歯間ブラシの正しい使い方と選び方!歯垢除去で歯周病を予防・改善しよう

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歯間ブラシ 使い方

「歯をしっかり磨いているのに、虫歯や歯肉炎になってしまった」そんなお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。しっかり歯垢除去をして虫歯や歯周病を予防するためには、歯ブラシだけのケアでは足りません。歯間ブラシは、歯ブラシでは届かない歯と歯の隙間のプラーク(歯垢)を除去してくれます。しかし誤った歯間ブラシの選び方や使い方をしてしまうと、歯や歯茎を傷つけるばかりでなく、炎症が悪化してしまうこともあります。

歯間ブラシの使い方をしっかりとマスターし、健康な歯と歯茎を保つために役立てて下さい。

この記事の目次

1.歯間ブラシの正しい使い方

1-1歯間ブラシを使った方が良い理由

虫歯になりやすい部分は大きく分けて3カ所です。

・奥歯の噛み合わせ部分(大臼歯の溝)

・歯と歯の隙間

・歯と歯茎の間

歯ブラシは歯の表面の汚れを取るのに適していますが、歯と歯の間や、歯と歯茎の間には毛先が届きにくく、きれいに汚れを落とすことはできません。歯ブラシだけのお手入れでは、60%程度しか汚れを落とせないことが分かっています。

歯と歯の間はデンタルフロス、歯と歯茎の間は歯間ブラシで汚れを落としていくことが必要で、歯ブラシと併用することにより、プラークを90%以上も除去することが可能なのです。特に加齢や歯周病により歯茎が下がってくると、歯と歯茎の間の隙間が広がっていくため、歯ブラシと併せて歯間ブラシでもケアをしてあげることが大切になってきます。

 1-2歯間ブラシの種類

歯間ブラシ 使い方

ブラシの形

・ストレート(まっすぐ)

・テーパー(逆三角形)

・バレル(楕円形)

大きく分けると、ストレート、テーパー、バレルという3種類の毛先があります。ドラッグストアなどで売られているほとんどの歯間ブラシの毛先が、ストレートと呼ばれるブラシがまっすぐのタイプです。安価で手に入るのがメリットです。テーパーはブラシが逆三角形になっているもの。バレルはブラシが楕円状になっているものを指します。

歯と歯茎の隙間に対する清掃能力が高いのは、テーパーやバレルタイプになりますが、テーパーはブラシが逆三角形という形から、先端部分が細く下部が広がっているため、入る時は良くても引き出す時に引っかかる人がいます。そういう方にはバレルタイプがおすすめになります。

持ち手の形

・ストレート(持ち手がまっすぐのもの)

・カーブ(持ち手がカーブしているもの)

・アングル(持ち手がL字になっているもの)

歯間ブラシの持ち手の柄も色々な形があります。大きく分けると、まっすぐのストレートタイプ、若干柄がカーブしているカーブタイプ、L字になっているアングルタイプです。こちらもストレートタイプが安価で、他のものはストレートタイプより若干高めになります。

前歯など、垂直に歯間ブラシを入れられる場所はストレートタイプで問題ありませんが、奥歯など垂直に入れることができずに隣接する歯にブラシが当たってしまう場合には、カーブタイプやL字タイプを使用することでスムーズに入れることができます。

また、ストレートタイプであってもワイヤーを曲げることで、L字型にして奥歯に入れても問題ありません。

ワイヤーの素材

ブラシ部分であるワイヤーの素材には、主に金属製とシリコンなどのゴム製があります。

金属は清掃能力が高い反面、慣れていないと使いづらく、誤った使い方をすることによって歯や歯茎を傷つけてしまう場合があります。反面、シリコンなどのゴム製は初心者でも扱いやすく、歯や歯茎を痛めづらいため、歯や歯茎に炎症が起きている人でも使いやすいといえます。しかしシリコンは金属に比べ汚れを掻き出す力が弱くなります。

サイズ

歯間ブラシのサイズには、4S、3S、SS 、S 、M、L、LLの7段階あります。
健康な歯茎は0.8mm±0.22mmといわれ、ご自身の歯の隙間のサイズに合わせて歯間ブラシのサイズを選ぶ必要があります。

歯間ブラシのサイズ表

4S:0.5mm

3S:0.8mm

SS:0.8-1.0mm

S:1.0-1.2mm

M:1.2-1.5mm

L:1.5-1.8mm

LL:1.0-2.0mm

1-3歯間ブラシの効果的な入れ方

歯間ブラシ 使い方

歯に沿うようにあてましょう。できれば片側一方向からだけでなく、方向を変えて入れましょう。歯間ブラシはその形状から、単に歯と歯茎の隙間に通せばいいと思う方は少なくありません。しかしプラーク(歯垢)をしっかり除去するという観点から考えると、歯に沿うようにあてることでより効果が高くなります。

日本歯科大学の「歯間ブラシ使用法による研究」(出典:日本歯周病学会学会誌(3)1991)によると、歯間ブラシによるプラーク除去率は通す方向が増すほど向上したことが分かっています。

