奥歯を噛むと痛いときの応急処置と控えた方がいいこと!痛む原因や治療法も

奥歯が痛い男性

奥歯を噛むと痛いときは、眠れなかったり何にも集中できなかったりするため、一刻も早く痛みを抑えたいと思うものです。奥歯は、食べ物を噛むことのほか、咬み合わせや発音、重い物を持つときに食いしばるなど、さまざまな場面で重要な役割を果たします。この記事では、奥歯を噛むと痛いときの応急処置、控えた方がいいこと、奥歯が痛む原因と治療法を紹介しています。奥歯を噛むと痛い人で、すぐに歯医者さんを受診できない場合、応急処置で痛みを抑え、その後の適切な処置につなげましょう。

◆目次
1.奥歯を噛むと痛いときの応急処置と控えた方がいいこと
2.奥歯を噛むと痛いときに考えられる原因と治療法
3.まとめ

1. 奥歯を噛むと痛いときの応急処置と控えた方がいいこと

1-1応急処置

応急処置の方法 ポイント
患部を頬側から冷やす

・氷を濡れタオルに包み頬側から患部を冷やす

・氷がない場合は冷却シートを貼る

・頬や奥歯を氷で直接冷やさないよう注意する

ぬるま湯で口をゆすぐ

・ぬるま湯(または常温の水)でやさしくゆすぐ

・冷たい水でゆすいだり強くゆすいだりしない

・汚れが残っていればケア用品で取り除く(患部に触れないよう注意する)

市販薬を飲む・塗る  ・注意書きや用法用量を守って正しく使用する

・飲み薬は効き始めるまでに時間がかかるため、早めに飲む

・塗り薬を使う場合、指が患部に直接触れないよう注意する

■患部を頬側から冷やす

氷を濡れたタオルで包み、頬側から患部を冷やしましょう。
乾いたタオルでは十分に冷やせないことがあります。
冷却シートがある場合は、頬に直接貼って冷やします。
冷やすことで患部の血流を緩やかにすると、痛みがやわらぐ効果が見込めます。

氷を直接頬に当てたり、口に含んで奥歯を直接冷やしたりするのは、逆効果になる恐れがあるため控えましょう(※)。

※逆効果になる恐れがある理由については、「やってはいけないこと」の項目で詳しく説明します。

■ぬるま湯で口をゆすぐ

ぬるま湯で軽く口をゆすぎ、口内の汚れを取り除きましょう。
奥歯に食べカスや汚れが詰まっていると、痛むことがあるためです。
ぬるま湯が用意できないときは、常温の水でゆすぎましょう。
冷たい水でゆすいだり、強くゆすいだりすると、刺激となり痛むことがあります。

ゆすいでも汚れが取れないときは、デンタルフロスといったケア用品で、患部に刺激を与えないよう丁寧に汚れを取り除きましょう。

■市販の鎮痛剤を使う

飲むタイプの鎮痛剤は、効果が出るまでに時間がかかることがあります。
痛みを感じたら、早い段階で飲んでおきましょう。
塗り薬を使う場合、指が患部に直接触れないように注意しましょう。

※市販薬を使用する際には薬剤師の指示に従い、用法用量を守って使用してください。

痛み止めを飲もうとする男性

1-2控えた方がいいこと

■頬や歯を直接冷やす

氷を直接頬に当てる、長時間冷やすといったことは避けましょう。
冷やしすぎると血行不良を招く恐れがあるほか、氷が皮膚にくっついてしまった場合、無理に剥(は)がすことで皮膚を傷つけてしまうことがあるためです。

また、氷を口に含んで奥歯を直接冷やすことも控えた方が良いでしょう。
急な温度変化が刺激となり、痛みを増大させてしまうことがあります。

■患部に触る

神経が刺激されたり細菌が入り込んだりして、痛みが増すことがあります。
口の中の汚れを取り除く際も、患部にはできるだけ触れないよう注意しましょう。
触れてしまった場合は、ぬるま湯や常温の水で口をゆすぎましょう。

