中学生で乳歯でも問題ない?抜けない乳歯対応マニュアル

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歯磨き しない

小さな乳歯が抜け、永久歯が生えそろい、大きく成長していく姿を見守るのは、親として嬉しいものですよね。乳歯が抜けるのは、5歳前後から中学生になるくらいまでが一般的ですが、中学生になっても抜けないこともあります。

人によっては、もっと大きくなっても永久歯が生えてこない場合があり、その割合は十数人に一人と意外に高く、決して他人事とはいえません。ここでは、乳歯が抜けるメカニズムや生え変わらない場合はどうすれば良いのかについて、詳しく紹介します。

この記事の目次

1.乳歯が抜ける時期やメカニズム

1-1 時期が来たら根っこが溶ける

歯の元となる歯胚は、お母さんのお腹にいるときから準備されています。乳歯の歯胚は通常、妊娠7~10週目の段階で作られます。永久歯の歯胚は、妊娠3~5ヶ月頃から作られはじめ、生え変わりの時期に向けて成長を続けます。

永久歯の準備ができ、乳歯の根元付近まで到達すると、破歯細胞という細胞が現れ、乳歯の根っこを溶かしていきます。ある程度溶けると乳歯がグラグラし始め、最後には抜けてしまいます。つまり、永久歯が生える準備ができていないと、乳歯は抜けないのです。

1-2 生え変わりは6~7歳から本格化

乳歯が生える時期には個人差がありますが、生え変わりの時期にも個人差があります。早い子では4~5歳から永久歯への生え変わりが始まり、6~7歳頃ではほとんどの子供が生え変わりを体験します。

下の前歯から生え変わることが多く、次に上の前歯が抜けて徐々に奥へと進んでいきます。生え変わりが終わるのは12歳頃で、小学生のうちに全ての歯の生え変わりが完了するというのが一般的です。

また、生え変わるだけでなく、6歳頃には6歳臼歯と呼ばれる第一大臼歯や第二大臼歯などの乳歯にはなかった歯も生え始め、中学生のうちに永久歯全てが生えそろうのが一般的です。

乳歯から生え変わる歯は20本、新しく生えてくる大臼歯は8本、全部で28本で、大体15歳以降に親知らずが生えてきます。

2.乳歯が生え変わらない3つの原因

2-1 永久歯の成長が遅い

乳歯から永久歯に生え変わる時期が人によって異なるのは、永久歯の成長にも個人差があるからです。乳歯も生えてくる順番や時期が、一人ひとり同じではないですよね。永久歯の成長にも同じことがいえます。

永久歯の成長が遅い場合もありますが、先天性欠如といって永久歯が生えてこない場合があります。気になる場合は、歯医者さんでレントゲンを撮ってもらい、確認してもらいましょう。

2-2 先天性欠如

先天欠損歯、無歯症とも呼ばれる先天性欠如とは、何らかの原因で永久歯が生えてこないことを指します。永久歯がないと、乳歯の根っこを溶かす細胞も現れないため、乳歯が抜けることはありません。先天性欠如の原因は、明らかになっておらず、誰もがそのリスクを持っています。

対処法としては、子供の場合は経過を観察し、矯正が可能な年になったら矯正するのが一般的です。大人になってから乳歯が抜けてしまった場合、インプラントや入れ歯・ブリッジで補います。

2-3 埋伏歯

骨や粘膜に埋まって生えてくることができない歯を指し、幾つかの種類があります。

・完全埋伏歯 永久歯があごの骨に、完全に埋まっている状態です。
・不完全埋伏歯または半埋伏歯 歯の一部だけ見えている状態です。
・水平埋伏歯 歯が横に向かって生えている状態です。

埋伏歯があっても、問題がなければそのままにしておくこともあります。しかし、放っておくとかみ合わせや歯並びが悪くなる恐れがある場合には、骨を削り永久歯が生えてくるよう引っ張る処置(開窓牽引)をすることもあります。

歯がないのではなく、埋まっている状態なので、歯医者さんでレントゲンを撮影してもらってから、どう対処するか判断してもらいましょう。

3.乳歯が残っている成人が増えている!?

近年、30代40代でも乳歯が残っている人が増えています。原因は先天性欠如で、乳歯が抜けないことにあります。発生頻度は約7~8%で、人数に直すと12~14人に1人、どちらかというと女性に多く、乳歯が欠如する場合もありますが根本的に治療することはできません。

最近多くみられる理由として、昔より柔らかい食べ物が増えたことで退化現象が起きたとも考えられていますが、はっきりと関係が証明された訳ではありません。

分からないことが多く予防法もないため、永久歯の生え変わりをしっかり記録し、見逃さないよう心がけましょう。中・高生になっても乳歯がある場合は、歯医者さんに相談することをおすすめします。

4.乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきた

4-1 大抵は問題ありません

乳歯が抜けていないにも関わらず、永久歯が生えてきてしまうことがあります。特に下の前歯の裏側の歯茎から、永久歯が顔をだしてしまうことが多いです。そのままにしておくと、歯並びが悪くなるのではないかと心配している方も多いでしょう。

乳歯の役割は食事をするためだけでなく、

1.永久歯が正しい位置に生えるためのガイド役
2.永久歯の場所を確保する

という2つの役割を持っていますが、永久歯が生えてくるスペースが少ないと、抵抗の少ないほうから生え始めてしまう場合があります。

大抵は舌に押されて正しい位置に収まるので、問題はありません。しかし、永久歯がほとんど生えてきているのに、乳歯が抜ける様子がないという場合には、歯医者さんで抜歯してもらうこともできます。

4-2 隙間が少ない場合は注意が必要

乳歯よりも大きな永久歯に生え替わるには、乳歯のときよりも広いスペースが必要です。体の成長であごも大きくなりますが、咀嚼によってあごが発達するのも大切です。

ところが、最近の食生活は柔らかい食べ物が増え、噛む回数はかなり減っています。それに伴い、小さなあごの方も増えています。小顔になるというメリットもありますが、永久歯が入るスペースがなく、歯並びが乱れてしまう可能性もあります。

乳歯が抜けていないけど永久歯が生えてきたのは、永久歯が入るスペースがないことが原因の場合もあります。乳歯なのに隙間なく生えているという子供の場合は、早めに歯医者さんに行って、スペースが確保できそうなのか相談することをおすすめします。

5.まとめ

小学校高学年や中学生にもなると、習い事や友人との約束などで、歯医者に行く時間を確保することが難しいかもしれません。

しかし、歯は一生モノです。多少でも時間を作り、歯科医へ相談にいきましょう。早めの対処が負担を減らすカギとなります。

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監修医

中村 達哉先生

大和駅前歯科 院長

経歴

2000年 横浜歯科技術専門学校 卒業
2000~2003年 横浜市内歯科医院院内ラボ 勤務
2010年 鶴見大学歯学部 卒業
2010年 鶴見大学歯学部附属病院 勤務
2011年 ランドマーク歯科三島 勤務
2013年 スカイビル歯科 勤務
2015年 大和駅前歯科 継承開院
現在に至る

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