歯の表面と裏面それぞれから、左右それぞれに添うように歯間ブラシを入れる場合を4方向とし、どちらかの面の左右どちらか一つから入れる場合を1方向とし、それぞれのプラーク除去率を調査したところ、以下の結果となりました。

歯間ブラシを入れた方向/プラークの除去率

1方向から:49.50%

2方向から:76.90%

4方向から:92.70%

また、同じ歯の隙間において、入れる際にきつめの歯間ブラシの1方向よりも、ゆるめの歯間ブラシの4方向の方が清掃効果は高いことが分かっています。

1-4歯間ブラシはいつ使うべきか

夜、歯磨きをする前に使うのがおすすめです。歯間ブラシは、デンタルフロス同様歯ブラシを終えた後に使う方が多いかもしれません。

しかし、使ってみるとよく分かるのですが、歯間ブラシを使った後、歯間ブラシの先についた食べかすが歯に付着することがあります。口をゆすいで取れれば問題はないのですが、取れずに付着したままになってしまえば、せっかく歯間ブラシを使っても効果が落ちてしまいます。

また、歯間ブラシが歯垢除去に効果があるからといって、一日に何度も使ってしまうと、逆に歯肉を傷つけてしまい、歯茎を押し下げてしまう場合があります。ですから一日一回夜寝る前に、歯磨きの前に歯間ブラシを通すようにしましょう。

1-5 合わない歯間ブラシは歯肉を傷つける

歯間ブラシのサイズの選び方は、歯と歯の隙間よりも小さめで、歯間部分にスッと入るものを選びましょう。歯はエナメル質に覆われていますが、元は歯茎で覆われていた部分で、歯茎が下がったことで露出してしまった露出根面はエナメル質には覆われていません。

ですから、きつい歯間ブラシを長期間使った場合、金属のワイヤー部分で擦られることで、歯が欠損してしまうことがあります。また、サイズの合わない歯間ブラシを無理に押し込むことで、歯肉が下がってしまう歯肉退縮が起きてしまうこともあります。

特に歯周病でそもそも歯肉の退縮が見られる場合、歯間ブラシを使うことによってさらに歯肉を押し下げてしまうこともあるため、歯肉の退縮が見られたら一旦使用を中止し、かかりつけの医師の診断を仰ぎましょう。

歯の隙間の大きさは、どこの歯によってかも異なります。一般的に小臼歯→前歯→大臼歯の順番に歯の隙間が狭くなります。ですから、お手入れする場所により、歯間ブラシのサイズも使い分ける方が歯茎を傷つけることなくきれいにお手入れすることができます。

2.歯間ブラシを使う時の注意点

2-1どれくらいで交換する?

歯間ブラシ 使い方

金属の歯間ブラシならば一週間ごと、シリコン製ならば使い捨てが基本です。

歯間ブラシはワイヤー部分を曲げて使うという特性から、稀に歯茎の中でワイヤーが破折してしまうケースがあります。破折したワイヤー部をレントゲンで確認し、全身麻酔にて摘出したケースも報告されているので、歯間ブラシの摩耗度などをよく確認した上で、注意して使うことが大切です。

2-2 歯間ブラシを使用して出血したら?

歯間ブラシを使っていて出血した場合、以下のことが考えられます。

間違った使用法

サイズが合わないものを使ったり、力が強すぎたりすることが考えられます。

歯肉炎になっている

歯周病の初期段階である歯肉炎が起きていて、少しの刺激でも出血しやすくなっていることが考えられます。

歯周病になっている

歯を支えている骨が溶け、歯周ポケットが深くなっています。歯周病菌に感染したことで歯周ポケットから出血し、状態がさらに悪くなると膿が出る場合もあります。

しかし歯間ブラシを使って出血したからといって、出血そのものが悪いわけではありません。歯茎からの出血はむしろ体から菌を出している免疫反応ですから、悪い血とはいえず、むしろ出してしまった方がいいともいえます。毎日ケアを続けていくことで、歯茎が強くなり出血しないようになります。

3.まとめ

歯ブラシに加えて、歯間ブラシやフロスなどを利用して歯磨きを行うことは、プラークコントロールの上でももはや常識となりつつあります。歯間ブラシは使用することで歯垢除去率も高く、歯周病予防や改善に効果のあるものですが、一方で誤った使い方をしている人も多いのが現状です。

まずは無理なく入れられるものを使用することを心がけ、歯間ブラシはどうしてもきついという方はデンタルフロスを使うなど、まずは自分の歯に合ったものを使うように心がけてみてください。

【監修医先生からのコメント】
歯はしっかり磨いていますと言うのですができていない患者さんが多いのです。”磨いてるつもり”です。
定期検診を受けて正しいデンタルケアの指導を受けてください。
デンタルフロスも歯間ブラシも歯ブラシも正しく使用しないと逆効果です。
ケアグッズはいろいろあり、それぞれ正しく使えばそれなりの効果がありますが、
いろいろ揃えている人の多くはそれぞれが不完全のことが多く歯ブラシ1本でケアするにも届かないことがあるのです。定期検診が大切なことがわかります。

 

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監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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