅に前突していることは理解できるでしょう。

下顎前突症

上顎前突症の反対で、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態の噛み合わせのことを言います。こちらはいわゆる受け口の状態になるケースが多いです。下顎全体が前の方に出ている場合は、顎の位置を引っ込めるための手術を行います。

顔面非対称症

文字通り、左右非対称の噛み合わせになっている状態のことを言います。通常、上と下の歯はそれぞれが対応するようにバランス良く噛み合いますが、この顔面非対称症の場合は、それぞれの歯が対応せずに非対称に。顎周りの筋肉の発達にも影響が出るので、左右のバランスがズレることで顎が歪んでいる状態になります。

開咬症

奥歯を噛み合わせたときに、前歯が開いているような状態が開咬症です。同時に出っ歯であることも少なくありません。開咬症の場合は、舌が前歯を押してしまうことで、前歯が歪み、開咬症になっている可能性も。奥歯は閉じているのに前歯が開いた状態になるので、前歯の隙間から口の中が覗いてしまうこともあります。

過蓋咬合症

こちらは前歯の噛み合わせが深すぎる状態を指して言います。もし、下の歯を上の歯が覆ってしまうようなら、過蓋咬合症かもしれません。通常は上の歯が2mmほど下の歯にかぶさるのが基準となりますので、それ以上深く歯がかぶさるようであれば、過蓋咬合症を疑ってみてください。

顎変形症の治療法

外科手術を伴う治療

顎変形症は、顎の形を整えたり、位置を変えたりするために外科手術を伴うことがあります。しかし、外科手術だけでは繊細に噛み合わせを改善することができないため、外科手術と同時に歯列矯正をすることも少なくありません。一般的には以下のような治療を行いますので、参考にしてみましょう。

SAS治療

SAS治療は、顎の骨にチタンの小さな器具を埋め、それを支柱にして歯を引っぱる治療法です。上顎前突出症や開口症などの治療時に行われます。
SASはヘッドギアなどを使った治療よりも治療の精度が高いこと。大がかりな外科手術を避けて治療できるのが大きなメリットになります。

LeFort1型骨切り術

上顎後退症、上顎左右非対称、開咬症に対して行う治療方法です。ただし、上顎から喉にかけて裂け目のある口蓋裂は、この方法では治療できません。
この手術では、上顎全体を移動させる治療を行います。上の歯茎を切って、骨を水平に切る手術ですので、歯が付いた状態のまま上顎を正しい位置に移動させることができます。

下顎枝失状分割法

下顎前突出症、下顎後退症、開咬症などに行う治療法です。下顎全体を移動させる治療法で、この手術では、左右のエラから上辺りの頬の内側の歯茎を切り、エラの部分の左右の骨を内側と外側の2枚に分割します。
外側の顎関節部分の骨はそのままの位置を保つことができ、歯の付いた内側の骨のみを正しい噛み合わせの位置に移動させることができます。突出した部分を引っ込めたり、引き出したりと、顎全体を移動させなければいけない治療に適した治療法です。

下顎枝垂直骨切り術

下顎全体を移動させることができるので、下顎前突出症、下顎左右非対称に行います。
左右のエラから上辺り、頬の内側の歯茎を切り、顎の骨を上から下まで垂直に一直線に切断。下顎は左右の顎関節の部分と、歯が付いている部分の3つに分離させて、歯のついている骨のみを正しい噛み合わせの位置に動かすことで治療する治療法です。

下顎骨体切除術

この切除術は、下顎前突出症、開咬症に行う治療法です。
下顎の一部を切り取って骨を短縮し、突出した部分を引っ込めます。顎の関節や顎周囲の筋肉への影響が少ないので、治療後の影響も最小限にできるのが利点です。”

下顎前歯部歯槽骨切り術

下顎前歯部歯槽骨切り術は下顎前突出症、開咬症に用いる治療法です。

下顎の歯を抜歯して隙間を作ったら、そこから下顎骨を歯が付いたままの状態で切り離します。この状態で下顎を引っ込めるように後退させ、正しい位置で固定すれば治療は完了です。このとき、顎の固定にはワイヤーやチタンプレートを使用します。

