してい矯正歯科

ポジティブな性格の持ち主だと思いますね。開院したての頃、私より先に開院した先輩から「開院後はしんどいぞ。馬車馬のように働かないといかんぞ」と言われたりしましたが、しんどいのは当たり前だと思うんです。

そこで、ネガティブなことを言って暗い顔をしていても仕方がないですよね。笑っていた方がいいと思いませんか。暗い顔をして、ため息をつきながら働くのは楽しくありません。周りの人も嫌な気持ちになりますので、愚痴ばかりではなく、景気の良い話をしたいなと思います。

私は歯科医師とだけ意見交換するのではなく、いろいろな人から学び、さまざまなことを前向きにとらえていきたいと思っています。

患者さまの治療を全て院長である私が行っていることです。例えば、内科の治療でも私は前回と違う先生に診てもらうとなると不安を感じます。でも、なかなか先生には言いにくいものです。歯科医院も同じはずです。一人の歯科医師が最初から最後まで治療を担当することは、不安なく通っていただける条件の一つであると考えています。

担当する歯科医師が治療のたびに変わると、細かい部分、例えば患者さまの心境の変化などに気付きにくいと思います。カルテに申し送りの情報があれば、ある程度の共有はできますが、深いところまでは書面では伝わりませんよね。

ですから、もし患者さまが増えて自分が診きれなくなったら、ある程度のところでお断りをするつもりでいます。人を雇ってまで、広げるつもりはありません。長期的なお付き合いになる矯正治療だからこそ、患者さまとの信頼関係を大切にしています。

いまだに感動するのは、何軒も歯科医院に相談し、最終的に「してい歯科医院」を選んでくださった時ですね。本当にありがたいことだなと思います。

これまでに患者さまとのトラブルはありませんし、良好な関係を維持できていると感じています。その証拠なのか、「兄弟ともに診てほしい」と言われることも多いですね。例えばお兄さんの治療の様子を見て、弟さんにも受けさせたいと言われると幸せを感じます。

また、親御さまからもやってみたい、とのお声をいただいた時も感動しました。矯正治療は虫歯治療などと異なり、患者さまがリピートすることはありませんから、家族をご紹介していただけると嬉しく思います。

当院の診療姿勢の核となるのは、「患者さま主体」という考え方です。患者さまのご意向を考えて、その方に合った治療をご提供していきたいと考えています。 虫歯治療なら、虫歯の痛みが緩和されて神経も問題なくつめ物がされたというように、治療の終わりが明確です。しかし、矯正治療は必ずしもそうではありません。

歯科医師が「これで終わり」と言ったらそれが治療のゴールということになり、歯科医師によって仕上げにばらつきがあるのが現状です。人によって治療方針が大きく異なる可能性がある分野と言えます。

以前、歯を4本抜く矯正治療をさせていただいた患者さまがいらっしゃいました。その方は治療に非常に協力的で、短期間に良いゴール地点に到達した実感があったのですが、後日「歯を抜いてまでやることはなかったのでは」と別の方に話していたことを聞きました。

とてもショックでしたね。きれいになっているから、喜んでくださっていると思い込んでいました。私に対しても「本当に良かった」と話してくれていたのですが、本音の本音として、ちょっと引っ掛かることがあったんだなと思い、とても反省しました。

それ以来考え方を変えて、患者さまの意見を細かく伺って、抜いた場合と抜かない場合でどうなるのか、しっかりと説明をして患者さまに選んでいただいています。患者さまのご要望を無視して、歯科医学的な正解を追究した治療に突き進んでいくのは楽なのですが、やはり患者さまのご意向を第一にしています。

また、説明の際も治療のリスクだけではなく、治療をしたことでどんなメリットがあるかを伝えることも重要だと思っています。あくまでも「患者さま主体」であること、それが患者さまの自主性にもつながっていくと思います。これからも患者さまの想いを尊重した治療を続けていきたいですね。