虫歯が頭痛を引き起こす!知っておくべき対処法と痛みの原因を紹介

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虫歯 頭痛のアイキャッチ

頭痛は誰にとっても嫌なものです。頭痛が続くと集中力も低下するだけでなく、何をしていても楽しむことができません。早急に何とかしたいと思っても、頭痛には原因がはっきりしないものも多く、対処がしにくいものもあります。ここでは、虫歯や虫歯以外の歯の問題が引き起こす頭痛について詳しく解説しています。

虫歯の痛みと共にひどい頭痛が起きるケースの中には、放置すると命に危険があるものもあります。症状を正しく理解し、適切に対処をすることは、いつまでも自分の歯で食事をとることや、健康的な生活を送る上でもとても重要です。ぜひ歯にまつわるさまざまな頭痛の原因を知り、治療と予防に役立ててください。

この記事の目次

1.歯の痛みと頭痛の対処法

1-1.痛み止めを飲む

痛みがある場合は、我慢をせずに痛み止めを服用しましょう。市販の痛み止めで問題ありません。
市販の痛み止めには、歯痛専用のほか、さまざまな用途の鎮静剤があります。

しかし痛み止めはあくまでも一時的な応急処置であり、原因を改善するものではありませんので、早めに病院で診察を受けましょう。

痛み止めを持つ女性

1-2.患部を冷やす

歯の部位や頭など、痛みのある場所がはっきりしている場合は、冷やすことで痛みを和らげることができます。
氷や保冷剤を使って冷やす場合は、直接患部に当てないようにしてください。タオルで包むとよいでしょう。
氷やアイスノンで急激に冷やしすぎると、痛みが強まる場合もあります。

1-3.運動・お風呂・アルコールは控える

痛みが強ければ、運動やお風呂、アルコールなど血液の循環を良くする行動は控えましょう。
余計に痛みが強くなってしまいます。

2.虫歯と頭痛は関係する

虫歯と頭痛には深い関係があります。
穴があいているなど、明らかに虫歯があるとわかっている場合、その虫歯は神経(歯髄)にまで到達している可能性があります。
虫歯が歯髄炎にまで進行すると、歯の痛みだけにとどまらず、顔や頭部など全体の痛みとなって感じられることがあります。

すでに神経まで進行した虫歯の治療を終えていても、治療箇所が頭痛を引き起こす原因になる場合があります。
神経がある根管内は目視では見えづらく、器具も入りにくいため、どうしても清掃が不十分になってしまうためです。

他にも、噛み合わせが悪くなることで起こる頭痛や、歯ぎしりや食いしばりなど、口まわりの筋肉が強ばることにより起こる頭痛も考えられます。

一方で、お口まわりの神経は鈍感で、実際は他の部分で起きている痛みを歯の痛みのように感じることもあります。
中には、虫歯や頭痛が代表的な症状である、脳静脈血栓症という命の危険を脅かす病気もあります。
強い頭痛や歯の痛みを感じたら、なるべく早く病院で診てもらうことをおすすめします。

3.虫歯で頭痛が起こる場合

3-1.上顎洞炎によるもの

上顎洞とは、鼻の横から奥へと広がる副鼻腔のことをいいます。
上顎洞の下の部分は、上顎の大臼歯の根に近接しています。
上顎の歯の神経治療を行った際に、上顎洞から歯の炎症原因が侵入すると、頭痛を引き起こすことになります。

症状

・歯の痛み
・悪臭の強い鼻水
・ほほの痛み
・慢性の場合は歯の痛みはない場合もあり、顔の片側のみの違和感であることが多い

原因

・歯性上顎洞炎(虫歯によって根の先が感染し、上顎洞という副鼻腔に炎症が起こる症状)による頭痛。副鼻腔に近い上の奥歯の神経治療を行った際に起きやすい。

治療

・レントゲンやCTを撮影することで、上顎洞に膿がたまっているかどうかを画像判断する。正確な診断のためには、三次元で(立体的に)撮影可能なCTが望ましい。
・根管治療のやり直し
・抜歯
・耳鼻科にて副鼻腔の治療
・上顎洞と鼻腔の通路が膿で塞がれ清浄できない場合は、手術の適応となる

3-2.根管治療の失敗によるもの

症状

・根管治療後の強い痛み
・ガンガンする激しい頭痛

原因

・根管治療において根管内がきれいに清掃しきれておらず、膿がたまっている状態
・根管を清浄しきらずに仮蓋や被せものをすることで、圧がたまり痛みが生じている

治療

・根管治療のやり直しを含む、歯内療法
・抜歯

3-3.緊張型頭痛(虫歯がある場合)