顎変形症で行う歯列矯正

手術前に行う歯列矯正の目的

顎変形症は、顎の骨が変形してしまう病気です。顎の骨が変形してしまうので、外科手術で骨を切断したり、削ったりして治療しますが、その準備段階として、歯列が大きく乱れている場合は、手術前にある程度矯正しておくことがあります。
上記で説明したとおり、手術では顎の骨を切って移動させたり、おおまかな移動や調整しか行えません。上下の顎の噛み合わせを整えるのが治療のゴールだとしたら、手術だけでは充分ではありません。
また、最初に歯並びや噛み合わせを調整しておけば、それに合わせて、どれくらい顎を移動させればいいかも的確に割り出すことができます。あとあとになって「顎を移動させ過ぎてしまった…」といった事態にならないためにも、まず最初に歯列矯正を行うのです。

手術後に行う歯列矯正の目的

手術前に歯列矯正をした場合も、顎の骨を外科手術で動かせば、微調整が必要となることがあります。基本的には歯列矯正が必要な場合が多いですが、それだけでは改善できない場合には、歯列矯正を再びすることがああります。
歯が1本だけ曲がっているなどあれば、外科手術ではなく、ワイヤーブラケット法などで治療したほうが、効率よく治療できるのです。

治療の流れ

ここでは、上顎前突の治療を例に、その治療の流れをご紹介します。ここでは、歯列矯正だけの場合と、外科手術を伴う場合と2つのパターンを紹介しますので、外科手術が伴うとどんな違いがあるのか、ここで比較してみてください。ご紹介するのは一つのケースであることも踏まえて参考にしてくださいね。

・外科手術を伴う治療の場合

手術のための検査や虫歯治療などを行います。また、検査結果を受けて治療方針を決めたら、約1年ほど歯列矯正をし、外科手術のための下準備をしていきます。
外科手術の場合、上顎の左右4番目の歯を抜歯します。ここで、根本となる骨を切断して、突出した前歯を引っ込めるように骨ごと移動させます。これが、上でも紹介した上顎前歯部分節骨切り術です。この手術は、1〜2週間ほどの入院が必要となります。
また、手術が完了したら、手術後6ヶ月〜1年くらい経ったところで骨の固定に使用していたプレートを除去する手術を行います。その後は、経過観察期間に入り、様子を伺いながら治療をしていきます。
外科手術前の歯列矯正や経過観察の期間を踏まえると、少なくとも数年は必要になるのが外科手術での治療です。

・歯列矯正だけで治療する場合

必要な検査、虫歯治療などを行ってから歯列矯正に入ります。上顎前突の場合は、歯列矯正で抜歯を行います。抜歯するのは前歯から数えて4番目の歯で、上下左右、計4本の歯を抜歯します。
次に、抜歯した部分の隙間を詰めるための治療をしていきます。隙間ができた部分を利用して前歯を後ろへと後退させるのです。この時利用するのは、ワイヤーブラケット法が一般的で、歯にブラケットという器具を装着して、それぞれをワイヤーで引っ張ります。
同じワイヤーブラケットを使った矯正でも、歯の表側にブラケットをつける治療法と、裏側にブラケットをつける裏側矯正と2つの種類があります。また、より前歯を後退させるのに役立つヘッドギアなどを併用する場合もあります。
この歯列矯正には、1〜2年半など長い年月がかかる場合があります。個人差があるため、一概にどれくらい時間がかかるかは歯医者さんに都度確かめるようにしてください。

まとめ

顎変形症は外科手術に至ることが多くなります。これは、歯列矯正で歯を動かすだけでは根本的に噛み合わせが改善されず、顎の骨から切断して移動させないと、正しい噛み合わせにするのが難しいからです。
ただ、手術だけで治療できることはすくなく、最終的には細かい噛み合わせの調整をするために歯列矯正が必要となります。正しい顎の噛み合わせを作るためには、外科手術と歯列矯正の2つの治療が鍵となります。

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監修医 本部悠一郎先生

東葉デンタルオフィス

住所
千葉県船橋市本町7丁目23番地12号 東海神駅前ビル1F
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