■入浴・飲酒・運動

血行が良くなると血流が神経を圧迫し、痛みが強くなることがあります。
飲酒や運動は控え、入浴はぬるめのシャワーにしておくことをおすすめします。

■喫煙

以下のようなメカニズムで、痛みが増加することがあります。
喫煙は控えた方が良いでしょう。

タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用がある

血管が縮まると、血流が悪くなる

血流が悪くなると、それを改善しようとして血圧が高くなる

痛みを感じやすくなる

2. 奥歯を噛むと痛いときに考えられる原因と治療法

奥歯が痛む原因と、どんな治療法があるかを紹介します。

応急処置で一時的に痛みが治まっても、原因が改善されたとは限りません。
悪化する恐れもあるため、歯医者さんを受診することをおすすめします。

2-1虫歯

■原因

虫歯が進行すると、歯が溶けて穴が開きます。
溶けた分だけ歯が薄くなり、虫歯部分と神経との距離が近くなります。
この状態では刺激が神経に伝わりやすく、冷たい飲み物や熱い飲み物がしみる、噛んだときに痛む、といった症状が出ることがあります。

虫歯が神経に達すると、さらに強い痛みが生じます。

■治療法

神経に達する前の虫歯は、歯を削って詰め物や被せ物をするのが一般的です。
神経に達している場合は、根管治療(こんかんちりょう)と呼ばれる、歯の根の治療をおこなうことがあります。

虫歯の断面イラスト

2-2歯周病

■原因

歯周病は、歯周ポケット(歯と歯茎の間)に溜まった歯石や歯垢(しこう=プラーク)によって、歯茎が炎症を起こす病気です。
炎症が進むと、歯を支える骨も溶かされていきます。
骨が溶かされると歯がグラグラするようになり、通常の力で噛んだ場合でも痛むことがあります。
力を込めて噛むことが多い奥歯は、強い痛みを感じることもあるようです。

■治療法

早期発見できれば、歯石を除去することで改善が期待できます。
進行している場合、歯周ポケットの深い部分の歯石を除去する治療や、歯茎を切開して歯石を除去する治療をおこなうこともあります。

なお、歯医者さんでは歯石の除去と併せて、ブラッシング指導をしてくれます。
正しい歯磨きの仕方を覚え、歯垢や歯石を溜めないようにすることが大切です。

2-3根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)

■原因

神経が死んで腐ってしまったり、治療で取り除いてしまったりした歯の根に細菌が侵入すがると、根尖(こんせん=歯の根の先端部分)にまで炎症を起こすことがあります。
これを根尖性歯周炎と言います。
膿が歯を支える骨も溶かすようになり、強い痛みが生じます。

■治療法

歯の根の中に溜まっている膿を抜き、汚れをきれいに洗浄して消毒します。
再度細菌に感染するのを防ぐため、歯の根に詰め物をしてしっかりと塞(ふさ)ぎます。

炎症の範囲が広く、周囲の歯や歯茎、歯を支える骨などの組織まで影響がおよぶ恐れがある場合、歯の根の先を切除したり、抜歯したりすることもあるようです。

歯の根まで進行した虫歯イラスト

2-4親知らず

■原因

親知らずが斜めや横向きに生え、手前の歯や歯茎を圧迫するようになると、噛んだときに痛みを感じることがあります。

歯ブラシが行き届かずに食べカスが溜まり、細菌が増殖することで虫歯になったり、周囲の歯茎に炎症を起こしたりして痛むこともあります。

■治療法

一般的に、抜歯を選択することが多いようです。
親知らずが原因で虫歯や炎症を起こしている場合、治療しても再発する確率が高くなるためです。

抜歯するかどうかは、親知らずが生えている向きや、周囲の歯や歯茎に与える影響といったことも関わってきます。
最適な治療法については、歯医者さんを受診した際に詳しく聞いてみましょう。

2-5咬み合わせ

■原因

咬み合わせが悪いと、噛んだときに特定の歯に負担がかかります。
その歯の神経にダメージが蓄積し、噛んだときに痛みが生じることがあります。

■治療法

咬み合わせを改善するための治療法は、症状の度合いや原因によって異なります。
歯を削って改善することもあれば、歯列矯正したり、顎の骨を削ったりすることで改善を目指すこともあります。