◆症状

・激しい痛みではなく、鈍い痛み
・人により痛みの頻度や痛みが続く時間は異なる(一日数時間という人もいれば、何日間も続く人もいる)

◆原因

・虫歯があるところを避けて噛むことで、噛み合わせのバランスが悪化している
・噛み合わせの悪化が首や肩こりを引き起こし、こりが頭痛につながるケースもある

肩こりの女性の後ろ姿

◆治療

・虫歯をしっかり治療して、片側でものを噛もうとする癖を改める

3-4.歯周病によるもの

◆症状

・歯がぐらついている
・歯茎から出血する

◆原因

・適切なプラークコントロールができておらず、歯周病によって腫れた歯肉から血管内に菌が侵入、菌が血管内を詰まらせている
・歯周病によって、噛み合わせのバランスが崩れている

◆治療

・歯周病の進行状況に合わせた治療

3-5.脳静脈血栓症

症状

・長期間虫歯の治療をせず放置している
・虫歯が神経を超えて、さらにその下の血管まで侵入している
・すでに神経に達しているため、痛みのない人もいる
・刺すような頭痛と吐き気

原因

・虫歯菌が歯の表面を通り越して血管内へと侵入し、血流に乗って脳にまで辿り着いたあと、脳内の静脈に血栓を作っている
・血栓ができることで脳内の血流が悪くなり、頭痛を引き起こしている(脳梗塞・脳出血を誘発し、最悪の場合は死に至る)

治療

・症状を感じたら早めに治療をするのはもちろん、定期的に歯医者さんで定期健診を行う

4.虫歯以外で頭痛が起こる場合

歯医者に行ったものの、歯に問題はないと言われた場合に考えられる症状として、以下のものが挙げられます。

4-1.顎関節症

症状

・顎に痛みやしびれがある
・口があかない
・ものを噛むと痛みがある
・ズキンズキンと波打つような偏頭痛
・頭が重たい(頭重感)

原因

・顎を動かしている側頭筋(こめかみ部分)と呼ばれる筋肉が強ばることで生じる
・緊張時に歯を噛みしめることで起こる
・頭の血液や脳脊髄液が、ストレスや緊張、顎の骨がずれることにより上手く体へと巡らない

治療

・歯科口腔外科で対応可能
・関節に刺激を与えるマイオモニター(歯科用の電気刺激装置)による治療
・歯にはめることのできるスプリント(顎関節を安定させるための器具)作成
・関節を手術

4-2.三叉神経痛

◆症状

・食事や会話、歯磨きや洗顔、化粧など顔まわりに触れた時の痛み
・右または左のみに痛みが現れる
・しばしば激痛を伴い、食事をすることもままならない
・原因がわからず、抜歯してから三叉神経痛であることに気づく人も少なくない

◆原因

・顔まわりの感覚を支配する三叉神経が、血管に圧迫されることで生じる神経痛
・加齢とともに動脈硬化などで血管に歪みが生じ、神経を圧迫する

治療

・投薬治薬(カルバマゼピン)
・手術療法

4-3.緊張型頭痛(虫歯がない場合)

◆症状

・頭の周囲を締め付けられるような鈍い痛み
・肩や首のこり
・めまい
・全身の倦怠感

原因

・身体的ストレスと精神的ストレスが絡み合って起こる
・過度のストレスにより、副交感神経が働き全身の血の巡りが悪くなる

強いストレスを感じる女性

治療

・適度な運動とストレッチ
・マッサージや入浴などで血行をよくする

5.歯の痛みと頭痛がある場合の病院の選び方

歯の痛みと頭痛がある場合、まずは歯医者さんを受診し、原因が歯にあるかどうかを調べましょう。
虫歯でない場合は、症状に応じて耳鼻科や脳神経外科、頭痛外来、ペインクリニックを受診することが望ましいでしょう。

6.まとめ

歯の痛みと頭痛が同時に起こると、普段と変わらず日常生活を送ることが困難になってしまいます。
まずは我慢をせずに痛み止めを服用し、歯医者さんへかかるなど対応を急ぎましょう。
歯には原因のない歯痛もあることを認識し、歯に問題がなかったとしても症状が変わらないようであれば、他の原因を疑ってみるなど、自分の健康に対する意識を高めることが大切です。

 

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監修医

貝塚 浩二先生

コージ歯科 院長

経歴

1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る

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