デンタルクリニック小日向

私の祖母が「舌がん」になってしまって、入院したことで歯科医療と出会ったのがきっかけです。私はもともと歯科医師ではなくて医師になりたかったのですが、諸事情で医師になるのは難しく、よく似た職業である歯科口腔外科を選択しました。そのときに入学した大学が、祖母のお見舞いに行っていた大学だったのです。

それから10年間は歯科口腔外科に勤めていましたが、その中で歯科治療にやりがいを見いだしたことが転機となり、一般的な歯科医師に転向いたしました。

学んでいた大学病院の歯科口腔外科では、全身に関わる重い病気を患っている患者さま向けに、お口の機能を改善する手術や歯科治療を行っていました。

歯科口腔外科は舌がんや口腔がん、頬粘膜のがん、腫瘍が悪性か良性かなどの診断など、お口の病気に関する幅広い処置を行う科目です。そのため、一般的な歯科では発見・対応ができない病気は、歯科口腔外科の診断を通して発見と治療をしていきます。

勤務していた大学病院から総合病院へ派遣されていたのですが、あるときご来院された患者さまが、治療ではなくて歯の見た目をよくしたいと求められたのが転機でした。この患者さまには、もともとお口に入っていた銀歯を白い材質の素材に変更しました。このことがきっかけに歯科も経験したくなり、以来10年間こちらの歯科医院に歯科医師としてお世話になっています。

当院での治療後に、患者さまが喜んで帰っていただけた時にやりがいを感じます。逆に、治療の中にはどうしても痛みを伴うものもありますので、そのような場合には歯科医師として大変申し訳なく感じてしまいます。

歯科医院に来られる患者さまが嫌がられる理由のほとんどは「治療中の痛み」です。そのため、初診の段階で痛みの少ない治療を行うこと、リラックスできる雰囲気を作ることで、落ち着いて治療を受けていただければと考えています。その結果「今まで歯医者さんに行けなかったけれど、ここでは最後まで通うことができた」と患者さまに思っていただければ幸いです。

そうですね。医療は進歩していますので、新しい器具や治療方法が出たときには、率先して勉強や情報収集をして知識を吸収するようにしています。それを当院のスタッフにもきちんと共有することで、歯科医院全体の技術や知識のレベルを上げていきたいと考えています。

患者さまが100人いたら100人分の多様な症状があります。その方によってお口の状態は違いますので、全ての治療を教科書通りに行うことが正しいわけではありません。いざというときのトラブルなどに備えて、自発的に情報を収集しに行ったり、専門書を購入したりなどして診療に生かせるようにしています。

そうして勉強をしていくと、実際に診療を行う際に役立ちますし、患者さまにも「この歯科医院になら治療を任せても良い」と感じていただくきっかけになるのではないかと思います。

実は、仕事が忙しくて趣味を作れるほどの時間はありません。ただ、日常の中でいうとおいしいものを食べているときが幸せな時間です。「食べること」は、ストレス発散にもなりますし、噛むことで脳に刺激が伝わるので活力にもつながります。しかし、それは歯が健康でなければできないことです。

私が歯科治療を行うことで、患者さまもおいしいものをしっかりと噛んで、食べる喜びを感じていただきたいと願っています。当院に歯の治療に通ってくださっている患者さまと「治療が終わったらあれを食べたい」などと、おいしい食べ物の話題で盛り上がることは楽しみの一つです。

私は年齢より幼く見られる上に女性ですので、院長とは思われないことが多々あります。女性として若く見られるのはうれしいことなのですが、歯科医師としては必ずしも良いことではありません。治療を受ける患者さまからすると、やはり経験が浅く見えて治療に不安を抱かれる原因になるからです。

私自身も、歯科医師として自信のない態度にならないように、これまで歯科知識と技術の習得に力を注ぎました。どうぞ心置きなく治療を任せていただければ幸いです。

最後に、もう一つだけお話しさせてください。患者さまがご自分の歯で長く食事を続けていくためには、歯を失う大きな原因である歯周病を予防することが重要です。虫歯を治療してどんなに良い素材のかぶせ物・つめ物をしたとしても、歯周病で歯を失ってしまえばその治療は無駄になってしまうからです。

歯の治療のあとには定期的に歯科医院に通い、お口の中のメンテナンスをすることで、歯周病のコントロールをすることができます。また、定期検診に来てから次に来るまでの間の期間に、患者さまご自身でしっかりとセルフケアをできるように、歯科衛生士がアドバイスしています。患者さまそれぞれのお口の状態に合わせた提案をいたしますので、ぜひ当院の定期検診をご活用ください。