具体的な治療法は歯医者さんを受診した際に詳しく聞き、自分が納得のいく方法を選ぶようにしましょう。

歯の模型を持つ歯科衛生士

2-6歯ぎしりや食いしばり

■原因

歯ぎしりや食いしばりが繰り返されると、歯の根の周りを覆っている歯根膜(しこんまく)と呼ばれる、薄い膜のような組織が炎症を起こすことがあります。

歯根膜は、口の中に髪の毛が一本入ったような、小さな刺激ですら感じ取れるほど敏感であると言われています(※)。
歯根膜が炎症を起こすと、噛むことで強い痛みを感じるようになります。

※【参考】8020推進財団 歯とお口の健康小冊子 8020一口メモ

■治療法

食いしばりは、気づいたときにやめるよう意識することで、改善が期待できます。
しかし、寝ている間の歯ぎしりは、意識して改善することが困難です。
歯医者さんで、歯ぎしり防止用のマウスピースを作製することも検討しましょう。

また、歯ぎしりや食いしばりの原因の多くは、ストレスと言われています。
適度な運動を取り入れる、リラックスできる時間を設けるといった、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

2-7クラウン(歯の被せ物)

■原因

クラウンが劣化したり欠けたりすると、隙間に食べカスが入り込んで溜まることがあります。
細菌が増殖し、クラウンと歯の隙間に虫歯ができると、噛んだときに痛みを感じるようになります。

■治療法

クラウンを作り直す、虫歯になっていればクラウンを外して虫歯を治療する、といった方法があります。

歯が痛み鏡を見る女性

2-8ブリッジ

■原因

ブリッジは、抜けてしまった部分の両隣の歯を削って土台にし、人工の歯を架け橋のように被せる治療法です。
土台の歯は、削られたことに加えて、2本で3本分の噛む力を支えることになります。
その分大きな負担がかかるため、神経が刺激を受け、噛んだときに痛むことがあります。

■治療法

咬み合わせを調整して様子を見ることがあります。
症状が改善されない場合、ブリッジを撤去して歯の神経を治療することもあります。

ブリッジを撤去した場合、再度ブリッジにするかどうかは、歯医者さんとよく相談して決めましょう。

2-9歯の破折(はせつ)

■原因

歯が割れたり折れたりすることを「破折」と言います。
歯が破折すると、亀裂から細菌が侵入し、歯の神経に炎症を起こすことがあります。
すると、噛んだときに強い痛みを感じるようになります。

■治療法

亀裂が小さい場合、細菌が侵入していると思われる部分を削って洗浄し、接着剤で接着する方法があります。
複雑に破折している場合、一度抜歯して接着剤で歯のかけら同士を接着し、元の場所に戻すといった治療をすることもあります。

まずは歯医者さんを受診し、症状の度合いを診てもらうとともに、最適な治療法について相談しましょう。

歯科を受診する男性

2-10上顎洞炎(じょうがくどうえん)

■原因

上顎洞とは、鼻の横にある骨に囲まれた空洞です。
上顎の奥歯に虫歯や歯周病があり、歯の根まで進行している場合、細菌が上顎洞に侵入することがあります。
上顎洞に侵入した細菌が炎症を起こすと、膿が溜まります。
膿によって神経が圧迫され、噛むと痛みが生じることがあります。

■治療法

投薬による上顎洞炎の治療と、歯に起こった虫歯や歯周病の治療をおこなうのが一般的です。
感染が広範囲におよぶ場合、抜歯することもあるようです。

鼻の病気が原因になっているケースでは、歯医者さんから耳鼻いんこう科を紹介されることがあります。

3. まとめ

奥歯を噛むと痛く、すぐに歯医者さんを受診できないときは、応急処置で対処することも検討しましょう。
その後は、できるだけ早く歯医者さんを受診して原因を特定し、適切な処置につなげることが大切です。
併せて、毎日の歯磨きを丁寧におこない、虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石を溜めないよう心がけましょう。

監修医高村先生

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